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恋の消失パラドックス  作者: 葉方萌生
第二話 消失
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「ん……」


明らかに寝不足感満載な心地で朝目が覚めた。

昨晩開けたカーテンの隙間から朝日が差し込んで眩しい。右手にスマホを握ったまま、私は眠っていたようだ。

寝ぼけ眼でスマホの画面を開こうとした。が、昨日アプリを開いたまま眠ったため、スマホの充電が切れている。仕方なく画面を開くことをやめて充電ケーブルに繋いだ。

朝食を食べに行こうとベッドから立ち上がると、明らかに何かがおかしいことに気がついた。いつもなら、バタバタと一階で母が動き回る音がするのだが、今日はシンとしている。ふと部屋の時計に目をやる。


「8時半……」


HRが始まるのは8時45分。しかも、学校まで遠く、バスで30分ほどかかる。

ダメだ。完全に遅刻だ……。

スマホの充電が切れていたせいでアラームが鳴らなかったのだ。多分お母さんも起こしに来たのだろうが、忙しい母は一度私が起きないと分かると、すぐに自分の支度に戻ったらしい。父はとっくに家を出た。

私は食卓の上に用意したあった朝食を摂らずに、急いで身支度をして家を飛び出した。バス停でいつもとは違うバスに乗る。乗客の顔ぶれまで違っていて、私が通う星川学園の生徒はいなかった。

なんとか学校までたどり着くも、時刻は9時半。1時間目の授業が始まっている。確か今日は英語なはずだ。恐る恐る教室の扉を開けた。


「遅れてすみません」


ぱっと全員の顔が上がり、遅れてきた私に注目した。でも、それ以上のことは起こらない。みんなすぐにさっと視線を下へと下げ、視線をノートに移していた。


「座ってください」


「はい」


英語の中川先生は遅刻について特に咎めることもなく、授業を再開した。まあ、そりゃそうだろう。高校生にもなっていちいち遅刻について言及されることなんかない。成績だって部活だって、大事なのは「生徒の自主性」だ。勉強しなさいなんてガミガミ言ってくるのは親だけ。特にうちの親は自分たちが優秀だからって、子供にも同じレベルのことを要求してくるから面倒くさい。


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