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恋の消失パラドックス  作者: 葉方萌生
第四話 二人の関係
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仕事終わりにビールを飲むおっさんのような唸り声を上げる穂花。

「うまっ」と男らしく飲みながら汗を拭う神林。

私もつられてもう一口、いや二口も三口もゴクゴクとサイダーを流し込んだ。お腹の中でせり上がってくる炭酸の気配を感じながら、一時の幸せを満喫した。


「永遠、飲むの早い」


気がつけば神林のラムネのビンが空になっていた。ビー玉だけが光るビンを見つめながら感心していたのが、ビン越しに穂花が「あれ?」と首を傾げる姿が映る。


「日和、いつの間に『永遠』って呼ぶようになったの?」


「え、あ、それは」


「さっき話してたんだよな。俺も『日和』って呼ぶからお互い遠慮なしにしよ

うて」


神林の『日和』という響きがもう一度耳に反響して小っ恥ずかしい。彼が私の名を呼ぶと、ラムネがお腹で弾けるみたいに、じゅわっと心が浮き立つのだ。


「そうなの!? あたしがいない間にそんなに進展してたなんて……!」


驚愕スクープ! とでも言いたげに、彼女は大袈裟に驚いてみせた。でも、一瞬彼女の表情に翳りが見えたのは気のせいだろうか。その大袈裟な反応が、逆に本心を悟らせないようにしているためではないかと疑う。

「あんまり囃立てるなよ。俺たちだって名前で呼んでるから一緒だっつーの」


「ほほう。一緒、ねぇ」と懐疑的な視線を送る穂花。いい加減恥ずかしさに耐

えられなくなった私は、話題を変えようと「花火もうすぐ始まるよ」と二人に

教えてあげた。


「わ、いけない。みんなあっちに流れて行ってるよ」


「俺たちも早く行こうぜ」


花火は今私たちが座っていた土手よりももう少し離れたところで打ち上がる予定だった。その場でも見ることはできるのだが、真正面で見るには遠い。他の観覧客のように移動するのが得策だ。

私たちは立ち上がり、土手を降りて人波に埋もれる。浴衣の帯が別の誰かの浴衣にぶつかって着崩れないか気にしながら歩いた。前を行く神林と穂花を見失わないように、懸命に進む。慣れない下駄の鼻緒が指の間で擦れて痛い。


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