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「そう、だね。そうなんだけど……」
「俺は、遠藤柚乃を元に戻すのには反対だ」
「神林……」
意外だった。彼がここまではっきりと柚乃を戻すことに反対するなんて思ってなかったからだ。
正直私自身、迷っているのは間違いない。理性では「消してしまったものは元に戻した方がいい。まして、一人の人間ならなおさら」とちゃんと分かっている。けれど、心が言うのだ。「遠藤柚乃に戻ってきて欲しくない」と。
だって実際、彼女がいない一日はかなり平穏だった。私は誰からも疎ましがられることも、非難を浴びることもない。もともと柚乃の取り巻きだった女子たちは、私に何の興味も示さない。最初から彼女たちは、柚乃に反抗するのが怖くて従っていただけなんだろう。根っから悪い人たちではないらしい。
この日々が続いていくのなら。
神林とこうして屋上で話したり、穂花とお弁当を食べたり。時々は三人で集まって話すことも増えるのかもしれない。それらの日常のどこにも陰りはない。普通の高校生がみんな体験していることなのではないか。




