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おまけ「ミシェルとの出会い」

おまけ②【ミシェルとの出逢い】














 ある日、一人の女の子が迷子になっていました。

 女の子は箒を持ち、黒い猫と黒い烏を連れていて、いっぱいいっぱい泣いていました。

 一人立ちしてもっと強くなるために修行をするのだとはりきって飛びだしてきたようなのですが、樹海に迷い込んでしまったのです。

 「っく・・・うえ・・・うううう」

 『ミシェル様、泣かないで。私たちがついてますから』

 「にゃあ」

 烏のハンヌは、空から現在地をつきとめようとしましたが、霧が深くて無理でした。

 猫のモルダンは、ミシェルが一人にならないようにと、ずっと傍にいました。

 すっかり夜になってしまったある日。

 ばさばさ、と気味の悪い何かの鳴き声が森の中に響き渡りました。

 「こわ、怖いよぉぉぉぉお」

 あまりの恐怖に、ミシェルはその場にうずくまってしまいました。

 すると、近くの草むらからガサッと音がして、ミシェルたちは身構えました。

 もしかしたら山賊か、とか。追剥か、とか。変質者か、とか。誘拐魔か、とか。

 とにかくネガティブな方ばかり思考が働いていると、現れたのは、フクロウでした。

 「ふ、フクロウ?」

 じーっとミシェルたちを見ていたフクロウは、ほうほう、と鳴きました。

 そこで、ハンヌが話しかけてみました。

 『迷ってしまったの。この辺りに、休める場所はあるかしら?』

 『ありますとも』

 『じゃあ、そこまで案内してくださる?』

 『それは構いませんが、そこの住人はとても変わっていますので、私の御主人様を呼んできますね』

 そういうと、フクロウは一度飛び立ってしまいました。

 しばらく待っていると、フクロウは一人の男を連れて戻ってきました。

 「ああ、いたいた。大丈夫?」

 「ふえええっ・・・・!!!」

 やっと人に会えたことに安心したのか、ミシェルは泣き出してしまいました。

 そんなミシェルの背中をぽんぽんと優しく叩くと、男はにこりと笑いました。

 「俺はヴェアル。こっちはストラシス。よろしくね」

 「うっ、わ、私は・・・み、みしぇ、ミシェルぅううううううう」

 なんとか名前を伝えると、ヴェアルはミシェルを背中におぶり、歩き出しました。

 ちなみに、モルダンも便乗してヴェアルの肩に乗せてもらっていました。

 徐々に見えてきたのは、古城でした。

 思わず顔を見上げると、ヴェアルは両手が塞がっていたため、足を使って扉を開けました。

 ぎぎ、と冷たく重い音を出しながら、扉が開くと、その中からはひんやりとした風が吹いてきました。

 ヴェアルの背中からひょこっと顔を出すと、シャンデリアもあって、広々とした部屋なのに、テーブルと椅子と、それから棺桶?

 部屋の奥には階段があって、真ん中あたりで左右に分かれているが、そこには大きな鏡が飾ってあります。

 ミシェルを下ろすと、ヴェアルは叫びました。

 「おーいシャルル!シャルル?」

 どんな人なんだろうと、ミシェルはドキドキしていました。

 とても怖い人のようだし、見た目はフランケンのようなのかもしれない。

 妖怪とかお化けとか、気持ち悪い見た目だったら吐くかもしれないとか。

 すると、こつこつ、と足音が聞こえてきました。

 暗くて良く見えないけれど、なんとなく普通の人のような姿をしています。

 蝋燭の灯りだけを頼りに、ミシェルは目を細めてその人物を確認しようとしました。

 すると突然、人影は鳥のように何かを広げると、ミシェルの目の前までやってきたのです。

 「あ・・・あ・・・・」

 「なんだこのガキは」

 「シャルル、怖がらせないで」

 ごめんね、とヴェアルはミシェルに謝りつつ、男について紹介をしました。

 「グラドム・シャルル四世。見ての通り吸血鬼。口は悪いけど、気にしなくていいから」

 「ふん」

 バサッと広げたのは、どうやらマントだったようです。

 上下真っ黒の服を着て、マントも黒。

 でも髪の毛は銀色に輝いていて、目は赤く光っていました。

 そして何より、モルダンが懐いてしまいました。

 「なんだこの猫は」

 「わ、私の猫!!!」

 助けに行こうとしたが遅く、シャルルはモルダンの首根っこを掴んで、自分の顔の前に持ってくると、ぶらん、と揺らした。

 しかし、モルダンはシャルルを見て尻尾をふると、にゃーと鳴きました。

 ぽいっとモルダンを投げたシャルルは、椅子に座って足を組みました。

 とても優雅なその姿には、逆に苛立ちさえ覚えました。

 小さな影が二つ見えたかと思うと、それは蝙蝠で、シャルルの肩に止まりました。

 蝙蝠って間近で見ると気持ち悪いんだな、とミシェルは思いました。

 ヴェアルの後ろに隠れ、ずっと洋服の裾を握っていたミシェルでしたが、シャルルが悪い人には思えませんでした。

 理由は分かりません。

 でも、モルダンが懐いているし、残酷だと噂されている他の吸血鬼とは違うようでした。

 「お腹空いてる?何か作ろうか?」

 「オムライス」

 「わかった。ちょっと待っててね」

 ヴェアルがご飯を作りに行ってしまい、空間にはシャルルと二人になってしまいました。

 「貴様、魔女なのか」

 「え?あ、うん」

 格好からなのか、箒を持っていたからか、烏と猫がいたからか。

 魔女だと伝えると、シャルルは聞いてきた割には興味なさそうに頬杖をつきました。

 「ならば、空也とか言う奴を知ってるか」

 「え?私の先輩。どうして知ってるの?」

 「・・・別に」

 どうして空也先輩を知っているのかは分からなかったけど、それだけでなぜか嬉しくなりました。

 それになにより、ヴェアルが作ってくれたオムライスが美味しかったです。




 「なにこれ。感想文?」

 「ヴェアルったら失礼ね!私の日記よ!失くしたと思ったら見つかったの!」

 「へー。なんか暇だったんだな、ってことだけは感じ取れたよ」

 「それより、なんでシャルルは空也先輩のこと知ってたんだろ。ヴェアル知ってる?」

 「俺が知るわけないだろ。そんなのシャルルに直接聞けよ」

 「ぶーぶー。まいっか」

 今日はモルダンを洗ってあげなきゃー、と言ってモルダンを探し始めたミシェルだが、なかなか見つからない。

 いつものことだけど。

 「シャルルのところね」

 そう思い、棺桶で寝ているシャルルのところに行って、棺桶をぎぎ、と開けた。

 眩しかったのか、シャルルは眉間にシワを寄せて片目だけを開けると、思い切りミシェルを睨みつけた。

 「モルダンは?」

 「知るか。早く閉めないと八つ裂きにするぞ」

 「もー。見つかったら教えてよね!」

 棺桶を閉じると、外からはミシェルはモルダンを探している声が聞こえる。

 「・・・お前も罪な猫だな。出て行ってやればいいものを」

 「にゃあ」

 『こうして隠れてれば、ミシェル様はずっと私を探してくれるでしょ?』

 「まったく。困ったもんだ。どうせならヴェアルのところに隠れてほしいもんだ」

 『シャルルが良い』

 「勝手にしろ」

 「モルダ―――――――――――――――――――――ン!!!!!!お願いだからその可愛い姿を見せてえええええええええええええ!!!!!!!!!」

 「・・・五月蠅くて寝れん」

 「・・・にゃあ」


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