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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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全国大会開幕戦 桜見VS林王2

「うう〜ん、やっはり相手が静岡の名門校だから簡単には行かなさそうだなぁ」



 桜見ベンチで遊子は試合の展開を見て、序盤は両チーム互角のように映る。



「去年こそ石立に負けていますが、結構接戦だったみたいです。なので実力としては石立と大差無いかと思われます」



 タブレットで神奈は昨年の石立と林王の試合をチェックし、互角に渡り合っていたのが分かる。



 その石立を倒した桜見も、この試合は簡単に行かないかもしれない。




『失点のピンチを凌いだ林王、立ち上がりから両チーム積極的にゴールを狙っています!』



『まずはシュートが欲しい所ですね』



 両チームで中盤の争いが続き、奪っては奪われたりと激しくぶつかり合う。



「(不意を突いてから左が警戒されるようになっちゃったなぁ)」



 GKの位置からフィールド全体を見渡す輝羅は、室岡へのマークがきつくなっているのが見えた。



 右の霧林には全国No.1のスピードを持つ夏樹がいるので、両サイドの突破は困難で下手をすればカウンターの恐れもある。



「右行けるよ右!」



 だが、あえて輝羅は右から行けと声を掛けていく。


 室岡には2人ぐらいが守っているのに対して、霧林の方は夏樹がいるだけだ。



 厄介なスピードスターを突破すれば、そこから中へ切り込む事も可能だろう。



 ショートパスで与一、影二、楽斗と繋いで霧林に渡る。



『桜見が良い連係で繋ぐ! 右サイド、霧林に通った!』



 その瞬間、あっという間に夏樹が霧林へ距離を詰めていた。



「(だから速いって!!)」



 霧林は夏樹の速さに驚きながらもボールをキープしようとする。



「(神明寺以外に用は無ぇよ雑魚が!)」



 桜見は神明寺の2人だけで後は元々たいした事のない連中、それが夏樹の抱く桜見への印象だ。



 なので霧林も相手にならないと、彼からボールを奪い取る事に成功。



『取った南田! 林王カウンターに持っていく!』



「ヤバ! 戻れー!」



 竜斗が声を掛けると共に紫色の波が、桜見ゴールへ押し寄せてくる。



 夏樹も素早く味方にボールを出すと、直後に左サイドを駆け抜けていく。


 これが林王の矢と言われる彼の走りだ。



「大橋11! 西村9!」



 押し寄せる波を前に慌てさせないよう、それぞれに輝羅は指示で背中を押す。



 楽斗は栗石に来るとマークしていたが、ボールは予想に反して後ろの松下が持つと、低空飛行の速いロングパスを左サイドへ蹴っていた。



『松下から左サイド! 南田が走ってる!』



 今度は線審の旗が上がらない、通れば裏のスペースへ抜け出してGKとの一対一に持ち込める。



 チャンスだと思って夏樹がボールを受け取ろうとした時──。



「っせぇ!」



「!?」



 与一が右足でボールに触れると、タッチラインへ弾き出してロングパスが通るのを阻止。



『神明寺与一、よく読んでいた! 南田の侵入を許さない!』



『今のは通っていたら危ない所でしたよ。危険察知能力が高いですね与一君』



「(ちっ、伊達に神明寺の血は受け継いでねぇって訳か!)」



 今のパスが通らなかった事に夏樹は小さく舌打ちしていた。




「悪いねー、天才だから届いちゃった♪」



 ピクッ



 あえて与一は自らを天才と言い、夏樹の耳へ届くように声を掛ける。


 この言葉が届くと夏樹は振り向いて与一の事をキッと睨む。



「(忌々しい天才野郎が……!)」



 夏樹にとっては怒りが沸々と湧いてくる言葉で、与一を倒す気持ちが増していく。



『(彼、結構煽られると弱そうだよー)』



『(OK、ならガンガン揺さぶっておこうか)』



 与一と輝羅はテレパシーで夏樹への有効な対策を共有。



 何でもないように相手が振る舞っているように見えても、心の中は誤魔化せない。



 夏樹の心は怒りが込み上がって、乱れ始めていく。



『林王のスローインから左サイド! 町野、ヒールパスから南田のクロス! GK神明寺輝羅キャッチ!』



『これは高いジャンプですね輝羅君! 出場するGKの中で最も小柄ですが、跳躍力でカバー出来てますよ。技術も雨の中でキャッチを多くしてましたから、今大会屈指の守護神ですね』



