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いち 不毛な恋愛
23:00
私は深夜に入りかける夜空を見つめながら
電車改札近くの噴水傍に腰かけている。
今日は平日の半ばで終電も近い訳で
普通のOLの私はもう帰る時間なのにこんなところで
真夜中の空を眺めながら楽しんでいた。
携帯がチカチカ鳴る
『もうすぐ終わるから待ってて』
メールが入っていた
よくある社内の不毛な恋愛
「お待たせ」
「今日も遅いですね、仕事」
「帰り際にさ…」
他部署の先輩はそこから仕事の話をしながら
私は先輩行きつけの居酒屋へ誘導されていった
適当に相づちを打ちながら、光るグラスを見つめる
「それでさ…」
仕事の話しはつきない
「彼女もさぁ、束縛が激しくてね…」
どうでもいい。
世の中の女子はこんな夜と恋愛を何回繰り返してるのだろう
不毛な恋はもはや恋愛ではない気がする
社会人3年目
仕事も慣れてきた私の心と体は冷めていた。
『また、今度ね』
休日の早朝、始発の電車内でメールを見ながら
私はメールを削除した。