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邂逅 後編



生まれたての小鹿。足ががくがく震えるさまを言う。


おっさんは汗びっしょりながら皮膚がもうおっさんなので流れた汗はひいてきたが


水分が皮膚にしみながら、さながら脂汗に包まれたようになっている。


赤い衣装も牛のようなまだら模様に汗による濃淡ができている。


おっさんはひざまずいている。立ち上がろうとして小鹿になっていた。疲れが早い。


たった一振りに必死になったのがこのざまである。逃げたいが力が入らない。


巨人との距離は50メートルをきった。巨人のダメージもなんだかんだで深いようだ。


ヌンチャクの刺さっていた胸の下部分をさすりながら一歩、一歩ゆっくり進んでいる。


丸腰の弱っているおっさんにできることはない。おっさんは巨人の後方に見えている


放置されたヌンチャクを見ていた。


巨人は痛む部分をさすりもう片方の手はしっかりと握られた棍棒をすぐにでも


振り下ろせるようにビュン、ビュン、と素振りしながらおっさんに近づいていく。


30メートル。棍棒はまだ届かない。おっさんから見ればもう壁に見える。


おっさんとヌンチャクをつながせないようになのか


巨人はおっさんとヌンチャクを邪魔するように歩いていた。


痛みは消えて巨人は棍棒を両手で握った。


ラグ「あああおっさ・・・」


ナー「こんなもんなの?・・・こんなもんに・・・」


ロック「ぅぅ何のために俺達・・・」


聖女「くる・・・うふふふ・・・くる、くる・・・うふふふふ」


三匹の妖精は多少なりおっさんに懐いていた。無限コンテニューできた


あの結界では何の心配もなかったが目の前でおっさんがもうすぐ潰されようとしていた。


自分たちでは何もできない。まず何もさせてもらえない。その当の聖女も


狂ったようにうわ言を言いながらニヤニヤしている。違和感は聖女が握り続けている


おっさんのもう一振りのヌンチャク。パフォーマンス用だがこちらに転移した際、ある程度


強化は施しているそうだが、といっても先ほどのようにギドルのような戦士系の男を


細腕の聖女が畳まれた状態のヌンチャクで殴っただけで一撃で倒し伏せるほど強いわけじゃない。


この聖女何かした?そう勘ぐりもしたが後の祭り。心配と後悔が三匹の頭の中を支配していった。


そして


「きたああああ!!!!」


歓喜、というより狂喜の絶叫をあげた聖女。視線は上の空。その空の上から突然。


「あれか」


!!!!!!


巨人を含むその地帯にいるすべての人間に聞こえた。


大きな声ではない。落ち着いていたが太い声が山彦の後半の響き方で


一言だけ全ての人間に聞こえたのだ。直後


ドポン・・・


大きめの水の一滴が大きな水面に波紋を起こして落ちたような音。


先に聞こえた声と同じような音質ですべてに聞こえた。そしていきなり


聖女「シシマああああ!!取れええええええええええええ!!」


聖女がいきなり周りも気にせずおっさんに叫びながら見事な投球フォームで


持っていた畳まれたおっさんのヌンチャクをおっさんめがけて魔力を載せて投げた。


村に施した結界は一瞬消えかけたほど聖女はそのヌンチャクに魔力を乗せた。


そのヌンチャクはおっさんの時の円盤の速度をはるかに超えていた。


それを見ていたすべてが


『この人で倒せるんじゃ・・・?』と思ったほどだ。


ミサイルのようにまっすぐ進むヌンチャクはおっさんをかすめて巨人めがけて刺さりに行く。


そのおっさんは飛んできたヌンチャクに目もくれず巨人の横を必死に走りながら


自分が投げたヌンチャクを取りに走っていた。


しかしそこはおっさん。疲れてへばった状態で走っている。それはすでに歩いている様だった。


巨人は近づくおっさんを踏むか殴りつけるか悩んだ刹那。向かってくる自分への害意を孕んだ


恐ろしい速さで向かってくるソレに気を持っていかれおっさんを見逃す。


ソレはさっき受けたヌンチャクの部分の全く同じ位置をめがけてきた。


流石の巨人もさっきのヌンチャクかそれ以上の威力を受けたくはないと思い、


回避が間に合わないと判断し棍棒の太い部分を構え踏ん張り防御態勢に入って待ったのだ。


その背後、ヘロヘロだったおっさんの位置。おそらく追いついたのだ。けっこう早かった。


自分の投げたそれを拾いへばっていたところに必死に走ってやっと拾ったのだ。


また構えてからの攻撃が来ようと必殺の一撃があの威力なら後で対処すればどうとでもなろう。


巨人の思考でもそう対処を考えられた直後すぐ、なぜか


巨人はおっさんのようなねば~っとした汗が背中にびっしりかき始めた。


ちなみに巨人は人間でいう20代。


寒気?巨人も自分の世界で幾度と戦い死線もくぐってきた。死を受けいれたことはないが


生きることを諦めるくらいの事態がおきても、もがき死線を乗り越えたこともあった。


その死線に迫った時かいた汗、それが巨人の背中にまとわりついていた。


「・・・これでいいのか?」


おっさんの声。おっさんは片膝をつき拾ったヌンチャクを左手に握り


脱力して後ろ構えでおろしている。その姿は以前、自分の数倍はあろう、


目の前の巨人よりは小さかったあの大男にして見せた姿に似ていた。


その間、聖女の投げたヌンチャクはその勢いをまるでなかったかのように


数メートル近かづいたあたりで力なく巨人の前にポトリと落ちた。


大げさな魔力で包んで自分の腕力で物体を投げる飛距離の勢いに


数倍の飛距離と速さと発光を乗せたハッタリ魔法のヌンチャクで


巨人の気を引いた聖女。だが当の巨人は背後の気配に振り向けずにいた。


巨人が向かってきたヌンチャクがハッタリと気づいたのと同時に背中の気配は


嫌でも感じ取れてた。脂汗びっしょりの巨人の背中。巨人は息を荒くする。


「ハア、ハア、ハア、モウス、モウスグナノニ、オマエトアエタノニ・・・」


「ふう~・・・はあ、こっち向いてくれよ。これで決めっから」


巨人の声は聞こえていない。なんかしゃべってる?位な感覚で聞いたおっさん。


おっさんの位置では今の巨人の角度が悪い。こちらを向かせて的を広げれば


おっさんは斬れる。あの時のように。と確信していた。確信させたのは


あの時突然聞こえた声の主。その主はおっさんが拾ったヌンチャクに落ちていた。

何気にこっちが進めやすいので

こっちを更新しました。


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