郡山で
昨日郡山にて開かれた会合をエッセイにしました。
郡山の開成山公園に男3人。昼過ぎにカフェのテラス席でコーヒーを味わいながら、小説投稿サイトの話題で延々盛り上がる。この機会を逃さないようにと幕田くんと庵さんが情報交換しているのを、若干気圧されるように見守っているような感じ。公園の木々が丁度良い具合に紅葉している時期の上に天候にも恵まれ、内心<日頃の心掛けのお陰かな>などと思いつつ、実はその後に控えている新たな『邂逅』に期待を膨らませているところだった。
「うん、あの木にも視えるよ」
庵さんがさらっと教えてくれたことは、自分に見えている世界と他の人に見えている世界が同じではないということを伝えてくれる。自身に見えないものは肯定も否定もしないスタイルを貫く幕田くんはやや苦笑いではあるが、生来人見知り気味だという彼が兄のような存在の庵さんにすっかり心を許している事が窺われる。初めて直に会ったのが数ヶ月前だと言うのに、親しくなるスピードは完全に(いい意味で)バグっている。見ているだけで安心できる笑顔とでもいうのだろうか、見習えたらと思うところだ。
幕田くんの運転で場所を駅に移動する。
『猫』のマークを目印にとある方と待ち合わせをしていた時間になった。賑わう駅前の広場には様々な人が行き交い、緊張感はピークに達する。
「あ、ネコだ!!」
事前に送ってもらっていた写真と同じ猫がプリントされた、想像よりも少し大きいバッグを肩から下げた『女性』の姿を無事見つけることができた。彼女の方もこちらに気付いたようで、早くも笑みを浮かべながら手を振ってくれたような記憶。『あき伽耶』さんは偶然にも日曜に郡山で用事があり、光栄にも我々三人に会ってみたいという旨のメッセージを送ってくれていた。
様々な良い条件が重なったことで実現した会合。実は、あき伽耶さんには今年の盆にな「なんとかさん」と「幕田卓馬」くんとのコンビで過去に録音していたオリジナル曲をピアノアレンジで音源を送っていただいていて、ご厚意でチャンネルで公開させてもらっている。なろうは小説投稿サイトではあるので、そこから音楽の方に興味を持っていただけるとは想像しておらず、ここに『軽音部』が誕生した。更に『縁』って不思議なものだなぁと思ってしまうのは、あきさんは庵さんともかなり前からやり取りがあり、自然発生的にグループでやり取りが出来るようになっていたことだ。
駅から庵さんがリサーチしたという喫茶店に移動。あきさん情報で埼玉にも系列店があるというその喫茶店で各々違う種類の豆のコーヒーを注文する。席について早々に『ネトコン』のお祝いとか、それぞれの作品の話とか、親しいなろうユーザーさんのお話とか、あとは『オフレコ』に近いお話とか会話が滑らかに続いてゆく。
<あきさん、めっちゃノリがいい!!>
あきさんの作風から自作の『ナンセンス作品』との類縁性を感じ取っていたので「もしかしたら」と思う部分はあったけれど彼女の言葉には共感する事がとても多く、素直に自分を出してゆける時間が訪れる。庵さんは相変わらず親しくなるのが「秒」だし、初回でこの打ち解け具合はちょっと信じられないレベル。やはり予めお互いの内面が反映されている作品を読んでいると、それだけでも伝わっている何かがあるんだなと思える。
喫茶店から居酒屋に場所を移しても会話が途切れることはない。送迎の役目を買って出てくれた幕田くんはノンアルビールではあったけれど、この上なく充実している表情をそこに読み取る事ができる。彼はアプリの『X』上でも活発に活動を展開するようになっているけれど、実はめっちゃ色々気にするタイプの人で、あきさんも庵さんも既に幕田くんの秘められた部分への理解が進んでいる。
「繊細だから書けるんじゃないかな」
あきさんがそんな風に言った記憶。彼女の作品、『〜桜舞う物語〜「旅立ちの日に」』を最初に読んだ時に感銘を受けた。細やかな心遣いが感じ取れる作品を読んでいると、前を向いて進もうという気持ちになれる。個人的にもアドバイスを受け、ほくほくした気持ちである一方で別なことにそわそわしてもいた。
『カラオケ』である。
ほとんど「なんとかさん」の希望であきさんに歌を聴いてもらいたいという願望が実現する運びになった。予約していたカラオケ店に向かいフリータイムで入室する。庵さんには多少無理を言ってしまったようなカタチにはなったけれど、彼の好きなアーティストであるB'zの曲を一緒に歌えたので許して下さい。あきさんがあの「紅蓮華」を入力した時には流石だと思ってしまいました。澄んだ歌声でカービィーのアニメの曲を歌う姿も素敵でした。幕田くん、スピッツの「楓」しっとり歌い上げたね。自分はQueenの『Bohemian Rhapsody』を歌い切れて満足でした。ありがとうございます。
とそんな場面があり、ひたすらに名残惜しい気持ちでしたが店員さんに4人で並んだ写真を撮影してもらいました。ありがとうございました。あきさんをホテルまで送迎し「また会いましょう」と見送ってから、実は男3人でファミレス行きました。『本日のまとめ』として、庵さんの長編作品である『幽慣れ』を読もうという決意をしました。
秋深まり、深夜ともなると冷え冷えとします。この日のセッティングをしてくれた上、最後に自宅まで送ってくれた幕田くんと別れて空を見上げた時、空には幾千もの星が瞬いていました。見守られているようだなと思いました。