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私の勝敗
きつく閉じた歯に
もう敵わないだろうと思い始め
自分から去っていたのは
決して負けを認めた訳じゃない
状況証拠が悪かっただけと
笑ってみるものの
頬につたる涙が
現実味を持たせてくれない
誰か止めてと叫んでみるも
あたりはおもしろいほどに静まって
私の行き場はなくなって
君の行き場もなくなって
君を憎むのを忘れるくらいに
大切が欲しかった。
含み笑いをするほどの
余裕はなかったけど
それでも“負け”と言わせたく
ふてぶてしく口端をつりあげた
物的証拠が役立たないので
勝ち誇ってみるものの
非を見せないように逃げていく
現実味を持たせてくれない
卑劣すぎる勝利を胸にして
あたりはふるえるほどに賞賛して
私の行き場をなくしてくれる
君はどこかに消してくれる
求めることを忘れるくらいに
君が欲しかった。
誰か止めてと叫んでみるも
当たりは私自身をハズレにしてくれ
結局行き場はなくなって
君は私を望んでくれて
君に感謝するのを忘れるなら
私は負けを認めましょう。
勝ち負けより大切なものを見つけた日