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どこの誰かの日常ストーリー  作者: みやもり
9/12

きゅう ありがとう、ごめんね。

18:00


満員電車の中に僕はゆられてた。


会社の後輩の女の子に誘われた花火大会、

普段から仕事でよく話しかけてくれる子だ。


「突然、誘ってごめんなさい」

「いや僕も花火大会とか久しぶりだし、楽しみだよ」

「そっかぁ、良かったです」

後輩の女の子は嬉しそうに微笑んだ。


「おっと」

満員電車でフラつきそうな後輩を支える。

後輩の肩をとっさに引き寄せた

「気をつけないとね」

後輩はちょっとうつむき気味でこくりと頷いた。



僕は彼女の気持ちを知っている。




「ごめんなさい、慣れない下駄なんて履いてしまって」

照れたように僕に笑顔を向けた後輩は可愛いかった

今日は鮮やかな朝顔の浴衣を着ていて

彼女の雰囲気にとても似合っていた


電車が花火大会のある駅に着く


「うーん、やっと着きましたね〜」

僕と後輩は伸びをして花火が見れる川沿いへ歩く


彼女は嬉しそうに微笑みながら歩く






今日で最後にしよう






「あ、着きましたよ」

彼女がそう言った瞬間に花火が打ち上がる


同時に僕の方に振り向いていた。


花火を背景にした彼女の笑顔がとても眩しかった。


僕はその笑顔に切なくなる

二人並んで次から次へと打ち上がる花火を見ていると


ふと、彼女は僕の袖を掴んでいた。

視線は花火を見たまま


涙を流していた。







彼女は僕の気持ちを知っている







彼女が会社で出会った

僕の唯一の理解者だったから。


君の気持ちに応える事が出来なくてごめん


ありがとう。



こんな僕を好きになってくれて


ありがとう。


---------------------------------------------------



静かに穏かに夏の夜が過ぎていく

夏の匂いがする

ふと見上げた

君の横顔が

少し切なそうに見えた


ごめんね、君の気持ち知ってるのに好きになって


ありがとう。


この思いは夏と共に終わらせるから。





ありがとう…。


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