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「てかさ、聞いてよ。今度の期末テストの英語の範囲。50ページとかありえなくない?」
昼休み、今日は一日中雨が降っているから、穂花のクラス4組でお弁当を食べることになった。他のクラスの人は2組のいじめのことを知らないから、ここでは幾分か心が落ち着けた。
「テスト? もうそんなこと考えてるんだ」
「だって〜前回のテスト赤点だったんだもん……」
泣き言を言う彼女が可愛らしい。彼女はあまり勉強が得意じゃないから、テスト前は私が勉強を教えることも多い。
「また今度一緒に勉強しよう」
「やった! ありがとう! 日和に教えてもらえるなら希望が湧いて来たよ」
落ち込んでいたはずの彼女は、コロッと明るくなるのが面白い。私もこんなふうに前向きに生きられたらいいのにな、と度々思う。
「それよりさ、穂花に見てほしいものがあるんだけど……」
私は朝からずっと頭の中を支配していた例のアプリのことを、彼女に話すことにした。周りを見回して、近くに人がいないことを確認してからスマホを開く。
「『SHOSHITSU』って、何のアプリ? 初めて見た」
仲良しの穂花とは同じカメラアプリや加工アプリを使っていることが多いので、見慣れないそのアイコンに、彼女も首を傾げている。
「それが、私も分からないの」
「ん? どゆこと?」
うん、それは私も聞きたい。
私は、今朝スマホを開くと『SHOSHITSU』がダウンロードされていることに気づいたということを穂花に説明した。
「えーなにそれ! 超やばいじゃん。日和、最近大丈夫? とうとう頭がおかしく……」
「むしろそうだったら良いんだけど、残念ながら本当に心当たりがないんだよ」




