ラジアル荷重、アキシャル荷重(スラスト荷重)
自分の名前に誇りを持っていたけれど、より強く思える。
だってこの滑らかな回転具合すごいよ!? ただ置いただけだとものすごい勢いで摩耗していくから消耗が激しかったんだもん。
「んで、ころ軸受はラジアルころ軸受が円筒ころ軸受、針状ころ軸受、円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受の4つ。スラスト軸受はスラスト円筒ころ軸受とスラスト自動調心ころ軸受の2つだな」
「ここまで来ると似たような名前で混乱してきますね……」
「そうだなぁ。一応用途に合わせた種類のやつを使うが、検定の範囲だとそこまで細かくは出んだろうな。とりあえず代表的なやつを覚えとくといい」
「はい!」
「けどその前に、まずはお前さんの名前の説明からしとこうかな」
「はい! お願いします!」
アタシの名前、ラジアル・アキシャル・スラスト。
同じ名前の転がり軸受はどういった区別なんだろう。
「軸受にかかる負荷ってのは方向によって二種類に分けられる。軸に対してこう、垂直方向にかかる荷重がラジアル荷重。軸に対して平行にかかるのがスラスト荷重、もしくはアキシャル荷重だ」
「スラストとアキシャルは同じなんですね」
「ああ、そうだな」
「けどすみません、垂直方向と平行にっていうのがちょっと分からなくって……」
素直に頭を下げると、シャチョーさんは笑顔で応えてくれた。
「ああ、んな細かいことは気にせんでいいよ。そうだな、ちょっとこのローラーの端っこを持ってみな」
「はい」
ローラーの端を持って反対の端を差し出してきたシャチョーさん。
素直に持つと、シャチョーさんはそのローラーを左右や上下に動かした。
反対の端にもしっかりと力が伝わってきている。
「こいつが垂直方向にかかる荷重、ラジアル荷重だな。上下でも左右でも一緒だ。外周から軸受のど真ん中目掛けての方向だと思えば分かりやすいか?」
「なるほど」
「んでこれが、水平方向の荷重」
そう言うとシャチョーさんはローラーを真っ直ぐ突き出すように押し込んだり、逆に真っ直ぐ引っ込めたりした。
なるほど、分かりやすい!
ローラーから手を離して頭を下げる。
「これがアキシャル荷重、もしくはスラスト荷重だな」
「ありがとうございます、よく分かりました!」
「軸受の種類がラジアルとスラストに分かれてんのも、それぞれの荷重に対して有効に働けるってぇことだ。完全に別れてるわけじゃないから注意な」
「はい」
「じゃあ次は、転がり軸受の種類と特徴だな」
「はい!」