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「わあ……」
扉の向こうには、何もない殺風景なコンクリートの空間と、青空が広がっていた。太陽の光が直接肌に降り注ぎ、思わず両目を瞑る。蒸し暑い空気が全身を覆った。
「ね、開いたでしょう」
爽やかな笑顔で振り返る神林は、一仕事終えたという達成感に包まれているようだった。
「びっくりした。学校の屋上なんて小学校以来」
「普通は開かないもんな。鍵が壊れてるなんて、無用心にもいいとこだよ」
「神林は屋上に来るの何回目なの?」
「うーん、そんなに来てないよ。今日で三回目くらい」
「そうなんだ」
こんな秘密を知っているくらいだから、かなり常連なのかと思っていた。
「気づいているのはたぶん俺ぐらい。普通屋上に行こうなんて思わないからね」
「それじゃ私たちはあぶれ者だね」
「確かにそうだ」
私たちは笑いながらその場に腰掛けた。ちょうど扉がある壁の裏だ。ここだと日陰になっていて涼しかった。
「話したいことって、この間のことだよね」
早速私は神林に本題を投げかけた。昼休みの時間は限られている。彼ときちんと向き合うには時間が少ないように感じられた。




