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23/36

四天王を無理やり鍛える

★★★


「よっしゃあ、今日の鍛錬終わり!」

「ん……今日もよく魔法を撃った……満足」


 魔王と魔王の側近――リュータとミカゲが鍛錬の日々を始めてから、一か月が経過していた。


 最初の一週間は毎日くたくたになるまで魔法を撃ちあっていたが……それに飽きてくると四天王を魔王命令で強制的に呼び出して四人相手に戦う日々をすごしていた。


 もちろん、魔王と側近が四天王と闘って鍛錬するなどということは、これまでの魔王軍の歴史でなかったことである。


「ま、魔王様……い、いつまでこの鍛錬を行うのですか……」

「わ、我ら、もう、毎日ボコボコにされて泣きそうでございます……」

「ど、どうか、ご、ご慈悲を……」

「今代の魔王様は……本当に恐ろしいお方だ……」


 攻撃に特化した四天王も、防御に特化した四天王も、素早さに特化した四天王も、魔法に特化した四天王も、毎日強制的に鍛錬につきあわされてボロボロだ。


「甘い! 勇者なんかは毎日毎日生きるか死ぬかの戦闘の連続なんだぞ! これまでのおまえらのように拠点にふんぞり返って勇者が来るのを待ちかまえてるようじゃ勝てるもんも勝てねぇ! いいか、戦闘ってのはな、毎日必死でやらないと腕が鈍るんだよ!」


 元戦闘狂の勇者は熱く力説する。


「ん……魔法も毎日ぶっ放さないと、精度が落ちる……爆滅は一日にしてならず……毎日爆炎魔法を使うことで、よりえげつない爆炎をできるようになる……ふふふ」


 元魔法狂の魔法使いも不気味な笑みを浮かべながら現魔王の言葉を肯定する。


「鬼だ……」

「うう……」

「悪魔だ……」

「史上最凶の魔王様と側近様であらせられる……」


 四天王たちは心から魔王と魔王の側近を畏怖するありさまだった。


「おらっ! ぐちぐち言ってる暇あったら、もう一戦追加だっ! 体力も魔力も尽きる寸前の生きるか死ぬかの戦いが楽しいんだろうが!」

「……すべての回復薬を使いきってからが本当の戦い……」


「「「「ぎゃ~~~~~!」」」」


 ……今日も四天王の悲鳴を上がり、魔王様のために用意された三十か所目の鍛錬用フィールドは焦土と化した――。



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