表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

第二部 旅行に行って帰ってきたら人生観が変わりました。

心機一転。男は新たな思いつき、さてどうなる?

そうだ、旅行に行こう。男は旅行サイトを見て思いました。

チャットにも飽きたし、気分転換にいい景色でも見ておいしいものを食べてと想像するだけでワクワクしてきます。

自分はきっとこれを求めていたんだと男は思いました。


世の中は便利になりました。ちょっとクリックしただけで必要なものが家に届きます。

チャットの思い出が、男に孤独を教えてくれたので、寂しさを紛らわすため男は思い切って自立型支援ロボット、トモダチ君を ぽちり ました。


トモダチ君はとても優秀で、旅行の計画はもちろん、外出して必要なものの買い出しも手伝ってくれます。ホームセンターでキャリーケースを選びながら、きっと二人で行ったら楽しいだろうな、と男は思いました


旅行の計画は着実にそして完璧に仕上がり、準備もほとんど整いました。

男はトモダチ君もご飯が食べられたらいいのになと思いましたが、こればっかりは仕方がないと少し落ち込みます。

写真はどこで撮ろうか。トモダチ君も一緒に映りたいし。男は合成も考えましたが、それは寂しいから、誰かに頼んで撮ってもらおうと考えました。


旅行の日程が近づいてくるにつれ、男は何故だかワクワクが減ってきていると感じていました。

あんなに楽しみだったのに、一週間前になるともう、来週は旅行に行かなくてはいけない。と男は思うようになってしまいました。


男はひらめきました。自分で行くから面倒なんだと。

トモダチ君に旅行に行ってもらって自分はその話を聞いたり写真を見たりすればいい。

おいしいものは ぽちれば食べられるし。

合成したら一緒に写ってる写真もできるし。


完全無人飛行機なら人の旅客がいないので、ずっと早く行って帰ってこれる。

おまけに費用も安い。男はイノベーションに胸がたかなりました。


トモダチ君は一人で旅行に行ってしまいました。

男はトモダチ君が帰ってくるまですることがありません。旅行のために時間を空けていたので当然です。


男は考えました。この時間を有効に家でできることは何だろうか。


明日からは、ぽちった美味しいものがどんどん届くし、食べて寝るだけでは健康に悪い。

男が検索すると、究極の健康法がヒットしました。


きっと不健康だからいろいろ面倒くさくなっているに違いない。

男は健康になる決意をするのです。



「地獄の健康法」

地獄其の一

 食べろ。とにかく食べろ。もう入らないぐらい食べろ。美味しくなくなるまで食べろ。

地獄其の二

 運動せよ、とにかく運動せよ。動けなくなるまで運動せよ。やってるうちに気持ちよくなる

地獄其の三

 寝ろ。よく寝ろ。とにかく寝ろ。どうせ動けなくなってるんだ。寝るしかない。


天国

 早起きして食べよう、きっと美味しいよ。


たった一週間だったけれど効果はてき面だった。前より膨らんだ胸や腕、足、体重は増えているのに軽やかさすら感じられる。これを続ければもっと何かが変わるかもしれない。

トモダチ君驚くかな?男は想像をしながら今日もスクワット。


それから3日トモダチ君が帰ってきてからは、彼の話や、写真、動画を楽しんだ。

それから、写真や動画合成もした。話をしながら出来上がった写真や動画を見ていると男は自分も旅行に行ってきたような気分になってきていた。


体を鍛えてからは、不思議と内面から自信があふれてくることを男は感じていた。

今度は自分一人で旅行に行って、トモダチ君と合成するのもありかな。計画も準備も全部自分でやってトモダチ君を驚かせよう。


ところが、いざそれを実践しようとすると時間が足りないことに男は気が付いた。健康法を辞めるとまた元の自分に戻りそうで怖い。

そうだ、誰かに見せたいとかそういうことじゃない。と呟いた。

今の自分が好きだから、変えなくてもいい。旅行もいらない。トモダチ君ももういらない。


男は、大好きだったトモダチ君のメモリーをバックアップした後、おやすみを言ってトモダチ君を化粧箱に戻した。

第二部完


筋肉は全てを解決します。

それで良いの?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