第31話 キラーウルフ
お久しぶりの投稿です(・・;)
僕の名前はコビー=ノートン。ジョブは【物真似師】というレアなもので500m内にいる人のジョブに切り替える事の出来る不思議なジョブだ。普段は仲間のマイル達と一緒なので前衛を担当する為、マイルの剣士ジョブに合わせている。
そんな僕たちは今ギルドの中にある下へと続く階段を前にしていた。階段は4人が横に並んでも余裕があるくらい広く、高さは3m程と少し低くなっている。壁にはランプなどはないが壁自体がほんのりと灯りを放ちダンジョン内を照らしている。
「じゃあ行こうか!何が待ち受けてるかはわからないけど1階層づつゆっくりと進んでいこう。」
僕はみんなに声をかけると自ら一歩を踏み出し階段を降りていく。サニーは一緒に進むべくすぐに横に並んで付いてきた。
サニーは幼馴染で武器屋のひとり娘である。子供の頃から常に一緒にいるので兄妹みたいな存在だ。
一方アントニオはビクビクしながら階段を眺めていたが、後ろに付いているマイルから背中を押される形で進んでいた。
「もうアントニオ!覚悟決めなさいよ!何かあったってあたし達なら大!丈!夫〜!」
マイルは剣士で僕らのパーティ【クロノブレイバー】のムードメーカーでもあり、常に明るく周りを励ましてくれる。
対するアントニオ、通称トニーは一見頼りなくビクビクしているが自分の研究に必要な物を見つけた時には豹変する。もちろん戦闘になれば自分の力を発揮してくれる頼れる仲間だ。
そんな4人で自分達の育った街を背に階段を降りて進んでいく。
この街は1つのダンジョンの中にあり50階層毎に街が存在する。500階層あると言われているが、最下層までたどり着いた者は居ないとされているので定かではない。
階層を降りる毎に魔物のレベルも上がっていき50階層の周辺ではE〜Dランクの魔物が出現する。次の街へと続くこの50階層ではD〜Cランクの魔物が出現すると言われている。ただ、魔物の出現は確実なものではなく突如として高ランクの魔物が出現する事もあるので油断はできない。
階段を降り迷宮に足を踏み入れると早速魔物ウェアウルフが3匹現れた。ウェアウルフはフィフスの街周辺でよく見られる魔物なので僕とマイルでスキルも使わず一太刀で処理をする。30分ほど迷宮内を進んだが出てくるのはウェアウルフのみだったのでこの階層ではウェアウルフしか出ないと思われる。
ちなみに100階層までの地図は冒険者ギルドで販売されており、もちろん僕達も手に入れて来ているので迷う事なく進んでいる。今回はとにかくフォースの街に辿り着く事が目標なので宝箱のある部屋などは立ち寄らずにスイスイと進んでいく。
ウェアウルフを倒しながら更に30分ほど進むとようやく下の階に進む階段が現れた。
「やっと下に降りれる〜!ウェアウルフしか出ないし退屈だったんだぁ・・・。下の階層はもっと強いの出て来ないかなぁ!?」
そう叫ぶ様に言いながらもマイルはいち早く階段を降りていった。
マイルはウェアウルフしか出ない階層がお気に召さなかった様だ・・・。
このダンジョンでは階層毎に出る魔物が統一されており、51階層ではウェアウルフしか出なかった。ただ、地図には階層毎に何の魔物が出たかも書いてあるのだが・・・。
「うえぇぇ・・・またウェアウルフじゃん・・・。」
階段を降りるとマイルの前にはウェアウルフが5匹臨戦態勢を取っていた。
そう、この階層もウェアウルフしか出ないらしいのです。ちなみに55階層まではウェアウルフ、56〜60階層まではウェアラット。つまり地図通りなら61階層まで行かないと新しい魔物に出会う事はないのです・・・多分・・・。
「あぁぁぁ!ストレスだよぉ!!」
「マイル落ち着いて。普通なら強い敵は避けるものだから。僕は極力敵との遭遇は避けたいし・・・。」
「はぁ?!迷宮にまできて敵を避けるとか意味わかんない!トニーも少しは漢を見せなさいよ!そんなんだからヒョロヒョロなのよ!」
酷い言われ様だ・・・。あ、トニー君の目に光るものが・・・。
「もう!マイル!トニー君をイジメないの!まったく・・・。ちなみに55階層まではウェアウルフしか出ないからね?ここでストレス溜めてたら保たないわよ?」
サニーはマイルを諌めつつニヤニヤと真実を告げた。
マイルはものすごい勢いでサニーに振り向いた後、キッ!という擬音がなりそうな勢いで僕を睨みつけてきた。
「本当なの?コビー?」
「本当だよ。っていうかマイルだって一緒に地図見たよね?地図にはどんなモンスターが出るかも書かれてるんだけど?」
