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New Frontier Stories-クライムアクションVRMMOでTSした少年の場合-  作者: 東山ルイ
シーズン1 ニュー・フロンティアへようこそ
1/13

001 ニュー・フロンティア・ストーリーズ

 20××年8月1日。佐野麻希(さのまき)は夏休み初日ということもあり、早速気になっていたPCゲームを始めた。


「さぁーて、きょうはいくらでもゲームできるぞ。パソコンが裸足で逃げ出すくらい遊び尽くしてやろう」


 基本無料、レーティングはR15、ジャンルはオープンワールド型クライムアクションV()R()M()M()O()。つい数年ほど前だったら、このゲームをプレイするのに最低70万円は必要だった。おまけに日本住宅にはおけないくらいロボットみたいに巨大な媒体の中へ入らないとプレイできない有様だった。


 しかしここ1~2 年の技術発展は凄まじく、いまやサングラスほどまで小型化された装置の値札は脅威の10万円切り。高校生の麻希のバイト代のみで購入できてしまうお手頃価格である。


「仮想世界に入り込む感覚には未だに慣れないけどな……」


 とはいえ、VRMMOは拡張された現実のような場所。サングラスみたいなものをかけてから、目をつむり呼吸を整えて(別にこれらの動作は必要ない)、目の前へ広がる世界のみに集中力を向ける。


 *


「おお……。これが“ニュー・フロンティア”か」


 事前情報は嫌というほど読み込んだ。あとは実践していくだけだ。

 まず、麻希は仮想現実に入り込んだことを確認するために、自身の両腕を見る。ややノイズがかかっており、それでも輪郭ははっきり見えるため、〝もうひとつの世界〟に入れたのはほぼ確定だろう。


 続いてスマートフォンみたいな物体を取り出す。これはポーズ画面や武器選択、ファストトラベル、マップなどを表記してくれる。この世界限定での通話やインターネットもできるのでスマホの上位互換みたいなものだ。


 武器スロットには登録特典の特別仕様ハンドガンが入っていた。麻希はそれをクリックし、音もなく拳銃を握る。金のライオンが描かれている、しかし性能は通常のピストルと変わらない──初期武器といったところか。


「オープンワールドゲームあるあるだけど、最初なにしたら良いのか分かんないんだよね~」


 だいたい確認し終わった麻希は、とりあえず若干ノイズで覆われている昼の街を歩く。街並みのモデルは東京だという。後々追加マップが来ることも運営がアナウンスしているので、ハマれば長く楽しめるゲームになりそうだ。


「お。なにやらメッセージが」


『ミッションをクリアして仮想通貨を手にしよう!! 手にした暗号資産は現金といつでも引き換えられるぞ!』


「つまり、()()()()()()()()()()()()ってことか? 前情報にそんなうまい話なかったけど」


 仮想通貨。高校1年生の麻希でもその価値と怪しさは充分心得ている。具体的な稼ぎ方は分からないし、どんな理由で法定通貨と交換できるのかなんて見当もつかない。


 ただ、ここは所詮仮想現実。何度死のうが復活できるし、そもそもデジタル通貨を持っていない麻希は損しようがない。それに、目先のカネに釣られてしまうのは貧民ならば当然の摂理だ。


『バッチバチのドンパチ、を請け負いました』


 次の瞬間、砂嵐みたいなノイズとともに麻希の視点は入れ替わっていた。


「ミッション待機場面じゃないみたいだな」


 たどり着いた場所は刑務所の中だった。というのも、いかにも囚人がボートを持って写真撮りますよと言わんばかりの設備だからだ。


「キャラ・メイクの時間? ついでにステータスもいじれるっぽい」


 なお、このゲームは1人称と3人称を任意で切り替えられる。3人称に切り替えたとき優位な場面もあるのだろう。そうなれば、キャラ・メイクにも気合いが入る。


「うーん。アルビノ美少女で行こうっ!」


 大して悩んでいないだろ、とツッコまれそうだが、実際悩んでいる時間のほうが無駄だ。だから麻希はさっさとキャラクター・スキンを組み上げていくのだった。


 *


「なりたい自分に絡まる電柱~♫」


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