第28話 事後処理
コビーが目を覚ましテントから抜け出すと、そこにはサニー達が朝食の準備をしようとしている所だった。
「いやぁなんかすぐ目が覚めちゃってさ〜そうだ!レベル!レベルがすっっっっごい上がってんの!それもあって飛び起きちゃった!」
マイルが言うには戦いの後だからか興奮してすぐ眠りにつけず、眠ったと思ったらすぐ目が覚めてしまい、なんとなくスキルチェックをした所、今までにないレベルの上がり方にびっくりしたと言う事だった。
「そうなのよ。私もマイルに言われて確認してみたら凄くレベルアップしてたの。トニー君にも確認してもらったら彼も上がってるって。やっぱりワイルドボアの経験値が原因よね?」
サニーとアントニオのレベルも上がっているようだ。コビーはそう言われて自分のスキルの確認もする。
「スキルチェック!」
コビー
Lv : 15 → 28
HP(体力) : 632 → 1,601
MP(魔力) : 551 → 1,515
STR(腕力) : 501 → 1,486
ATK(攻撃) : 553 → 1,513
DEF(防御) : 490 → 1,451
INT(知力) : 752 → 1,721
TEC(技術) : 620 → 1,591
SPD(速さ) : 412 → 1,385
HIT(命中) : 580 → 1,521
LUK(幸運) : 1050 → 1,985
コビーは自分のスキルを確認して目を見開いた。
「こ、こんなに上がるものなのか?一気に28なんて・・・。これ大丈夫か?と、とりあえずみんなのも鑑定させて貰うね?鑑定!」
サニー
Lv : 13 → 25
HP(体力) : 351 → 963
MP(魔力) : 1101 → 1,985
STR(腕力) : 215 → 852
ATK(攻撃) : 175 → 1,132
DEF(防御) : 401 → 925
INT(知力) : 1098 → 1,963
TEC(技術) : 631 → 1,593
SPD(速さ) : 381 → 993
HIT(命中) : 485 → 1,412
LUK(幸運) : 453 → 1,399
マイル
Lv : 14 → 25
HP(体力) : 985 → 1,998
MP(魔力) : 301 → 893
STR(腕力) : 532 → 1,563
ATK(攻撃) : 1250 → 2,285
DEF(防御) : 712 → 1,783
INT(知力) : 325 → 732
TEC(技術) : 632 → 1,681
SPD(速さ) : 512 → 1,569
HIT(命中) : 498 → 1,521
LUK(幸運) : 258 → 582
アントニオ
Lv : 11 → 22
HP(体力) : 385 → 682
MP(魔力) : 998 → 1752
STR(腕力) : 231 → 583
ATK(攻撃) : 258 → 600
DEF(防御) : 312 → 653
INT(知力) : 958 → 1,730
TEC(技術) : 490 → 1,398
SPD(速さ) : 250 → 785
HIT(命中) : 385 → 1,317
LUK(幸運) : 301 → 963
コビーは確認して「ふぅ〜・・・」と一息ついた。
「みんなのレベルの上がり方も尋常じゃないね?ちなみに僕もレベル28まで上がってた。・・・相談なんだけど。ギルドへの報告の時、効率の良い狩り方の事、弱点の事は言わない様にしないかい?もちろん大量に発生してしまったのであれば被害が出ない様に報告するけど・・・。もしこんなに簡単にレベルが上がるなんて知られたらワイルドボアを巡って騒動になりそうだからさ。弱点がわからなければ普通に戦うのはかなり大変だと思うから、争ってまで討伐しようってパーティは出ないと思うんだよね。もちろん依頼は都度出ると思うから僕らで出来る限り処理したいと思う。僕達のレベル上げも出来るしどうかな?」
「あたしは賛成〜。もっともっとレベル上げたいし!」
「ちょっと気が引けるけど確かに混乱しそうよね・・・。賛成よ。」
「・・・本当なら研究者の端くれとして発表したいんだけど・・・確かに無駄な抗争や混乱が起きそうだね・・・コビーの考えに従うよ」
「よし!じゃあ朝食だけ済ませてワイルドボアの状況だけ確認したらギルドに戻って報告しよう!」
そう言うとコビーはディメンションボックスの中から朝食を取り出す。ノートン家の定番メニューの野菜スープにカリカリのウェアウルフ肉、それに柔らかいパンだ。
みんなで食事をし終えると、全員で外へ出てウェアウルフの確認へ向かう事にした。
