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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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敵意を抱く者

 8月の下旬。


 世の中が夏休みで日本列島が相変わらず猛暑という季節に、中学サッカーの全国大会は開催される。



 各地で行なわれた予選の大会を勝ち抜いた全国の猛者、32チームが開催地の大阪にて出揃う。



「こういうのって外の会場で選手達が並んで歩いて一周するの見た事あるけど、体育館なんだね〜」



 与一が今居る場所を見回せば、そこは室内で大阪にある巨大な総合体育館。



 外での開会式は猛暑なので全員にとって危険だと、大会運営側が判断して屋内での開会式が行われていた。



「それは高校サッカーの選手権な……ん?」



 与一に説明していた時、竜斗は前で桜見中学の旗を持つ神奈に気づく。



 出場校の各マネージャーが代表校の旗を持って、選手の先頭に立って歩く役目。


 その大役に神奈は緊張からか、両手で持つ旗を僅かに震わせていた。



「(無理も無ぇか……初の全国での大舞台だし)」



 敏腕マネージャーで合気道も上手いしっかり者だが、彼女はまだ中学1年の女子だ。


 初めての大舞台で緊張するのは当然だろう。



 此処はキャプテンとして、安心させる為に前へ進み出た時──。



「神奈、一緒に持とっか」



「じゃあ僕もー。兄妹揃って持つ方が良いでしょ♪」



 それよりも速く与一、輝羅が真っ先に神奈の不安を察知すれば同時に動き、兄2人で妹の持つ旗を支える。



「え、でも周りは皆1人で持ってるし……」



「よそはよそ、うちはうちだからー」



「今の所ダメとか言われてないし、このまま行っちゃおう♪」



「お、おい!?」



 竜斗が止める間もなく桜見の行進する番が来て、このまま双子の兄が妹の持つ旗を一緒に持って歩く。



「大丈夫なのあれぇ〜?」



「駄目だったら謝るしかねぇだろもう……!」



 先頭を歩く神明寺兄妹を見ながら、竜斗や楽斗は行進を続けるしかなかった。




「なんだあれ?」



「マネージャーの旗を持ってるのって神明寺の双子だよな?」



 開会式で珍しい、3人で学校の旗を持って先頭を歩く姿に、他の出場校が視線を桜見へ向けていく。



「(あいつら──おもろい事やるなぁ〜)」



 それを見ていた地元大阪代表の名西寺中学、キャプテンの烈気はくくっと面白そうに笑う。



「(いきなり目立ってくるね、神明寺の2人は)」



「(初の全国で調子に乗り過ぎたりしてないかあれ?)」



 東京、関東で神明寺兄弟と戦ってきた柳石の古神星夜、社海斗の2人も開会式の場に居て、目立つ彼らを見ていた。




「型破りなパフォーマンスのつもりかよ、あいつら」



 神明寺兄妹が旗を支える姿を険しい顔で見る、短めの茶髪でパーマのかかった少年。



「まぁ落ち着け夏樹(なつき)。あれでも相手は関東大会で石立の不敗神話を崩した奴らだし、あの神明寺だぞ?」



 落ち着かせようと彼の右肩に左手を置く、黒髪の坊主頭をした長身。



「分かってるっての」



 夏樹という少年の目は与一、輝羅に向いて彼の目は明らかに敵意に満ちている。



「神明寺の息子だからって好き勝手させるかよ、絶対に……!」



 坊主頭の方はキャプテンの栗石康一(くりいし やすかず)、双子に敵意を向けてる少年が南田夏樹(みなみだ なつき)



