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「マジのマジ。あたしの家は寿司屋じゃん。あいつの親は漁師で、ご近所さんなの。親同士が職業上めっちゃ仲良しで、小さい頃から二人で遊んでたんだ」
確かに、穂花のお父さんがお寿司屋さんの大将をやっていることは知っていた。まだお店には行ったことがないけれど、近所では美味しいと評判のお店らしい。その近くに、神林も住んでいるということか。
「優しいやつなのよ。ぱっと見地味で目立たないけど」
「いや、地味ではないと思うけど」
「そう? ああ、確かに顔は濃いもんね。でもさ、あいつ学校で喋んないで
しょ。昔はおしゃべりだったのにさ。思春期ってやつ?」
「そうなんだ」
神林の意外な一面をいま知った気がする。
「あ、そういえば今日、彼犯人にされてた」
「犯人って、どゆこと?」
「さっき話した画鋲事件。絶対遠藤柚乃の仕業なのに、たまたま目が合っただけで神林が犯人だって柚乃が言い出して」
「なんだそれ。ひっでーじゃん。でもあいつどんくさいからな〜。そういうこ
とされても不思議じゃないっていうか……」
「でも、ちょっと可哀想だった。謝ったほうがいいかな?」
「え、なんで。日和は悪くないじゃん。謝るなら遠藤の方でしょ」
「まあそうだけど」
ようやくお弁当を食べ終わった私は、お弁当箱の蓋をしめて椅子から立ち上がった。
「どうしたの?」




