釣瓶落
掲載日:2023/09/02
遠いあの日あの時の、
あなたを見つめている。
初恋と呼んでもいい。
夕暮れの校庭で。
どうしょうもない夢を
見たのかもしれない。
あなたと生きたいなんて、
十一月のせいかな。
つるべ落としだね。
早く帰らなきゃ。
迷子になりそうだ。
拐われてしまいそう。
人間味のない時代、
そう感じ始めて、
今更の恋心を
手繰り寄せている。
流行りの歌など知らずに
ギターを少し鳴らす。
大切なことはなんですか。
誰か歌ってみてよ。
つるべ落としだね。
早く眠らなきゃ。
書けなくなりそうだ。
泣き出してしまいそう。
イミテーションの光で、
誤魔化すこともある。
わかった上での礼儀に
支えられてゆく。
ほんとの気持ちのままに
生きたらどうなったか。
あなたは今頃どこかで、
嬉しい顔だったかしら。
つるべ落としだね。
早く目覚めなきゃ。
今を失くしそうだ。
潰されてしまいそう。