 彼らは1回戦で桜見と戦う優勝候補、静岡代表の林王(りんおう)中学だ。



 ☆



「やっと終わった〜、お偉いさんの話って長いよ〜」



「長く話してたけど話の内容とか全然覚えてなかったー……」



 出場校の選手達が出揃って開会式は続き、選手宣誓だったり大会運営を代表する者からの挨拶を聴いたりと、ようやく終わりを迎える。



 与一も輝羅も偉い大人の長い話を聞いて、何を話していたかは既に全く覚えていない。



 ちなみに兄妹での旗持ちは咎められず、むしろ美しい兄妹愛で良い大会のアピールや宣伝になると、運営側は考えていたようだ。


 無論、その心は双子に筒抜けだったが。



「これから試合会場に移動して、ウォーミングアップな。そっから開幕戦がはじまるからよ」



 竜斗が桜見の皆に話すと皆で会場を出て、専用の移動バスに乗り込む。



 桜見を乗せたバスは開幕戦の試合会場を目指して走り始めた。



「ねぇねぇ竜斗、静岡はサッカー王国って言われてるくらい強いのー?」



「強ぇよ。高校だと八重葉学園って強豪校が有名だし、そこから何人かプロ選手や日本代表が出て来る程だしな」



 バスで隣の席になった与一は竜斗へ、今日の対戦校である林王中学が静岡代表と聞いて、強いのかと聞く。



 イタリア暮らしが長く、日本のサッカー事情について疎い方だ。



「つまりサッカー王国ブラジルの日本版って訳だねー」



 サッカーで王国と名がつく有名な所で言えば南米の強豪、前の席で神奈の隣に座る輝羅の頭は、それが真っ先に浮かぶ。



「おさらいすると静岡代表の林王中学は攻撃的なサッカーで、決勝も4得点して予選の決勝じゃ最多の得点差で勝ち上がってる」



 すっかり開会式の緊張は解けたのか、何時もの調子を取り戻した神奈はタブレットを操作して、林王中学の情報を表示。



「中盤の司令塔、3年の栗石康一が起点になって多くの得点が生まれれば自らもゴールを決める力を持つ。石立の社海斗と中学No.1ゲームメーカーの座を争うかもしれない……て記事があった」



 神奈が見ていたのは全国大会で注目選手権の特集、そこに栗石の姿は映っていた。



「もう1人、3年の左サイドバックを努める南田夏樹は全国随一のスピードを持ってて林王の矢って言われているみたい」



「異名付きは凄そうだね〜」



 自分も何か異名つかないかなと思いながら、与一は神奈の話を聞く。



「超攻撃的なDFでFWを追い越してDFラインの裏を取ったり、スピードで相手を揺さぶったりするのが得意で林王の1番の武器になってるから、彼を止められるかが鍵を握りそう」



「後ろに居るから何時上がって来るのか分かんねぇし、足の速いFWよりやりづらいかもな」



 DFのマークばかりを意識していたらFWのマークが緩くなって、得点されれば意味がない。


 竜斗は難しい相手だなと考えていた。



『(彼に関しては僕ら目の敵にされてたよね)』



『(思いっきり睨んでたねあれ、初対面で恨まれるような覚えは無いのになぁ)』



 テレパシーで会話する双子は、開会式で夏樹に睨まれている事は把握済み。


 いずれも彼に会った覚えなど無い。



 彼は何故そこまで敵意を抱くのか、本人と対峙すれば分かるかもしれないと、2人はバスの到着を待つ。



 ☆



 中学サッカー全国大会の開幕戦が行われる会場は空席無し。



 石立を下して関東王者となった桜見と、日本のサッカー王国で知られる林王との一戦が高い注目を集めていた。



 両チームが開始前、アップの為にフィールドへ現れて走ったり、ボールを蹴ったりと試合の準備を進める。



「やっ」



「……!」



 その中で与一、輝羅は夏樹の前に現れて何時もの陽気な笑みを浮かべた。



 対して夏樹が睨んでいる事にも関係なく。



「僕ら初対面だよねー? 何か恨まれるような事でもした?」



 過去を振り返っても彼に会った覚えは無く、心を覗けば自分達への敵意が充満した状態で、細かい理由が見えない。



「……敵と馴れ合いたくねぇし、話す気も無ぇよ」



 お好み焼きをご馳走してくれた烈気とは、まるで正反対な姿勢。


 試合前の世間話にも付き合うつもりは無いようだ。



「お前ら自慢の無失点記録は俺がブチ壊してやるから、首洗って待ってろ」



 桜見の無失点記録を止めるのは自分だと言い放った後、夏樹は自慢の足を慣らす為に軽く走りに出る。



「向こうは余程、僕達の事を叩き潰したいみたいだよ」



「ううん、あそこまでブッ倒すって心の強い子には初めて会うなぁ……」



 これまで様々なプレーヤーと戦って来たが、双子にとって最初から強く敵対する者と戦うのは初めてだ。



「ま──こっちも負けられないから、ブッ倒すけどね」



「じゃ、何時も通りやっちゃおうか」



 敵対されようが、憎まれようが双子のやる事は変わらない。



 相手を完全に封じて勝つ、それだけだった。

与一「僕らって結構嫌われてるのかなぁ?」


輝羅「まぁ、そりゃ世の中全員が僕達を好きとはいかないでしょー。悪口言われたりするだろうし」


神奈「私も知らない間に恨まれたりしてるのかな……」


与一「神奈は大丈夫! そこは守るからねー♪(神奈へ敵意向けて何かするなら、それこそ突き止めてブッ壊すし)」


輝羅「(絶対無傷じゃ終わらせないね)さ、次は全国大会の開幕戦! 桜見と林王の試合が始まるよ〜!」

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