笑い死に
「笑いながら死ねたらええのう。」
「年寄りになると自分の死期がわかるんじゃよ松。わしがの、寝ているとき、夢でな、死んだバアさんがわしに笑いかけるんじゃ。もうすぐ会えますよ。てな。」
そんなことあるか。と俺は思っていた。
だが、その数日後に、父は死んだのだった。
しかも俺の息子が将来は、お笑い芸人になるんだ!と父を笑わせていたときだった。じゃははは!と笑っているとき笑いすぎてぽっくり逝ってしまった。
その笑い方は、入れ歯がすっこ抜け、近所の犬たちが一斉に吠え出し、カラスが集会をはじめ、驚いた猫達は毛を逆立て、近くの植物が一気にざわつくくらいの大爆笑だった。
今思えばその犬たちが父を送り出していたような、気もしないでもない。
そのとき息子は、
「じいちゃん!じいちゃん!」
と叫んで、動かなくなった父を、
「起きてよ!」
と激しく揺さぶっていた。
ああ。父は死んだんだな。
とその時一瞬で気がついた。その狂喜じみた大笑いに、あまりの嬉しそうな顔に、あまりの満足そうな顔に、俺は、悲しくはなかった。むしろ、父の望みがかなって嬉しかった。
「じいちゃん、どうしたの?動かなくなっちゃったよ。」
と息子が言ったときに俺は
「じいちゃんはな、奏汰のおかげで天国にいけたんだよ。」
と息子には言った。
実に意味不明な返事だったが息子は納得したらしく、
「じいちゃんいつ帰ってくるの?」
と俺に聞いてきた。
俺は、少し考えてから
「じいちゃん、もう帰ってこないんだ。」
「なんで?なんで?」
と聞いてきたが、俺はもう何も言わずにその場を離れ、とりあえず嫁を呼びに行った。
すると息子が「死ね!クソジジイ!」とか言っていたような気がした。
あとがき
この後続きをつけようかどうか迷ってます。
一応、どういうストーリーにするかは、ある程度の流れは、頭の中でとぎれとぎれに出来てはいるんですが。
リクエストなどあったらどんどん書き込んでやって下さい。
批評もどんどん受け付けます。
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