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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第1章 中学サッカー部との出会いと練習試合

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8/91

ゴールと共に守るもの

 ボールは王坂が持ち、ほぼ桜見の陣地に両チームが争う展開となる。



 10番の松田がボールを持てば、右に走る真野へ右足のパスが出された。



「真野さん! そのまま行っちゃってー!」



 パスを出した松田から相手サイドを抉りに行けと、コーチングで先輩の背中を押していく。



「(ちょ、速いって!)」



 サイドを任されている室岡が真野のスピードあるドリブルに翻弄され、突破を許してしまう。



「(何だ、この程度か桜見! 俺で単独突破行けるだろ!)」



 あっさり抜けた相手に対し、真野は単独で行けると判断。


 クロスは出さずに1人で持ち込みゴールを奪おうと企む。



『(与一、あいつパス考えてない!)』



『(分かってる、単純なサイドアタッカーだね!)』



 真野がパスを出さず1人で行く。


 彼の心を与一、輝羅が読むと与一は迷わず真野へ向かった。



「(今度はチビか!)」



 右から中央へ切り込む真野に与一が立ち塞がる。


 出場選手の中で最も小柄なDFなど問題無い。



 すぐに抜き去ろうと、自分の得意なスピードを活かしたフェイントで抜きに行く。



「!?」



 だが、今度は簡単に突破する事が出来ない。


 右から左への素早い切り返しに与一は付いてきたのだ。



「(何だ!? さっきの奴らとは全然違うぞ!?)」



 動き回って隙を見つけようとするも、真野は小さなDFを前に隙が見つけられず、抜けなくて焦りが募る。



「(隙見ーっけた!)」



「!!」



 逆に与一の方が素早いフェイントを見せる相手に、ボールが足元から離れた僅かな一瞬を突いて奪取に成功していた。


 想定外の事に真野は驚いてしまう。



「カウンター!」



 与一が叫びながら右足でボールを蹴ると低い弾道で飛ぶ。


 その先には楽斗の姿があった。



「っと!?」



 自分へ飛んで来たパスに驚いたのか、楽斗は胸でトラップ出来ずに弾いてしまう。


 零れた球を綿山が取って再び王坂ボールとなる。



「悪い与一! キープ出来なかった!」



「また取るから大丈夫ー!」



 与一が取ってくれたボールをキープ出来なくて、楽斗はその事を謝ると小さなDFは笑って次も取ると言い切った。




真野夏彦(まの なつひこ)、168cm、56Kg。右利き、調子に乗ったら単独で突っ込む所あり……」



 ベンチで神奈はタブレットを操作して、相手の王坂選手を調べていた。


 画面には長めの黒髪少年こと、真野が勝ち気な顔を見せている。



「神奈さん、相手を調べてるの?」



 遊子は神奈の持つタブレット画面を覗き込む。



「はい、戦う相手を調べれば見えてくる事があると思うので。松田真子(まつだ まこ)、163cm、55Kg。左利き、正確なパスと中距離からのシュートが武器──」



 次に神奈がタブレットを操作すると、短い茶髪の少年が出て来る。



「レオード・グレン、180cm、79Kg。右利き、高い打点のヘディングに突破力が武器のエース。日本とドイツのハーフ……体格良くて日本人と違う顔立ちかと思えば、そういう事」



