空と海と私。
海岸沿いを走るのが私の日々の日課となっている。
砂浜では小学生の近所の子供たちが、スイカのビーチボールで遊んでいる。男の子から女の子へ、女の子から男の子へ。ボールは次から次へと違う子の手へ渡っていった。男の子がサーブを打とうとした瞬間、強い風が吹いた。ボールは高く空へと舞い上がり、そのまま海へと落っこちていってしまった。
砂浜で誰が取りに行くか、と討論している間にボールはどんどん波に攫われていった。
あぁ、あれはもう取れないだろう。
子供たちもそう思ったらしく、仕方なく諦め別の遊びをし始めた。
奥へ奥へ、どんどん小さくなっていくボールを見ているとキラキラと輝くこの大きな水たまりの向こうには何があるのだろう。
何が待っているのだろう。
そんな考えばかりが浮かんできた。
繰り返しの日々に退屈していた私は、先がキラキラと輝いている海という存在がとても神秘的に思えた。
一度立ち止まり、すぅっと額から流れてきた汗を拭う。
ふと空を見た。雲が果てしない青い空を泳いでゆく。
あぁ。この果てしない空は私の人生のようだ、そう思えた。しかし、空はいつでも青空な訳では無い。曇っている時、雨や雷が鳴る時だってある。人間も同じだ。
気持ちが落ち込む時、感情が溢れ出してしまい涙が止まらない時、お腹の底からぐつぐつと怒りが湧いてくる時。
そうか、人間と空って同じなのか。
なら海は?海だって、波が荒れたり時には音が無いほど静かな時もある。海だって同じじゃないのか。先程まで神秘的に思えた物が、急に身近な物に感じた。
もし、海も人間と同じならば私の日々の先にもキラキラと輝いたものが待っているのだろうか。
私は履いていたサンダルを脱ぐとしっかりと手に握りしめ、もう一度走り出した。
キラキラと輝やく私の日々を探すために。