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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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関東大会決勝戦 桜見VS石立7

『これは!? なんとGKの神明寺輝羅が上がって来た! まさかFKを蹴るのか!?』



『何かパラグアイを思い出しますよ。それに双子が揃ってキッカーの位置につくというのは、何か良いですね』



 豪雨の決勝会場が、ざわつく中で並び立つ神明寺兄弟。



 双子というのに加えて共にDF、GKと今の無失点記録を支えるのに欠かせない、柱2人が攻撃に来る姿は皆が驚く事だ。



「(神明寺輝羅まで上がって来るって……)」



「(双子揃ってわざわざ来るのかよ……)」



 これには双子の前に立つ石立の選手達も驚いていた。



「(双子揃えば僕からゴールを奪えるとでも思ってるのか? 逆に止めてカウンターで無失点記録を砕いてやる!!)」



 石立ゴールを守る登山は、輝羅の上がりが悪手だと思っている。


 今の桜見ゴールに厄介な神明寺兄弟はいない、此処で取って前線へ早めに繋げられれば得点の大チャンスだ。



「ちょ、ちょっとちょっと! 流石に輝羅君まで上がってゴールを空っぽにするのは不味いでしょ!?」



 これにはサッカーに疎い遊子でも、どんなに不味い事なのか分かった。



 GKが上がってゴールマウスは空の状態。



 そんな所を狙われれば、守られた時にロングシュート一発でゴールを割られてもおかしくない。



「兄さん達は勉強はともかく、サッカーは計算してると思うから多分何か考えてるのかと」



「ううん……そこは勉強もしっかりしてほしいけどねぇ」



 教師としては勉学が今一つな双子に引っかかる所だが、今は神奈の言葉を信じて任せるしかなかった。



「(何やってんだ輝羅!? お前、此処で外してカウンター食らったら致命的過ぎんだろ!)」



「 (FK蹴ってるの見た事無いよ!?)」



「(流石に……無謀……!)」



 桜見の面々は、輝羅に戻ってくれと内心強く願うのが多数だった。




『(あのGKとか皆、僕の上がり違うだろって思ってるよね)』



『(桜見の皆は戻れって皆思ってるよー)』



 雨の落ちる音がしながらも、人の心の声は2人に大きく聞こえて様々な思いを知る。



 だが、輝羅には後戻りの選択は無かった。



 此処で1点を取れば戻る必要など無いのだから。



 双子は声を出さずテレパシーで会話し、打ち合わせを終える。



『(じゃあ、これで良いね?)』



『(何の問題も無いよー、それで行こう♪)』



 与一と輝羅は互いを見て笑顔で頷けば、共に石立のゴールへ向いて身構えた。



『神明寺兄弟2人が見据える石立の壁、双子がこれを乗り越えるのか? それとも王者の壁が弾き返すのか!?』



『ボールの行方によっては桜見の失点に直結する場合がありますからね、これは大注目ですよ!』



 雨の降り続けるフィールドで、異様な雰囲気が漂う。


 双子が決めてしまうのか、外したり逆に失点を食らうのか、このFKに多くの注目が注がれていた。



 距離は30mで中央の右寄り、壁から見て与一が左側で輝羅が右側に立つ。



「(どっちが蹴ってくるんだよこれ……!?)」



「(ひょっとしたらGKに注目させて、与一への関心を薄めさせる為じゃないか……?)」



「(あ、それあるかも!)」



 壁の選手達は2人のどちらが蹴るのか、迷いを抱えたまま。


 その迷った心が双子に伝わってる事など露知らず。



 与一が動く動作を見せると、素早く輝羅が右足でボールを捉える。



「!? (速……!)」



 蹴られた球は壁の頭上を越えてグンと加速し、ゴール右上隅へ向かう。


 かと思えば下へ落ちる急激な変化を見せて、上に飛ぼうとしていた登山を驚かせる。



 咄嗟に左腕を伸ばすも指先を掠める事もなく、右下隅のネットにボールは吸い込まれていった。



『決まったぁぁ!! なんとGKの神明寺輝羅、石立を相手にFKを直接決めた!』