『しかも彼は確かFKも蹴りますからね。石立戦の決勝点を決めてますから、この試合もそのチャンスが来るのか楽しみの1つでもあります!』



 スローインから林王がクロスを上げて得点に繋げようとするも、輝羅が長身FW富市の前でボールをキャッチして防ぐ。



「上がれー!!」



 叫びながら輝羅は右足のパントキックで楽斗へ飛ばす。



「うおっ!?」



 低空飛行の正確なキックで届けられ、楽斗は背後から来た柳上をクルッとターンで入れ替わるように躱していた。



『鈴本、前を向く! 今度は桜見の速攻だ!』



 攻め上がっていた林王の守備は戻りきれていない。



 桜見は楽斗のドリブルによる中央突破で、林王ゴール前へ迫る。



「9番逃すな!」



 林王GK関田から指示が飛び、ゴール前の竜斗にはピタリと海本がマーク。


 桜見の楽斗から竜斗へ繋ぐ得点パターンは分かっていた。



「楽斗ー!」



 そこに何時の間にか前へ上がって来た与一が楽斗の左から声を出し、これが聞こえたのか楽斗は一瞬左を見ると、左のアウトサイドでパスを出す。



「(神明寺! あいつのシュートか!?)」



 林王の司令塔、栗石が戻っていて与一の姿を見つければシュートに警戒。


 来ると素早い判断から与一に向かって走る。



 迫って来る栗石を察知していたのか、与一は右足のダイレクトでボールを蹴っていた。



 それはシュートブロックしようとしていた栗石の頭上を越え、空中で弧を描くように舞いながら前へ走る楽斗に向かう。



『これは上手いワンツー! 侵入した鈴本シュート!!』



 楽斗はエリア内でボールを胸で受け、村越が寄せきる前に右足を振り抜いた。



 ゴール左上へ向かう近距離のシュートに、関田が反応して右腕1本で弾く。



『止めた林王GK関田! これはビッグセーブだ!』



『お、カウンター返しありますね!』



 弾かれた球は宙を舞い、林王の右サイド側に流れると室岡、染崎が空中戦で競り合って染崎がヘディングで競り勝つ。



 これを柳上が拾って、今度は林王がカウンターのチャンスを迎える。



「(今度こそ!)」



 与一が上がっていて戻る前に攻めようと、夏樹は再び走り出す。



 中盤で栗石がボールを持った時、前を向いた彼にはパスコースが見えて迷わず右足を振り抜く。



『栗石のパス、裏に抜けた! 南田が速い!!』



 DFの間を速いスピードで抜けるロングスルーパス、これが桜見の空いたDFライン裏の空いたスペースへ出る。



 そこに夏樹が全国No.1の快足を活かし、猛然と転がる球へ向かっていた。



「(間に合った──)」



 しかし、それよりも速くボールの元へ韋駄天の如く駆け抜けた者。


 彼の方が先に追いつくと共に蹴り出してクリア。



「なっ!?」



 間に合ったかと思えば、先に追いつかれてゴールを阻止されてしまう。


 これには夏樹も驚きを隠せなかった。



『前に出ていた神明寺輝羅! 栗石のスルーパスを読んで大胆な飛び出しでゴールを守る!』



『与一君といい神明寺の皆、良い読みしてますよね。血は争えないといった所でしょうか』



 しかも、よりによって神明寺の人間にスピードで先を越されてしまう。


 夏樹にとっては悔しい事だ。



「ねぇ、君って全国で1番速いって言われてるよね?」



 クリアした球がタッチラインを割ってプレーが一旦止まるタイミングに、輝羅は夏樹へ話しかける。



 すると彼の心を見て言い放つ。



「それにしては遅くてたいした事無いじゃん」



「!!」



 全国No.1のスピードを誇る夏樹にとって、聞き捨てならない言葉。


 輝羅は笑みを浮かべたままゴールへ戻っていく。



「(今遅いって言いやがったのか!? あの野郎!!)」



 与一に続いて輝羅にも煽られ、夏樹は怒りからか拳を握り締めてプルプルと震わせていた。



 彼の心が自分達への怒りで充満した事に、与一と輝羅は揃ってニヤリと笑う。



 狡賢い双子によって試合のペースは徐々に桜見へ傾いていく……。

与一「サッカー小説の主人公らしからぬ事を僕達やってるよねー」


輝羅「人を煽ったりするのって本来は悪役側のする事だからねぇー」


与一「ま、これが新しいサッカー小説の主人公の形って事で♪」


輝羅「あまり応援はされないかもしれないけど、次回も桜見と林王の試合が続きますー!」


与一「煽られた彼の運命はどうなるのか〜!?」

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