夏祭り
私の小説を開いてくださりありがとうございます。
拙いですが初作となっております。どうか温かい目でご覧ください。
ある神社の夏祭り。並ぶ屋台の香りと線香の匂いが集まる中、私はある男性を待っていた。
汗を流しながらも人々は、辺りの暗さを賑やかに鮮やかに彩った。
ただ彼はお祭りの雰囲気とは程遠い、物憂げな表情でこちらへやってきた。
「久しぶりだね。最近はなかなか来れていなかったよ」
お祭りの事を言っているのだろうか、そう言って彼はあいさつ代わりと花束を私に向けた。
「ジニア。またこの花か。この花はどうも好きになれないと言っているのにいつも君は聞く耳を持ってくれないな」
私はそう言いまた花束を受け取らなかった。
彼は「裕也」。私の幼馴染である。
小中高共に歩んできた中で、よもや恋仲かと思われたが全くそういった気はなく二人お互いの道を歩んできた。本来の幼馴染とはそういったものである。幼馴染と徐々に近づき・・・などドラマや漫画の見すぎにも程があるのだ。
高校卒業後、私は大学へ彼は就職へと足を進めた。彼は就職後、才を見せ始め今や一企業の管理職である。学生時代は学の無い要領の悪い奴だったのだがな。と、私はよく口にしたものである。
そのこともあり彼とはほどなく疎遠となり、今では時々こうして彼が立ち寄った時に顔を見ることしかない。
しかし、お盆が長期休暇ということだろうか毎年この時期には必ず会っている。年に何度か立ち寄っているようではあるが実際何度も会えているわけでは無い。こちらも暇ではないのだ。
「それで、今日はどうしたんだ?まさか一緒に夏祭りを楽しみに来たわけでもあるまい」
「君には伝えておきたくてね。実はまた振られたんだ」
彼の事で言い忘れたことがある。「また振られた」そう彼は昔からモテるのだ。
だからこそ振られたときは盛大に笑ってやるのだ。
「「アッハハハハハ」」
「またそうやって笑っているんだろう?」
「真似するんじゃないよ!こっちはこの話聞くために会ってやってるんだ、フフッ」
「そういえば理由を教えてやらないとな」
「どうせいつものことだろう」
容姿は割と良い、高収入、おまけにお節介ながらも優しいときたら彼女が出来るまでさほど時間はかからないだろう。それでは、彼が振られ続けたる所以を話してもらおう。
彼は、どこから取り出したのかビールを片手に話し出した。もちろん私の分も買ってきてくれていた。
「先月彼女の誕生日だったんだ。誕生日プレゼントはサプライズがいいと思ってさ」
「サプライズが全てではないが、気持ちは嬉しいのではないか?」
「それで、庭園を買ったんだ」
「は?今なんて?」
「その時期は梅雨だからあじさ・・・」
「いや、聞き直しをしただろう!?庭園ってなんだよ!それは流石に重たすぎるだろ!アッハハハハ!おなか痛い!」
分かっただろうか。彼の相手へのプレゼント(愛)は重すぎるのだ。
去年のクリスマスは船舶旅行ではなくクルーズ船をプレゼントしていた。相手曰く「誰が操縦するんだ」と言って振られたそうだ。
「・・・分かってはいるんだけどな。尽くしたくなるんだよ」
「女性は尽くされるのが好きなのは本当さ。ただ、尽くしすぎるのも問題がある。相手は尽くされた分、自分も返さなきゃってなるだろ?君が与えた愛は、相手にとっては到底返せるものではなかったんだよ」
「返報性ってやつなのかな」
「分かってるじゃないか。まあ悔やんでも時は戻んないよ。一番君が知ってるだろう」
「この思いを返してもらいたいわけじゃないんだけどな。ただ、受け取ってほしいだけなんだ。きっと・・・」
彼の言葉は賑わう人の声の中にはかなく消えていった。
お祭りの最中彼はひとしきり話し終えて満足したのか、私の方の石にもたれかかる。
