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恋の消失パラドックス  作者: 葉方萌生
第一話 捨てちゃえばいい
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6


例えばテストでうまくいかなかったと思う時、赤点をとったんだとひとまず最悪の事態を予想しておく。そうすれば、実際60点ぐらいだった時、赤点じゃなかったとほっとすることができる。

つまり、自分にとって一番最悪を想定することで、心のショックを和らげられるということだ。

でも、今回の私は失敗した。

普段なら予想する「最悪」を、今日は何も想像せずに学校に来てしまった。それは、昨晩穂花に励まされたせいでもあるし、大丈夫だと自分で口にしてしまったせいでもある。


「……」


学校に着いた私は、まず自分の机がしかるべき場所にちゃんと存在していることにほっと胸を撫で下ろした。昨日の出来事は何かの間違いだったのだと解釈する。

ここで油断した私は、カバンから教科書を取り出し何の警戒心もなくそれを机の中にしまおうとした。


「いたっ」


チク、という感覚と共に、視線を手元に這わせる。

机の中で散りばめられた鋭い針が目に飛び込んできた。

何が起こっているのか、私の乏しい頭脳では瞬時に把握することができない。


(画鋲……?)


上履きに画鋲とか、椅子の上に画鋲とか、そういうシーンのある少女漫画を昔読んだことがある。主人公は決まって眉をしかめ、周りをさっと見回す。私も、漫画の中の彼女たちと同じように、教室を見渡した。一番後ろの窓際の席からは、こちらを見つめる人物がよく見えたのだ。

何人かの女子と目が遭った瞬間、その人たちは特に悪びれもなく目を逸らそうともしない。その堂々とした態度が、逆に人違いだろうかと錯覚を起こさせた。


神林(かんばやし)、なんで春山のことずっと見てんの?」


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