マイルは「ガーン!」と声に出して言いながら四つん這いになりうなだれている。
いや、ウェアウルフが目の前にいるからね?あ、トニーがガイアランスで倒してる。
「と言うわけでマイル?早い所61階層まで行こうと思うんだが良いかな?」
「そうだね!ウェアウルフとウェアラットなんてとっとと倒して突っ切ろう!」
そう言いながらズンズンとウェアウルフを一太刀で倒しながら進んでいく。本当に強くなったなぁ。そんな事を思いながらマイルの横に並び前衛としての仕事をこなしていく。
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特に何事もなく54階層をクリアし55階層に足を踏み入れた瞬間、今までとは違う雰囲気を感じた。奥へ進んでいくと5匹のウェアウルフが現れた。
「うぅぅぅ・・・ウェアウルフはもういいよぉ・・・」
マイルはそう呟きながら今まで通り一太刀で終わらせようと踏み出し剣を振った。
だがウェアウルフはマイルの剣をヒラリとかわし左右に分かれ連携を取り攻撃を仕掛けてきた。
「え・・・ちょ・・・」
マイルは突然の事に反応しきれず体当たりを受け尻餅をついてしまう。
そこへ追撃をしようとウェアウルフが飛び込んで行く。
「させない!」
僕はマイルに向かってきたウェアウルフを横から剣を薙ぎ一刀両断する。
「マイル!大丈夫?!油断しすぎだよ!」
「ごめんごめん。まさか連携とってくるなんて・・・今までこんな事なかったからさぁ。」
ウェアウルフはウェアラットと違って群れを成しても連携を取らず単体で向かってくる事しかないのが普通なのだが、今回は連携を取ってきたのだ。これはフィフスの街の周りではあり得ない事だった。しかし今回のウェアウルフは連携を取ってきたのだ。これは1つの可能性を示していた。
「もしかしたらキラーウルフがいるかもしれない!気をつけて!」
その言葉に反応したのか奥からウェアウルフよりもふた回り近く大きく、真っ赤な毛色をした狼型の魔物がウェアウルフ5体を従えて現れた。
「ウオオォォーーン!!!」
天井に向かって叫ぶように遠吠えをしたキラーウルフのサイドから5匹のウェアウルフが飛び出してきた。
2匹はそれぞれ左右から挟むように、残りの3匹は一直線に並び正面から突進してきた。僕とマイルは剣を構え、正面のウェアウルフを迎え討つ。1匹目のウェアウルフ目掛けてマイルが飛び出した。
そのマイルの目の前で先頭の1匹が急停止しその背後から2匹目が頭上に飛び上がり噛み付こうと飛び掛かってきた。
「うわぁ!なにそれ!」
マイルは戸惑いながらも2匹目のウルフに対し横薙ぎに剣を振るったが浅い傷をつけるに終わってしまう。するとさらに後ろにいたウェアウルフがマイルに飛びかかって行った。
「!やばっ・・・!」
マイルは2匹目のウルフに気が行ってしまい3匹目のウェアウルフに気付いていなかった為、気付いた時には目の前に3匹目が飛び掛かっていた。
「マイルしゃがんで!」
僕はマイルに追いつき3匹目のウェアウルフに向かってマイルの頭上越しに剣を突き刺した。
3匹目のウェアウルフは大きく開けた口の中に剣を突き立てられて絶命し、霧となって消えていった。
「ちょっとコビー・・・頭に少し剣が掠った気がするんだけど〜・・・」
マイルが頭を抑えながらジト目で見ているが気にしないで1匹目に集中だ。
「マイルはさっきの飛び掛かってきたやつを頼む!」
そう叫び1匹目のウェアウルフに向かっていくがバックステップでキラーウルフの下まで下がられてしまった。
一方、左右から攻撃を仕掛けてきたウェアウルフはアニーのファイアランスと、トニーのガイアランスで難なく倒し、僕らの後ろへと駆け寄ってきた。
「ちょっとマイル大丈夫?あんたは突っ込みすぎなのよ!少し気をつけてよねっ!」
「いやぁ面目無い・・・でもでも!1匹は仕留めたよ!」
「コビーがフォローに入ったからでしょうに・・・まったく・・・で、コビーどうする?あれ確かにキラーウルフね?ランク的にはCって所?連携取られたらBランクにも劣らないって言うわよ?たしかにさっきのウェアウルフはかなり連携取れていたものね?」
「まぁ今はウェアウルフも1匹しかいないし連携取るってこともないだろうし、このまま倒しちゃおう!」
僕とマイルは剣を構えてキラーウルフに向かって駆け出した。
その直後残ったウェアウルフが向かってきたが同時にキラーウルフは奥へ走っていってしまった。
呆気にとられた僕達は残ったウェアウルフを倒し一瞬立ち止まって呆けてしまったが、すぐに逃げられたのだと気づき追いかける事にした。




