プロローグ(挿絵有)〜伝説の剣豪、異世界に転生す〜
本作は、かつて天下無双の剣豪だった男が、異世界に赤子転生し、「もう天下無双は飽きた」と静かなる庵暮らしを望むも、なぜか実況されながら迷宮に挑む――
そんな“ギャップと変態と伏線”だらけの異世界冒険譚です。
笑って読めて、燃えるところは燃える。
真面目な謎と、ちょっとしたラブと、クセ強な仲間との共演が見どころです。
どうぞ、お茶でもすすりながら気楽に読んでいただけたらこれ幸いに存じます。
かつて、我が名は――宮本武蔵と呼ばれていた。
幾百の勝負を経て、生涯不敗の剣豪として知られ、そして最期の刻を迎えるその瞬間まで我は「剣とは何か」「生とは何か」を問い続けていた。
五輪書――
地・水・火・風・空。
それは、剣の技を語るにとどまらず、
生きる術そのものを記す書となるはずだった。
……だが、我は未完のまま筆を置き、
この身を病に喰われて果てた。
あの世など知らぬが、気づけば我は再び目を覚ましていた。
ここは、かの日の本か?
いや、どこか違う。
まるで戦国の世に似ておるが、されど異なる――奇妙なる異界。
奇怪なる迷宮があり、妖異が蔓延り、剣が未だにすべてを決する世界。
だが、この世界には、まだ書かれていない“空の章”があるように思えた。
だから、我は名乗る。再び。
――我が名は、武蔵。
今度こそ、全てを書き記そう。
この身をもって知り、歩み、悩み、笑い、そして極めた道を。
それは剣の道にして、人生の道――
そして、所望の境地をも含む、我が魂の書。
我には今、五人の仲間がいる。
共に笑い、共に喰らい、時に刃を交え、五行庵という名の小さな静寂に身を置いて――
しかし、剣はまだ終わってはおらぬ。
我は再び剣を取り、戦う。
この穏やかな日々を守るために。
そう、全てにおいては単純に――スローライフのためにて、天下無双を貫く我が生き様よ。
見届けるがよい、此度の生こそは前世で成し遂げられなかった事、ものを手にしようぞ―
第一話へつづく
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
元・剣豪の武蔵が、異世界で“のんびり所望ライフ”を目指す物語。
次回は赤子に転生した武蔵、そして仲間たちをご紹介しましょう。
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どうぞよろしくお願い申し上げます。
二天堂 昔