表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋の消失パラドックス  作者: 葉方萌生
第三話 代償
37/127

36


「そう。この前さ、春山さんが『上履き見つけてくれてありがとう』って言ったじゃん。その時、俺にはなんのことか分からなくてあんな反応してしまって。その後、誰だっけ? ああ、確か“エンドウユノ”さん。その名前も聞いたことがない名前だったから混乱してたんだ。本当にごめん」


「いや……あれは、私が寝ぼけてただけだから気にしないで」


神林が柚乃や上履きのことを知らなかったのは、いたしかたないことだ。謝ることではない。あの時は私の方が混乱してショックを受けてしまったからああいう反応になっただけで。彼の記憶からは柚乃の存在が消えているのだから、どうしようもないことだった。


「寝ぼけてた? 本当に?」


「うん。その日おかしな夢でも見てたみたい。私が学校でその柚乃っていう女の子にいじめられる夢。あんまりリアルだったから、現実と間違えちゃった。馬鹿だよね。小学生みたいだよねー」


あの日彼に伝えたことはすべて夢の話だった。そういうことにしておくのが、

この奇怪な現象を説明するのには一番手っ取り早く簡単な方法だった。私の頭がおかしくなったというマイナスな印象はついてしまうが、事実を垂れ流してもっとおかしなやつだと思われるよりはマシだった。


私は、神林がどんな反応をするのか、じっと待っていた。その時間、心臓の動きが速くなって、汗が滲み出た。今度こそやばい人だと思われたらどうしよう。

ああ、私はいつから、神林にどう見られるかをこんなに気にするようになったんだろう。


ふと、自分の胸に問いかける。

神林を、いちクラスメイトではなく、特別な存在として意識している自分がいる。ずっと前から本当は気づいていたのに、見えないフリをしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