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二階にある自分の部屋へと閉じこもり、ベッドに身を投げ出した。電気もつけないまま、天井を見つめる。今日の学校での出来事は明らかに不自然だった。不自然なことには必ず意味がある。
だとすれば、考えられることは……。
思考を巡らせようとしたところで、ブル、とスカートのポケットに入れていたスマホが震えた。
「なんだろ」
どうでもいいアプリの通知かと思ったが、よく見るとLINEの通知が来ていた。普段から連絡を取り合うような仲の相手はあまりおらず、この時点で誰から連絡が来ているのかは察しがついた。
『日和、いま家?』
LINEを送ってきたのは、井元穂花。昨年、高校一年生のときに同じクラスだった女の子で、一番仲が良かった。二年生になった今も、話し相手はほとんど彼女だ。
肩の上で揺れるショートカットが似合う、天真爛漫で明るい女の子。時々天然な発言をすることもあり憎めない可愛らしさがある。でも私と二人でいるときはちょっと違っていて、真面目な一面もあるところがまた彼女の良いところだ。
寝転んだまま、私は「うん」と返事を送る。気の置けない相手だから、これぐらいシンプルな返事でも大丈夫。生まれつき人付き合いが苦手な私にとって、穂花みたいな気を許せる友達がいることが救いだ。