『これ、とんでもない落差のドライブじゃないですか!? 中学生のGKで蹴ってくるのは初めて見ましたよ!』



「やった輝羅ー!」



「お前FKも得意だったのかよー!」



「得意だよー! 言わなかっただけで!」



 待望の1点が決まって与一を中心に竜斗達が輝羅へ集い、抱き合って喜ぶ。



 GKが直接決める珍しいゴールで、会場全体が盛り上がりを見せていた。




「くそぉぉぉ!!」



 同じGKに決められてしまう事が、この上なく屈辱だったのか登山は濡れた地面を左腕で叩きつけ、悔しい今の気持ちを叫ぶ。



 輝羅が上がって来て最大のチャンスだったのに止められず、点を決められてしまった事が彼を激情へと走らせる。



「止めろヒロ!」



 感情が抑えきれず、ゴールポストまで殴ろうとした登山を海斗は羽交い締めで止めた。



「取ってくるから同点ゴールと逆転ゴール! だから落ち着いて守ってくれよ、頼む!」



「っ……!」



 腕の良いGKだが点を取られれば見境なくなる所があり、登山は今その状態で海斗が落ち着かせる。



「もう前に出るぞ! 両サイドもガンガン上がって良い!」



 海斗から攻撃重視で行こうと声が出て、皆が頷いた後でポジションへ戻った。



 だが、再開のキックオフは始まらない。



 桜見の方がゴールを決めた事を長く、まだ喜び合っているのだ。



「もう戻った方が良くないかこれ……!?」



「まだ少し行けるってー♪」



「これが結構時間稼げたりするからねー」



 向こうの準備が出来てるのを見て、霧林は戻らなければ不味いと感じたが、双子は構わずゴールの余韻に浸り続ける。



 共に審判の心を読みながら、カードを出されるギリギリのタイミングまで時間を引き延ばす。


 サイキッカーにしか出来ないやり方だ。



「よし、行こうー!」



 そろそろ主審の見る目が厳しくなってきたのを感じれば、すかさず与一が声を出すと皆がポジションへ戻る。


 かろうじてカードは逃れ、狡く時間を稼ぐ事に成功。



「あいつら、ぐだぐだやりやがって……!」



「時間稼ぎかよ……!」



 急がなければならない時間帯に、それをされた石立の方は苛立っていた。



 試合が再開されると石立は後ろへパスを出すと、GKの登山がエリアの外まで飛び出して大きく前線へ蹴る。



『登山、前へ出てキック! 戸村が落とした!』



 ロングボールを戸村が頭で落とした先には海斗が居て、そこへ与一が接近。



「(ただのフェイントは効かない!)」



 何度か対峙して、フェイントに全く引っかからない事は分かった。


 このままデュエルに行くのは効率的ではないと。



 瞬時の判断から海斗は素早く左足を振り抜いた、



「だっ!?」



「!」



 海斗の左足によるダイレクトシュートにも与一が反応すると、小さな体でコースに飛び込む。



 左肩に当てるシュートブロックによって、ボールが大きく上へと弾かれた時、球が雨の降る上空を舞う。



 それをGKの輝羅がキャッチし、石立の攻撃を断ち切る。



「後少し後少しー! 関東王者は俺達だよー!!」



 豪雨での死闘で体力が限界近い桜見イレブンへ、輝羅は声を掛けてからボールを蹴り出す。



 時間が経つと雨は徐々に弱まり、収まった頃には試合終了の長い笛は鳴らされた。



 この瞬間、一つの神話が崩れると同時に新たな関東王者が誕生する。

神奈「GKがFKを蹴る事もあるんだ」


輝羅「昔はそういう名GKが南米にいたそうだよー。後はスコーピオンキックでわざわざクリアするのだって居たからねー」


与一「世界で見ると守護神にも色々タイプがいるもんだなぁ〜」


神奈「ただ見てる側からすれば、ゴール前に居てほしいと思ったけど」


竜斗「とうとう超次元サッカーの代名詞、ツインシュートを双子でやるのかと思ったぞ」


楽斗「2人ならやっちゃうんじゃないかなってー」


輝羅「流石にそれ普通に無理だよー。次回は表彰式と、ちょっとドキッとなるシーンもあったり……!?」


与一「え、まさか悪い虫が神奈に何かするとか無いよね……!?」

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