 タブレット画面に出て来たのは、やや長めな金髪の日本人とは違う顔立ちの少年。大木田に次いで体格の良いレオードが王坂のエースだ。



「それに大木田君を加えた、王坂四天王って訳ね」



「四天王……なんでしょうか?」



「うーん、分かんないけど彼ら強そうだし、そう呼んで良いんじゃないかな?」



「分かりました、じゃあ彼ら4人は王坂四天王という事で」



 遊子がノリで言った彼らが四天王というのを神奈は受け入れて、彼らをそう呼ぶようになる。




「13番来てるよー! そこ寄せて!」



 王坂のトリプルボランチの1人がスルスルと忍び寄って来てるのが見えれば、輝羅は指示を送った。



「(おっと!)」



 寄せて来る選手に気づき、上がって来た坂口は走るルートを変えて引き離す。



「(逃さない……!)」



「 のわぁ!?」



 坂口から見れば何も無い所から影二が出現したかのようで、ビックリして足が止まる。


 チームで影の薄い人物が人知れず活躍を見せていた。



「おおー、ヤミー! ナイスだよー!」



「! (褒められた……)」



 自分のプレーを与一から褒められ、影二の顔に少し明るさが増す。




「前半の時間が少ないぞ! もっと積極的に攻めて、中央からも行け!」



 この時間帯まで0ー0な事が、王坂の監督としては想定外。


 練習試合とはいえ、これは良くないと選手達に攻める指示を出した。




「ってえ!」



 流れるような王坂のパスワークからレオードに繋がると、振り向きざまに利き足の右でミドルシュート。



 ギュンッ



 桜見DFの間をすり抜け、ゴールマウスへと強襲してくる。



 バシィィンッ



 輝羅は相手エースのシュートを正面で受け止めてキャッチ。


 強烈なシュートにも関わらず、平気そうな顔でセーブしてみせた。



「(またかよ!? 何なんだあのGKは!?)」



 蹴った瞬間に自分の中で手応えを感じたがシュートが阻まれ、エースは意味が分からないと首を横に振る。



 前半から何本かシュートは出来ている。



 それを初めて見る小さなGKに止められ、近距離で狙おうとしてもGKと同じぐらい小さなDFが阻む。


 小学校、中学校と幾多のチームと試合をしてきたが、レオードにとっても双子のようなタイプは初めて見る。



 未知の相手を前に戸惑いが生まれていた。




「前半終了ー!」



 主審の笛がフィールドに鳴り響くと、前半終了が告げられて両チームはベンチへと引き上げていく。



「あれ、王坂って前回に桜見をフルボッコにしてるはずだよな……?」



「調子悪いのか、それとも試しで何かやってんじゃない?」



「にしても結構な進化だろこれは」



 前半0ー0のスコアレス。去年10ー0で負けている桜見が1点も取られていない事に、試合を見ている生徒達からは軽くざわつきが起こっている。




「前半お疲れ! あの王坂を相手に前半0ー0って凄いじゃない!?」



 前半戦った生徒達を遊子は笑顔で迎え入れていた。



「いや、俺達もビックリしてますから!」



 霧林が皆の気持ちを代表して正直な感想を言う。



「兄さん達もお疲れ様、前半乗り切って後半行けそうじゃない?」



「楽観視は出来ないよ。むしろ危ない」



 神奈からドリンクを受け取り、水分補給する与一。


 その顔に笑みは無かった。



「僕の出番が多いって事は、それだけ向こうが攻めてて追い詰められてる。というのを意味してるからね」



「GKは本来、目立っちゃ駄目なポジションなんだよー」



 0ー0のスコアレスだが、与一と輝羅は桜見が押されていると深刻そうに語る。


 輝羅の出番が多い、それが証拠であると。



「とりあえず何とかするべきは──」



 2人の視線はチームの副キャプテン、楽斗に目が向く。




「(行けるのか? まさか去年あんな負けていたチーム相手に……いや、結局駄目かもしれないし……)」



 前半をスコアレスで折り返せた桜見に、楽斗の中で戸惑いが生まれていた。


 行けるかもしれない、勝てるかもしれないと。



 しかし夢を見て散った過去、あのショックを思い出せば、やっぱり駄目だろうという気持ちが大きくなってしまう。



 ──結局夢を見ても、へし折れて終わるんだ。そうなる事への恐怖心が楽斗を苦しめていた。



「ら……」



 その様子を見ていた竜斗が楽斗へ声を掛けようとした時。



「「行けるよ楽斗!」」



「うぉわぁ!?」



 自分の両肩に手を急に置かれ、楽斗は驚く。


 振り返れば背後にいたのは与一と輝羅の2人。



「そんなビクビク怖がってサッカーやってもさ、つまんないじゃん?」



「お、おい? 俺は別に怖がるなんて──」



 輝羅の言葉を聞いて、そんな事はないと否定しようとする楽斗。


 それを遮るように与一が続けた。



「僕らが相手に得点は絶対やらないし、楽斗の描く夢を実現させる為に守るから」



「……!」



 彼らが守るのはゴールだけじゃない。


 皆の思い描く目標、夢、それも含めて守っている事に楽斗は気付かされる。



「本当に……守ってくれるか?」



 自然と口にする楽斗の言葉。



「「絶対守る」」



 2人の小さなDF、GKは副キャプテンに言い切った。


 双子の言葉を聞いて楽斗の胸の中が熱くなってくる。



 彼らなら本当にやってくれるんじゃないかと。




「……(情けねぇ。キャプテンなのに俺がああいう事を言えなくて他に頼るなんて……!)」



 与一と輝羅が楽斗を励ますのを見て、竜斗はキャプテンとして情けないと感じた。


 本来なら双子のやってる事は自分がやらなければならないのに頼ってしまったと。



「キャプテン、下を向いてる場合かなー?」



「うおっ!?」



 何時の間にか輝羅が下から竜斗の顔を近距離で覗き込んでいて、それが見えて驚くと後ろへ飛び退いた。



「皆が接戦でやる気みたいだから、後半に向けてキャプテンとして何か声掛けるべきじゃないー?」



 見るように輝羅が促し、竜斗の視線はチームメイト達へと向く。


 目に飛び込んだのは後半に向けて、どうするかの話し合い。



 王坂相手に渡り合い、勝てるかもしれないとなって各自が自分から行動していたのだ。



「(上に行く気の無かったあいつらが……)」



 竜斗にとっては上昇志向の無かった彼らが、勝利を目指して話し合う姿に驚く。


 明らかに与一、輝羅が入ってチームは変わりつつある。



「ほらほら、後半始まるから早く〜」



「わ、分かったから押すなって……!」



 双子から早く言えと急かされて皆の前へ押し出そうとしてくる。


 竜斗は自分から向かい合い、皆へ声を掛けた。



「あの王坂相手にスコアレスだ。後半引かずに攻める。その為には中央じゃなく徹底してサイドから崩すぞ」



 後半に向けて竜斗は中央の大木田がいる分、彼のいる中央を避けてサイドから行こうと作戦を立てた。



「此処まで来たら勝つぞ! 絶対に!」



「「おおー!」」



 竜斗の声に皆が声を揃え、後半の戦いで勝利を目指す。



 それぞれズレていた者達の歯車が噛み合い、正しく動き出そうとしている。

与一「やっと良い感じになってきたかなチーム?」


輝羅「まぁ、それで100%勝てるとは限らないんだけどねー。相手は東京の強豪校だしさ」


与一「輝羅ってばシビアだなぁ〜」


輝羅「という訳で次回は桜見VS王坂の後半戦!勝つのはどっちだぁ!?」


与一「盛り上げ過ぎだってー」

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