第8話 冒険者に憧れて
5歳のコビーって5歳に見えませんでしたね( ̄▽ ̄;)
この回から12歳に成長します。
ここはダンジョン50階にある街〈フィフス〉にある宿屋。
名前はどうあれこの街一番の宿屋兼食堂だ。
「いらっしゃいませ〜何名様ですか〜」
この子はこの《マッスルハッスル》の店主、マッスルの息子コビー12歳。
今日も両親のお手伝いで大忙しである。
コビーの日課は朝マッスルの仕込みの手伝い、お昼まで図書館での勉強。お昼は忙しくなるアニーの手伝い。
そしてそれが落ち着くとサニーとアントニオと一緒に魔法の勉強。そして夜は筋トレである。
この日課をあのファイアーボール事件の次の日から少しづつ始めていた。
まず、マッスルの仕込みの時はジョブを料理人に。
そして図書館では知識欲の中に詰め込めるだけの知識を詰める。
幸いこの街には勇者の仲間の大賢者、トモキ=コバヤシが残したとされる書物が沢山あった。
まぁ中には絵本とかも多くあるが、絵本の中にも伝記などの歴史が示されていると言われるものも多数ある。
そしてアニーの手伝いの際にはジョブを商人に変更。接客やレジなどをこなし。
午後になるとジョブを赤魔道士か黄魔導師に変えて魔法の勉強をする。この7年間毎日続けていた事もあり、今では3人とも上級の魔法まで使えるようになっている。
スキル知識欲のおかげなのか、ジョブが物真似師に一度戻ったとしても、次に同じジョブをつけた時に、覚えたスキルはそのまま使えるようだ。ただ、物真似師に戻ってしまうとスキルも消えてしまうので使おうとしても使えないのである。
そして1日の終わりにはマッスルに課せられた筋トレを行う。
その結果
基本ステータスはかなり上がっていた。
「スキルチェック!」
ジョブ : 物真似師
Lv : 1
HP : 200
MP : 350
STR : 200
ATK : 100
DEF : 150
INT : 300
TEC : 350
SPD : 150
HIT : 150
LUK : 500
スキル : 鑑定、知識欲、
ユニークスキル : 物真似
なぜかラックだけは一流である。
「なかなか平均的には上がらないなぁ。どちらかというと魔法寄りに上がってるかな?父の筋トレのおかげかSTRは上がってるけどこのままだと物理での攻撃は難しいなぁ。これはジョブ頼りになりそうだ。勇者とか大賢者とか大魔導師とかすごい人来ないかなぁ。そしたらジョブを試してみたいなぁ。とりあえず今まで通りお店に来たいろんな人のジョブを使って裏で試してみようっと。」
コビーの密かな楽しみは100階層の街〈フォース〉から来る冒険者のスキルを試してみる事だった。
今までも剣士や青魔道士、緑魔導師、白魔道士、戦士や重戦士、武闘家や拳闘士などのバトル系ジョブや、交渉人や鑑定士、占い師や祈祷師などと言った様々なジョブを試してきた。
物真似は500m以内にジョブ持ちがいないとジョブを変えることができない。なのでお店で食事を取っている間に裏でこっそりと試していたのである。
そんなある日いつもの朝の日課を行いお店の手伝いをしていると黒いロープに包まれた不思議な老人が食事に訪れた。
「ん?君は珍しいスキルを持っているね?物真似か・・・初めて聞くが中々に面白い。」
「おじさん何で物真似ってわかったの?鑑定スキル持ち?おじさんのジョブは・・・え?表示されないや・・・。」
「ふぉふぉふぉ。それなりに長く生きているからのぉ。レベルも中々に高いんじゃ。だが君ならいずれ見えるかもしれんのぉ。そのためには少年よ。毎日鍛錬し、そして冒険をしなさい。」
不思議なおじいさんはニンマリと微笑みながらそう言うと食事を済ませ店を出て行った。それを見送ったコビーは1人呟くのであった。
「冒険かぁ」
冒険。男の子は誰もが憧れる冒険者という響き。
この街には冒険者という仕事が存在する。
主な仕事はこの50階層と他の階層での素材採集、害獣駆除。他にも100階層にある街〈フォース〉へ行く商人の護衛などがある。
フォースへの道のりはフィフスの街のある50階層よりも強いモンスターが多く存在する。
モンスターは50階層ごとに強さのレベルが変わってくると言われており、
〜50階 E〜D
〜100階 C
〜150階 B
〜200階 A
〜250階 S
〜300階以降 S以上
と、なっている。
フォースに到達するには最低でもCランクのモンスターを単独で倒せるだけの実力の持ち主でないとならない。
モンスターのランクを考えると地上に出た方が楽に感じるが、上の階層へと続く道は見つかっていない。
下の階層への道は冒険者ギルドの中にあり、冒険者になる際に発行される冒険者カード、もしくは商人ギルドで発行される商人カードを提示しなければ通ることができない。
冒険者には15歳にならないと登録することができず、最低でもこの階層のモンスターを倒すことのできる力を示さなければならない。
冒険者に憧れる子供達はまず自己鍛錬を積み、街の外でモンスターと戦い、レベルを上げて経験を積むというのが一般的だ。
コビーも伝承にある勇者に憧れを抱き、自己鍛錬を積んできた。まぁ半分くらいマッスルの筋トレに付き合わされていただけだが・・・。
コビーも12歳になり街の外へ行き、レベルアップをしたいと考えていた。
冒険者になるためのレベルアップ。
ついに次回戦闘回があるます!