このダンジョンには人工太陽というものがあり。夜になるにつれゆっくりと消えていき、朝決まった時間にゆっくりと明るくなる。
コビー達が外に出ると薄っすらと明るくなっており、辺りは朝靄に包まれ静まり返っていた。コビーが探索のスキルを発動し、200m先に3匹の魔物の気配を見つけ全員で確認すると、そこにはワイルドボアが3匹佇んでいた。
「ねぇねぇコビー?レベルの上がったのを確かめてみたいんだけど普通にたたかってみても良い?今なら倒せる気がするんだよね〜」
マイルはそう言い腕をぐるぐる回してアピールしている。
「私もちょっと試したいかも!一回だけファイアランスを弱点じゃない所に当ててみて良い?」
コビーはマイルとサニーの意見に呆れた様に溜息をつき同意した。
そしてアントニオは恥ずかしそうに俯きながらも発言した。
「・・・ぼ、ぼくも試してみて良いかな?」
コビー達は思わず二度見してしまうくらい驚いた。アントニオが戦いに積極的に関わろうとするのは初めての事だったからだ。
「じゃあ3匹いるから1人1匹を相手にする形でいこう。僕はそれぞれのフォローをするよ。まずはサニーとトニーが魔法で左右のワイルドボアに攻撃を仕掛けて、ヒットした瞬間にマイルが飛び込む感じで行こう!」
「「「りょーかい」」」
アントニオとサニーは同時にいつもどおり魔法を唱えた。
「ファイアランス!」
「ガイアランス!」
2人の掌にそれぞれ1本の岩と炎のランスが生成される。見た目は今までと変わらないが内包する魔力が桁違いに上がっている。
『ドガガァァァン!!!!!』
凄まじい爆発音が響きあたり、サニーが狙った方は炎が燃え上がり、アントニオが狙った方には大きなクレーターが出来ていた。そこにはワイルドボアは存在せずにドロップアイテムだけが残されていた。
2人が魔法を放ちワイルドボアにあたる寸前にマイルは飛び出そうとしていたがあまりの爆発音に気を取られ出るタイミングを失っていた。また、残ったワイルドボアも固まった様に動く気配がなかった。
「マイル!残りを!」
「あ、あぁそっか!ウィンドスタッヴ!」
少し遅れてマイルが動き出す。弱点の眉間を狙わず胴体を狙ったマイルの剣は胴体に大きな風穴を開けた。その瞬間ドロップアイテムと魔石が転がり落ちた。
「へ?」
マイルは自分がした事を理解出来ずに思わず変な声が出た。
3人ともレベルが一気に上がった事により自分の力の感覚がズレてしまっていた。実際に今のコビー達の実力は全員がDランクでも上位の冒険者並みだ。
「・・・す、すごい。みんなすごいよ!レベルが上がるとこんなにも効果が変わるんだね!けど、これは威力を調整しないと今まで普通に使ってた魔法がかなりの威力になって大惨事になりかねないね・・・。」
コビーは両手を上げて喜んだ後、顎に手を当てて呟いた。
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コビー達は街へ続く街道を歩いていた。辺りは完全に明るくなり1日の始まりを感じさせた。そんな道中、昨日出会ったファイアサークルのメンバーと遭遇した。
「おーい!お前ら無事だったのか!今朝ギルドに行ったらお前らがまだ戻らないって聞いたから慌てて飛び出して来たんだ!」
「え?!そうなんですか?!ご迷惑お掛けしてすみません。実はあの後奥へと進んでいったのですが、またワイルドボアと遭遇しまして、なんとか倒したものの辺りが暗くなってしまったので仕方なく野営をして朝一で帰ってきたんですよ。」
「そうだったのか・・・。まさかまだいたとは・・・。うちらも残れば良かったな。すまない。」
ヒョーロイは頭を下げて謝る。
「い、いや!謝らないでください!僕達も無事に戻ってきたんですから!とにかくギルドに今回の件を報告に行こうと思います。」
「そうか、じゃあ俺らも改めて依頼を探しにギルドに行くとしよう。」
コビー達とヒョーロイ達はギルドまで情報交換をしながら歩いていく。実際にどこまで報告はされているのか、依頼は常設するのかなどなど、まぁマイルなどは美味しい甘味はどこだとか洋服屋巡りがどうとか話していた様だが・・・。そしてギルドに到着するとヒョーロイから夕食の誘いがあったのだが今日はみんな疲れているのでまた後日でと断りを入れ、コビー達はギルドの受付へと歩いていきミリアへと声をかけた。
「皆さん!ご無事で何よりです!昨日は戻って来なかったので何かあったかと心配していました・・・。ファイアサークルの方々からお話は伺っております。報酬もご用意しておりますのでお待ちいただけますか?」
そう言ってカウンターから離れようとしたミリアにコビーは声をかけた。
「あ、ミリアさん!ギルドマスターにご報告したい事があるのですが出来れば繋いで頂けませんか?」
