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ギャルゲーの世界編 序〜西遊記的ギャルゲー〜

ギャルゲー編です。ブスしか出てきません

珠希

「今回の世界はギャルゲーだが………よかったな、モテモテだぞ」


降旗

「別によくはないですよ。それにしても鉤括弧の最初についてるモノは一体なんなんです?」


珠希

「↑これか? これはギャルゲーで台詞に発言者の名前がついてたりするあれだよ。あとこんなのもあるぞ」


珠希

「おはよう降旗君! 今日もいい天気だね」


彼女の名前は定兼珠希。

容姿端麗ながらどこか抜けている。そんなギャップが男性陣に受けるのか学校内にファンも多いらしい。


降旗

「なんですか今のおべっか満載の文章は?」


珠希

「良くある紹介文だよ。お前はギャルゲーをやったことがないのか?」


降旗

「基本的にアクションゲームしかやらないんで。ギャルゲーはなんか受け付けないというか」


珠希

「そうか。じゃあお前にはギャルゲーの主人公になってもらおう」


降旗

「今の話聞いてました? 俺はギャルゲーが嫌いだって」


珠希

「それじゃあ行こうか」


そういうことになった。



Now Loading…



(朝、鳥の囀りが聞こえる)


俺の朝は今日もひっそりと始まった。

下のリビングに向かうと朝練の準備をしている妹がいた。


琴美

「おはようお兄ちゃん。今日から新学期なんだからしっかりしないと」


こいつの名前は降旗琴美。

中学三年生でバスケ部に所属するスポーツ少女だ。

誰に似たのかすごい毛深くて同級生には「猿の惑星」というあだ名を裏で付けられているらしい。


降旗

「…………ちょっとタイムいいですか」


*一時停止*


珠希

「どうしたいきなり? ゲームはまだ始まったばかりだぞ」


降旗

「そういう問題じゃなくてなんで妹が「猿の惑星」なんですか? こういうのって大抵美少女が出てきたりするものですよね?」


珠希

「なんでって言われてもなあ…私達はギャルゲーの『お約束的展開』をぶち壊しに来たんだから仕方が無いだろ。」


降旗

「だからって「猿の惑星」はないでしょう? どうせだったら『妹も幼馴染もいませんでした』的な壊し方して下さいよ」


珠希

「うるさいなー嫌なら攻略しなきゃいいだろ。出会いなんて登校途中にも学校にもあるんだから」


*再開*


降旗

「それじゃあ俺はもう学校にいくから。ちゃんと鍵閉めていけよ」


琴美

「お兄ちゃんじゃないんだからそんなミスするわけないでしょ」


降旗

「(うわあこいつにお兄ちゃんって呼ばれたくねえ) それならいいんだ、じゃあ行ってくる」



Now Loading…



(校門の前)


降旗

「(今日も誰にも会わずに学校に着いたな。

まあ自転車で登校したんだし当たり前か……って通学途中で美少女と出会わないじゃないか。

あれ? 校門の前に三つ編みの豚が器用に二本足で立っているな)」


???

「そこの男子生徒! 制服の着こなしがだらしないぞ!」


降旗

「俺ですか? すいません、遅刻しそうだったもので

(豚じゃなくて人間だったのか。しかしこんな奴としかフラグがたたないのかと思うとテンションガタ落ちだわ)」


???

「分かればよろしい。時に君の名は何と言うのだ?」


降旗

「(こいつはガードが固いパターンの奴か。それにしても不細工にやられてもただイライラするだけだな)

俺は降旗錦といいます。それでは」


???

「あ、ちょっと! まだ私が自己紹介を!」


降旗

「あいにくと俺は急いでるんで!」



Now Loading…



(教室にて)


降旗

「(ふう、さっきはなんとかフラグをへし折れたけど毎朝あれに気をつけなきゃいけないのか。

それにしてもこのゲーム声優陣がやけに豪華だな)」


???

「おはよーゴザイマス降旗くん!」


降旗

「うおっ!…なんだアニアか。いきなり背中を叩くのはやめてくれよ」


彼女はアニア。

名前の通り彼女は留学生だ。

彼女の特徴といえばその金髪…ではなく頭頂部にぽっかりとむき出している頭皮だろう。

その姿から、彼女の別名は「河童」となっている。


*一時停止*


降旗

「幾ら何でも人選が酷すぎませんかねこれ。攻略対象が猿と豚と河童って天竺に旅しろってことですか?」


珠希

「さっきから文句ばっかりだなお前。見た目も普通で秀でたものがない奴に美少女が好意を抱くと思うか?」


降旗

「ゲームの中でくらい美少女に囲まれる夢を見たっていいじゃないですか」


珠希

「それこそキモオタの現実逃避っていうんだよ。もっと現実を見たらどうかね?」


降旗

「それは次元差別ですね。性別を超えた性愛が許されるなら画面を超えた愛だって許されるはずですよ」


珠希

「はいはい分かったからゲームの続きに戻れよ。私だって色々準備があるんだから」


*再開*


アニア

「降旗くん、駅前に美味しいケーキ屋さんがあるらしいデスヨ! 一緒に行きマス!」


  うん。いいよ

→ 今日はちょっと無理かな


アニア

「そうデスカ…ちょっと残念デス」


(とぼとぼと去っていくアニア)


降旗

「(ふう、とりあえずはフラグを回避したか。それにしても本当にハゲが進行してるな)」


(ガラガラと音を立てて扉が開く)


先生

「はーい席についてー。喜べお前ら。転校生がそれも二人もやってきたぞ」


(にわかにざわつく教室)


先生

「はいはい静かにー。それじゃあ入っていいぞ」


降旗

「(転校生かあ、どうせ今度は坊主頭の仏教系女子とかだろ……………ん?)」


美咲

「初めまして、今日からこの学校で皆さんと勉強する薄井美咲と申します」


降旗

「(いや、そっちじゃない。問題はもう一人の方だ)」


珠希

「初めまして、定兼珠希といいます。分からないことだらけなので色々教えて下さい」


(降旗ににこりと笑いかける珠希、それに反応して男性陣が一斉に振り返る)


降旗

「(なんで珠希さんが? もしかしてさっき言ってた準備ってこれのことか? てか大学生の制服って意外にキツいんだな)」


こんな感じで俺の新学期は始まった。

降り注ぐ不細工とのフラグを避けた先に一体何があるのだろうか。

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