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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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全国大会開幕戦 桜見VS林王3

『互いに惜しい所までは行く桜見、林王ですがゴールは生まれず前半も残り僅か!』



『少しずつ桜見のボールを持つ時間帯が長くなってますね。流れは傾きつつあるかもしれません』



 桜見のパス回しが静岡の名門相手にスムーズに回せて、繋がるようになってきた。



 初の全国大会というのもあって全体的に硬さがあったかもしれない。


 ただ、それも解消されつつある。



「(何だ桜見? 石立戦の時よりも全体的に上手く、速くなってないか!?)」



 中盤でボールを追いながら、自分達が動画で桜見の試合をチェックした時よりも動きが良いと、栗石は思い始めていた。



「うるぁぁぁ!!」



「わっ!?」



 中盤のパス交換で抜け出した西村へ、夏樹はボールが渡る前に雄叫びと共に走って来て、左足で球を前方へ蹴り飛ばす。



 鬼気迫るような勢いを見た西村は気迫に押されてしまう。



『桜見、中盤で繋いだ所に上がって来た西村へ出すも南田がナイスクリア!』



『物凄く気迫溢れるプレーで気合が伝わってきますね南田君』



「夏樹、お前飛ばし過ぎてないか? そんな動き回ったら早めにバテてしまうぞ」



 栗石は何時も以上に夏樹が縦横無尽に動いてる気がして、スタミナ温存を考えていないのではと、心配になってくる。



「大丈夫だっての! あの双子の野郎共を倒すまで倒れてたまるかよ!」



 その夏樹は苛ついた顔を見せており、栗石から見て冷静とは程遠い表情をしていた。



「(不味いな……短気な悪いクセが出て来てる)」



 栗石は夏樹という少年をよく知っていて、思い通りに展開が進まず苦戦したらイライラしやすい。



 前半で攻撃を仕掛けて得点する予定だったのが、決定的なシュートを1本も放てなくて、逆に押し込まれつつある。



 彼の苛つく条件は整ってしまう。



「此処凌げ! 乗り越えるぞ!」



 キャプテンシーを発揮して栗石は手を叩き、味方を盛り上げていく。




『桜見が前半の終盤、林王の陣地へ攻め込んで行くが林王は守備を固めて耐え抜く!』



『全員の意識が一致してますね。此処はスコアレスで乗り越えようという姿勢が見えます』



 桜見の前に多くの紫の壁が阻み、次々と相手の攻撃を跳ね返す。



「あ〜、また防がれた!」



「相手が完全に攻撃を捨てて守備に集中してますからね。あれは破るの難しそうです」



 桜見のサイド攻撃を防がれてるのが見えて、試合に熱中してる遊子は頭を抱えてしまう。



 隣に座る神奈の方は落ち着いて戦況を見守り、顧問より冷静に試合を見れている。



「(此処で1点が取れれば大きいけど……)」



 神奈はスタジアムの電光掲示板にある時計へ、チラッと目を向けると前半の30分が間近まで迫っていた。




「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」



 前半から攻守で動き回って活躍した夏樹だが、飛ばし過ぎた代償が今になって、体に疲労が襲う。


 夏の暑さまで敵となり、更に疲れは上乗せされてしまう。



 周囲の選手と比べて疲労度は明らかだ。



 対して右の霧林は既に交代で1度ベンチへ戻り、体力を回復。


 そして温存に努める。



 夏樹にとって幸いなのは此処で前半終了の笛が吹かれた事だった。



『此処で前半終了! 0ー0と前半で得点は両チームに生まれませんでした』



『林王は南田君が奮闘してましたからね。ただ飛ばし過ぎて相当辛そうにしてますから、後半のスタミナに不安が残ります』



『(作戦通り♪)』



 夏樹のバテている姿を見た与一、輝羅は作戦の成功を確信して、密かに笑い合ってのハイタッチを交わす。



 双子の策略通り、夏樹のスタミナを削る事に成功していた。



 ☆



「一旦戻れ夏樹、その状態じゃまともに走れないだろ。後半の終盤に備えて休め」