「ギルドマスターに直接ですか?では確認してまいりますので少々お待ちいただけますか?」
そう言ってミリアは奥へと入って行った。
5分ほどで戻ってきたミリアに案内されてギルドマスターの部屋へ入りソファに腰掛けた。
「話というのは森の事についてなんですが・・・」
コビー達はワイルドボアが発生する様になった事、それはずっと続くのではなく2週間程度なのではないかと言うアントニオの考え、ワイルドボアの強さについて、などなどを報告した。もちろん弱点などは教えていない。常設依頼として出されるのであれば自分達が受けたいと言う意思を伝えた。
「なるほど・・・。話はわかった。ファイアサークルの面々からも多少は聞いていたからな。Cランクとなるとうちの冒険者ギルドの面々だと中々に難しいだろうな。」
「そうですね・・・。僕達はなんとか1匹を4人がかりでギリギリ倒しましたからね。その後も何度か戦いましたが何度戦っても苦しい戦いになりました・・・。倒せたのが不思議なくらいです。」
コビーは内心ではドキドキしながら平然な顔をして答えた。
「ん?そうか?まぁ今後も出続けてくるならば討伐依頼を出しておくしかないな。Cランクのワイルドボアの群れなんぞに襲われたらこの街はたまったもんじゃない・・・。」
ギルドマスターは頭を抱えながら呟いた。
「ワイルドボアとは何度も戦いましたし、僕達も依頼は常に受ける様にしますよ。街は守りたいですしね。」
「そうしてくれると助かる。今うちのギルドに常時いる中で最大戦力が、Dランクパーティが2組で後はEとFだからな。まぁランクが実力の全てではないが安全策をとってDランクの依頼とするからよろしく頼むよ。」
こうして話も終わりギルドマスターの部屋を後にしたコビー達は、受付に戻りミリアに声をかけた。
「ミリアさん。話し合い終わりました。で、報酬をこちらで受け取っていけと言われたのですが、一緒にワイルドボアの素材も買い取ってもらえますか?」
ミリアに承諾を得たコビーはカウンターの上にディメンションボックスから出しながら素材を並べていく。一気に出すと問い詰められそうなので5匹分の肉と皮と牙を並べた。
「これで全部です。査定お願いできますか?」
「コ、コビーさん達5匹もワイルドボアを倒したんですか?!Cランクの魔物ですよ?!」
「ま、まぁ1匹づつでしたから何とか倒す事ができました。それはもう大変でしたよ。」
コビーははぐらかそうと必死だ。
「・・・そう、ですか・・・。深くは追求しませんが、あまり無茶はしないでくださいね?では、査定して参りますので少々お待ちください。」
ミリアは奥へと入って行った。
「・・・ふぅ・・・。嘘をつくのは苦手だよ・・・。」
「けど、5匹分であんなに驚かれちゃったら全部出したら大変だったわね・・・。」
「・・・普通はCランクの魔物を僕達みたいな新人が倒せるわけないから少しでも隠せて良かったと思うよ。目立つのは避けたいし・・・」
「充分目だったと思うけどね〜まぁ良いじゃん!報酬いっぱい貰えたし〜!美味しいもの食べに行こうよ!」
そんな話を4人でしているとミリアが戻って来た。
「お待たせしました。まずは肉が1個5,000ゴルド、そして皮が1個8,000ゴルド、最後に牙が1個15,000ゴルド、各5個づつなので合計が14万ゴルドになりますがよろしいですか?」
4人は口を開けて呆然としていた。ミリアに再度声をかけられ再起動した4人は無言で何度も頷く。するとミリアは皮の袋を二つ取り出した。中には14万ゴルドと10万ゴルドがそれぞれ入っていた。コビーはそれを受け取りディメンションボックスにしまうと、ミリアに礼を言って4人は食堂へと移動し、席に着き小声で話し始めた。
「ちょ、ちょっと、半分以下の素材で14万もの大金になっちゃったじゃない!・・・残りの素材どうするのよ?」
「・・・ワイルドボアの素材なんて滅多に出ないから研究者とか武器屋とか錬金術師とかとにかく色んな人達がこぞって買うと思うんだ。だから妥当といえば妥当だね。僕も牙と皮を一つづつ貰って良いかな?錬金術に使いたい。」
「・・・お金がいっぱい・・・美味しいものいっぱい・・・」
1人は夢の世界にいる様だがサニーとアントニオは今後の事で頭を悩ませている。
「一応牙と皮については少しドラゴさんに見てもらって武器と防具の素材として使えないかを聞いてみよう。肉は非常用にとっておいても良いしね。もちろんトニーの錬金術でも使って良いよ。」
こうして話しのまとまったコビー達はマイルを現実に戻し少し豪華なお昼ご飯を堪能して一先ず帰路に着いた。今日ディメンションルームの中用の様々な物を作る予定だったが、流石に明日に延期する事となった。




