第2話 お料理だぁ
さぁジョブの確認だ
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「・・・え?今なんと?」
マッスルは妻アニーと息子と共に街にある教会に来ていた。
「もう一度言いますね。この子のジョブは物真似師と出ました。こちらでも調べてみたのですが過去に例がなくどういったジョブなのかわかりません。なのでこの子が5歳になりステータス確認が出来る様になってからでないと・・・」
「・・・」
2人で顔を見合わし、息子へと視線を落とした。
この世界は産まれてすぐにジョブが決定する。ジョブは教会で確認してもらう事が出来、親はそのジョブに沿って子供の将来を導いていくとされている。
大体は親のジョブに引っ張られ、剣士の子は剣士。魔導師の子は魔導師の様な産まれ方をする。その為、過去にないジョブが出る事は稀である。
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息子はコビーと名付けられ、スクスクと育っていた。
時にはマッスルに筋肉トレーニングを強要され。
時にはマッスルに走り込みをさせられ。
時にはマッスルに新作の味見をさせられ。
時にはマッスルの・・・
と特にマッスルに可愛がられていた。
時は4年が過ぎた頃。コビーはいつもの様に《マッスルハッスル》の食堂にいた。
いつもの様にカウンターに座りマッスルの料理する姿を見ていた。
「とうちゃん!僕もお料理してみたい!」
「!!コビーよ!我が息子よ!お前は我が道を継いでくれるのか!?よし!!こっちに来い!俺が料理ってもんを叩き込んでやる!」
なぜか涙を流しながらそう言ってくる父に内心ビクビクしていたコビーであった。
「まずはこの人参を切るところからやってみるか!とうちゃんが見本を見せる!!」
そう言ってマッスルは凄まじい速さで人参を切り刻む!
「さぁゆっくりで良いから同じ様にやってみるんだ!」
鬼か!出来るわけないだろ!
誰もがそういうと思うんですがね。
コビーは恐る恐る包丁を手にした。
その瞬間頭の中に声が響いた。
【スキル物真似を使用します】
【ジョブが料理人に切り替わります】
「?!」
コビーはその声に驚きつつ包丁を見つめた。
「(出来る気がする)」
なんという事でしょう!コビーの手が素早く動き同じ様に人参を刻んでいきます。流石にマッスルのスピードには及ばないにしろ、初めて包丁を握ったとは思えないスピードで刻んでいた。
「・・・ふぇ?」
マッスルは口を開けたまま変な声を出し固まっていた。
「とうちゃん出来たよ〜!」
コビーは無邪気にマッスルに言った。
「・・・す すごいな!コビー!さすが俺の息子だ!!」
マッスルはコビーの頭をグワしグワしと撫で回した。
「(これはジョブのおかげなのか?物真似っていったい・・・。料理人って事か?後継ぎって事か!?)」
などと心の中で盛り上がっていた。
この後マッスルによる料理特訓が始まるのは語るまでもない・・・。
マッスルよ・・・