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どこの誰かの日常ストーリー  作者: みやもり
10/12

じゅう 花束の老人

21:32


夜の空が優しい。


何年も僕は待ち続けた

何年も俺は待ち続けた

何年もワシは待ち続けた


「もう、待ちくたびれたよ」


花束を持った一人の老人が電車の中でつぶやいた。


涙がでそうな目は溢れる涙をこらえてるのがわかる

老人は花束を大事そうに抱えながら、電車から見える夜の景色を眺めていた。



いつもの駅で老人は降りた。

真っ暗の中で消え入りそうな老人の姿を何故か僕は

放っておけず、慌てて降りた。


老人はホームの椅子に座り、大事に抱えた花束に涙をこぼしていた。


花束は老人の涙を浴びながら、月明かりの中で光って見えた。


「僕は…知ってます」

「そうか…」

「この花束を渡しといてもらえないか」

老人は僕に両手で丁寧に花束を差し出す。

「それはあなたが自身で渡すものです」


「…ずっとワシは待ってたんだがな、一向に音沙汰がなくてね…」


僕の目から涙が出てきた。


「何で…何で…待ってるだけなんですか…」


「彼女はね、僕から会う事は出来なかったんだよ」


そういう約束だったことも知っていた。

だけど…


「僕はあなた達の間に生まれ幸せでした」



老人は優しく微笑んだ。


僕はその場でぼろぼろと泣き崩れた。



待ち続けた僕の夜はいつも優しかった。




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