ドアを開けたら
どうしてこうなった
ドアを開けたら首を吊った少女がいた。
「あ、お邪魔してます」
「あ、いらっしゃいませ?」
「あの…座ったらどうですか?汚いですけど」
「ここは僕の家であり汚いなどと罵倒される筋合いもなく、そもそも君がいる時点で色々と突っ込みたいところがあるのだが一先ずは警察を呼ぼうと思うのだがどうだろうか」
「遠慮します」
「遠慮するな、大丈夫後コールボタンを押せば優秀な政府の犬が2、3匹はやってくるから、ほら遠慮することはない」
「そう言えば今日の成績どうでしたか?」
「まずまず…かな、しかしだな、もし僕の成績が悪くて万年平社員でクリスマスも一人寂しくネットサーフィンをしていようが部長達と飲みにいかせれていようと君には関係ない。ということでこの受話器が描かれているボタンをワンプッシュしてもよかろうか」
「今日は天気が良いですね」
「生憎今日はくもりだ」
「私幽霊ですし、くもり万歳なんです」
「そうかそうか、くもり万歳か、よし政府の犬を呼ぶのはやめよう」
「ホントですか!」
「その代わりに黄色い救急車を呼ぶことにした」
「ぶぅぶぅNoです No!黄色い救急車なんて必要ありません私いたって真面目に優秀な幽霊なんです。真面目とかいてガチと読みます」
「優秀がさりげなく付け加えられていることに若干イラっときたがこの際置いておこう。僕が一番言いたいのは真面目と読むのは無理矢理すぎるのではなかろうかということなのだが」
「もーまんたい(問題ない)」
「ルビ振りと本来の文が逆転しているところに突っ込みを入れようとしている僕は凄いのではなかろうか、否きっと凄い」
「全然ですね」
「さいですか」
「ところで今日のご飯は何ですか?」
「漬物丼ですね」
「とどのつまり漬物と白米ですね………悲しいですね」
「僕の今の所持金ではこれが限界なんだ、ちょっとしたものを買ってしまってな、まぁそもそも二十歳の僕の給料なんて知れてるがそれでも明後日の給料日が待ち遠しい。」
「安月給なんですね、因みに何を買ったんですか?」
「好きな人へのプレゼントですが何か?」
「そう言えば相談があってきたのでした」
「え?スルー?スルーなんですか?」
「実は私成仏出来なくて困ってるんですよ。ということで成仏させてください」
「スルーですか、そうですか。
でも残念ながら僕は陰陽師でも結界を張れる人でもなければ喋るキツネを連れた巫女でもないので無理かと」
「そうですか……残念です……」
「しかし何で成仏しないんですか?自殺なら未練ないと思うんですが」
「私、文化祭のお化け屋敷で天井から吊るされているてるてる坊主役やってまして何かの手違いで首が締まって死んでしまったんですよ」
「あ、それで服が白い布切れなんですね、納得しました。というかそれリアルお化け屋敷ですね」
「キスしてください」
「何の脈略もないんですが、一応理由を聞きましょう」
「なんとなく心残りが好きな人とキスすることだと思うんですよ」
「ロマンチックですね」
「ということでキスしてください」
「そこがおかしいと思うんですが」
「…?何でですか?」
「いや、何で僕なんですか?会って数分しかたってませんよ?」
「恋に時間など不用です」
「といってもやはり物理的にもう少し時間は必要かと」
「それに……こうやって普通に会話してくれる人初めてでしたから………」
「あれ?スルーですか?スルーですか、そうですか。……初めて?」
「私、友達とかいませんでしたし…こんな姿じゃみんな怯えますから」
「……。」
「だから私はあなたが好きです。私とキスしてくれませんか?」
「嫌ですね」
「え、そこは優しくキスするとかそういうのじゃ…?」
「嫌ですね」
「そ、そうですよね………私なんかとは嫌…ですね」
「いや、そうじゃなくてね」
「……?」
「ただ恥ずかしいだけです」
「なんだ、ただのチェリーでしたか
安心してください優しくしますから」
「チェリーじゃないです、チェリーですけど」
「どっちですか」
「チェリーで悪いかコノヤロー」
「私女ですので野郎ではありませんね」
「あ、ごめんなさい」
「キスしてくれたら許します」
「恥ずかしいです」
「そこを乗り越えてこそのあなたです」
「無理ですシャイなので」
「チェリーの間違いでは?」
「ガラスのハートが割れる音がしました」
「防弾なので気のせいですよ」
「あれ?幽霊さん何か透けてきてません?」
「あ…………多分、心残りがなくなってきているのでしょう」
「キスしてないのに?」
「キスしてないのに」
「何でですか?」
「キスは私の願望です。大好きな、昔から大好きだったあなたとキスしたいというそんな願望です。でも心残りはあなたに一言でも話しかければよかった、もっと自分をアピールすればよかったってそんなものなんです。だからこんなに会話できて嬉しかったです。ありがとうございました。」
「……僕には好きな人がいるんだ。」
「?」
「その人のことは遠くから見ていただけで話したこともなくて……それでもその人が好きだったんだ……友達から情報集めて誕生日探ったり好きなものを聞いたり…それで高校卒業するときに告白しようって決めてたんだけど……でもその人高校二年の時に死んじゃってね。それでその人の誕生日には毎年プレゼントを買っているんだ」
「え?」
「それでね昨日…好きな人の誕生日だったんだ……ホントは昨日プレゼント渡したかったんだけどその人何処にいるかわからなくて……あの日からずっとプレゼントがたまってて……処分に困ってたんだ…天国へのお土産として貰ってくれないかな」
「………。」
「それとこれも受け取ってくれないかな……」
「………き、れい…」
「サイズが合うかわからないけど……似合うと思うんだ」
「あ……」
「大好きだよ」
その日彼女は消えた。
跡形もなく消えた。
あれは夢だったのだろうか
幻だったのだろうか
それでもこの気持ちはかわらない。
大好きだよ、これからもずっと
「あ、お邪魔してます」
「人がいい感じにしめようとしているのに何でいるんですか、あなた消えたでしょう」
「あれはあなたの守護霊になるための予兆だったみたいです」
「そんな馬鹿な。取り合えずは警察を呼ぼうかと思うんですがどうしましょう」
「遠慮します」
「そうですか……
じゃぁ…一緒に住みませんか?」
「遠慮します」
「そこは素直に喜んでで良いでしょう」
「ふふ、そうですねキスしてくれたら良いですよ」
キス…か……
同棲への道は長く険しいようです
「チェリーですからね」
「もう突っ込まないからね」
コメディーのつもりで書いていたのになーおかしいなー
駄文で申し訳ないですm(__)m