 椅子へ腰掛けて疲労困憊の夏樹に監督から交代を告げられる。



「(畜生……神明寺の2人を倒すって所で……!)うす……」



 序盤からのハイペースで体力が限界を迎え、夏樹は交代に対して短く返事するのみだった。



「点は取れなかったけど俺達も無失点だ。此処は1点取っての先行逃げ切りで行くぞ!」



 林王キャプテンの栗石は後半に向けて、積極的な攻めで先制点を狙おうと皆に伝える。



 攻撃自慢の林王、後半は再びガンガン攻めていく。



 ☆



「相手の右は終盤まで甘くなってるから、此処でキリー再び入れて右から攻めるべきだよー」



 桜見のロッカールームでは水分補給しながら涼しい扇風機の風に当たり、試合に出た選手達は暑さの疲れを癒している。



 与一もその1人として休みながら、皆へ後半に向けての攻撃手段を伝えた。



「向こうの矢はバテて使い物にならないっぽいからねー。元気な時は凄かったけど、張り切って動き回ってくれたおかげで疲労が来たみたいだしさ」



 自分達が煽った事に関しては言わず、輝羅は夏樹が勝手にオーバーペースで潰れたと笑顔で言いきる。



 どちらにせよ夏樹が早々に疲労で潰れてくれたのなら、林王の厄介な選手が1人いなくなって桜見にはありがたい事だ。



「確かにあいつ、終了前とか結構疲れてたよな」



「……明らかにバテてた……」



 霧林だけでなく影二も夏樹が疲労してる所を見ていた。



「じゃあ後半の頭から咲山に代えて霧林、後は若葉もタイミング見て出すか」



「前半あの速いのに動き回られて、結構チャンス潰されたりしたからねー。向こうが休んで元気に戻って来る前にやっちゃわないと!」



 竜斗、楽斗の2人は双子の案に乗って、夏樹の抜けたサイドから徹底して攻める事が確定。



 後半に向けての作戦は決まり、彼らはフィールドへ戻って行く。




『厳しさを増す炎天下、この環境で熱く激突する選手達。初戦を勝ち上がるのは桜見か!? 林王か!? 後半戦キックオフです!』



 ピィ────



 後半開始から主導権を握ったのは桜見の方だった。



 俊足の夏樹が今フィールドにいない間、彼による速攻は無いと思いきって前へ出ていく桜見の選手達。



「(こういう時、FWとして決めないと駄目だろ!)」



 大事な1点が欲しい、そういう時に決めてこそのエース。



 守備だけでなく攻撃でも頼ってしまった東京予選、大事な時に決められなくて何時も双子に助けられる。



 それでは駄目だと、竜斗は炎天下にも関わらず全力で前を向いて走る。



『中盤、宮村から鈴本。中央から行くか!? いや、右の霧林へ渡す! 右足でクロスが上がる!』



 ショートパスで繋ぎ、楽斗に渡ると巧みなドリブルを警戒する相手の裏を突き、相手ゴールに背を向けた状態で右足のパスを右サイドへ送った。



 霧林に繋がって得意の右足クロスを上げれば、待ち構える竜斗が頭上へ来るボールへ向かって跳躍。


 マークする海本も同時に地を蹴って跳ぶ。



 先に捉えたのは竜斗の頭だ。



『赤羽ヘディングー!! 決まった! 桜見先制点! チームのキャプテンにして、エースの赤羽竜斗が決めました!』



 叩きつけて来るかと思われたヘディングが、ゴール右隅に真っ直ぐ飛んでGK関田のダイブも及ばず。



 ゴールネットが揺れ動いた瞬間、歓声の上がるスタンド。


 決めたキャプテンへ駆け寄る桜見の選手達。



「おぉーし!!」



 目標だった全国の舞台で竜斗は初ゴールを決めて、後ろから楽斗に抱きつかれながらも両拳を握り締めてのガッツポーズ。



 エースとしての仕事をした竜斗によって、桜見が優勝候補の林王を相手に先制点を奪う。

与一「やってくれたね竜斗〜♪」


竜斗「とりあえず全試合ノーゴール、ていう不名誉だけは避けられてホッとしてるわ」


輝羅「それはエースとして決めないとー。プレーの見直しによる成果かな?」


竜斗「多分出てるんじゃねぇか? 良い感じでヘディング出来たつもりだし」


輝羅「お父さんのコーチが今になって凄い効果を見せたのか!? 次回も試合は続きまーす♪」


与一「スピードスターがバテてる間にやっちゃおっか〜♪」

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