「おい、こんな所で寝ちまうんじゃないよ。私にはあんたを動かせないんだからさ」
受け取ってほしいか。。。君はいつまでも気づいちゃいなかった。
何度も私に彼女や恋人を紹介しては振られていった。誰も君の重すぎる愛を受け取れずに。
私にはずっと前から。。。その愛を受け止める気持ちでいたのに。なぁ裕也・・・
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懐かしいことを思い出していた。
僕がここへ来るのは決まった日が多い。今日はたまたまお祭りがあるのだろうか、いつも草木の優しい音の鳴るその神社はまばゆい光と歓声に包まれていた。
「お祭りか、さすがにカップルが多いね。今の僕には少しつらいな。」
いや、これは違う胸の痛みか。
賑わうお祭りの中僕はまっすぐに目的の場所へ向かった。
「久しぶりだね。最近はなかなかこれていなかったよ」
そういって僕は、彼女のお墓の前に花束を置いた。
彼女の命日そして故人が降りるといわれるお盆、この二回は欠かさずにここへやってくる。今回は土産話もついでだ、少し話し込んでいこう。
そう思い、先ほどほど買ったビールを手に彼女に話しかけた。
どこかで聞いていると願って。
彼女は「あやか」。三年前に亡くなった僕の幼馴染だ。
亡くなったあの日、彼女はいつになく荒れていた。いや、お酒を入れた彼女はいつも荒れるか。ってそんなことはどうでもいい。ただその日は僕に対して素っ気なかったように思う。いつもは絡んでくるのに。
そうやって時間が過ぎ、帰りはいつも通り送ろうとしたところ一人で帰ると言い出した。
僕は、「分かった」と。それだけ言った。それが間違いだった。
帰宅後、彼女が事故にあうなんて思いもしなかった。よく笑い、よく喋る。僕の重たい話をよく聞いてくれる唯一の友だった。慢心だったことは、言わずともわかる。あの日程悔やみ時間が戻ってほしいと思ったことはない。
彼女には笑っていてほしい、その願いからだろうか未だに別れ話は彼女には必ず伝えている。
「君には伝えておきたくてね。実はまた振られたんだ。アッハハハハハってまたそうやって笑っているんだろう?」
笑っていてほしい。
「先月彼女の誕生日だったんだ。誕生日プレゼントはサプライズがいいと思ってさ!それで、庭園を買ったんだ!その時期は梅雨だから紫陽花なんかがきれいだと思ってさ、どうしても彼女の輝いている目が見たくて!」
「それでもやっぱり受け取ってもらえなかったよ。君が昔言っていたように愛が重すぎるんだってさ。
分かってはいるんだけどな。尽くしたくなるんだよ」
なぜだろう、元カノとの思い出よりも彼女の思い出の方がよく出てくるのは。ここに来て話すといつもそうだ。
「返報性ってやつなのかな」
君はいつも笑って話を聞いてくれていた。
「この思いを返してもらいたいわけじゃないんだけどな。ただ、受け取ってほしいだけなんだ。きっと君なら笑って受け取ってくれたのかな」
君が亡くなってからだろう。君の抜けた穴を埋めようと思ったのは。
ただ、僕の話を聞いて心から笑ってくれる人なんて居なかった。どれだけ尽くして愛しても笑っていてくれる人なんて居なかった。
君から愛を与えられていたなんて知ったのはもう遅かった。
今君がいるなら一番伝えたかった。あやか・・・
今日にも線香の煙、舞い上がる。
故人らの導き手となり、舞い上がる。
伝えぬも、なお気づかぬも後悔に。
なくしてからは遅すぎる故。
線香の舞い上がる前に。
後になっては遅いので今あなたの大切な人へ言葉をかけてあげてください。
その言葉はきっとあなたや相手にとって大切なものになると思います。
お読みいただきありがとうございます。
また機会がございましたら読んでいただけると幸いです。




