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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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関東大会決勝戦 桜見VS石立4

「良い感じだよー! 皆頑張ってー!」



 ベンチに座る遊子は顧問で監督というより、サポーターに近いような感じで選手達を応援し続ける。



「ん……?」



 その時、神奈が外に出ていて自分の腕にポツッと水が落ちる感覚が伝わった。



 雨雲を見上げると僅かだが、雨は降り始めていく。




『鈴本、縦パスでエースの赤羽へ! 米沢通さない! 松崎がクリアで石立が此処も守りました!』



『準決勝で2失点してますが今日の石立守備陣は良い調子ですね。社君の不調を上手くカバーしていますよ』



 フィールドでは若干の雨粒が落ちながらも、選手達は大きな影響を受ける事なくプレーを続けている。



 だが、その脅威は桜見へ襲いかかろうとしていた。



『村木新一、右からアーリークロス!』



「行ったよ大橋ー!」



 右サイドに深くは切り込まず、遠い位置から斜め前方へ新一は右足で高くボールを蹴る。



 石立のエース戸村がゴール前に走り、桜見の長身DF大橋が彼をマーク。



 身長で勝る大橋が勝つと思われたが──。



 ポツッ



「うっ!?」



 不運な事にジャンプする時、大橋の右目に雨粒が直接当たってしまう。


 これに怯んだ大橋は飛べずに戸村が跳躍して頭で合わせる。



 頭で叩きつけるヘディングが輝羅に襲いかかるも、GKにとって難しい球を完璧にキャッチして止める。



『戸村ヘディングー! 神明寺輝羅がキャッチ!』



『今のは大橋君、何かあったんでしようか? 競り合えませんでしたけど神明寺輝羅君がよく取りましたね』



「目に入っちゃった?」



「ああ……くっそぉ、降って来やがった……!」



 輝羅の問いに大橋が右目を閉じて答えた。



 降り出した雨は強くなりつつあって、会場に次々と雨粒が落ちていく。



『おっと、雨が強くなってきましたね』



『確か今日の天気だと、結構な雨が降るという話でしたから試合の行方を左右しかねませんよ』



「(雨かよくそ……!)」



「(まぁ、暑さよりはマシか……)」



「(嫌だなぁ……)」



 フィールドの選手達の考えが色々重なって聞こえるのは神明寺兄弟のみで、大半が雨に対して嫌だと思っているのが伝わる。



 桜見は堅山戦で雨の試合を経験しているが、まだ得意とまでは行かない。



 一方、百戦錬磨の石立は悪天候の試合を多く経験している。


 あまり雨を歓迎は出来なくとも桜見よりは慣れているだろう。



「竜斗ー! 風邪また引かないでよー!?」



「大丈夫だって! お前こそ風邪引くの無しだからなー!」



 夏風邪で休んでいて病み上がりの竜斗にとって、この雨が再び風邪を引きかねないと思った与一は声を掛ける。




『中盤、鈴本がボールを持つ! 今度は何処にパスを出すのか!?』



 桜見が前半終了間際、楽斗が石立のゴール前へと迫って影二からのパスを受けた。



「でっ!?」



 そこへ笹田が楽斗に体をぶつけてパスを防ぎ、両者が転倒。



 すかさず主審が笛を鳴らす。



『これは石立、笹田のファール! 桜見にFKのチャンスが与えられます!』



『少し遠めではありますが、雨の降った環境では全く違ってきますからね。濡れたボールがキックの精度に影響すると思います』



 雨は本格的に降り出して、雨量が明らかに増している。



 確実に濡れた球で蹴る事になり、攻守にとって勝手が違うので難しいボールとなる確率は高いはず。



「よーし、出番出番っとー♪」



 FKの仕事が来た与一は雨の中でも鼻歌混じりで上がり、キッカーの位置へ向かっていた。



『これは神明寺与一が近づいて来ました! 彼の父親は日本サッカー界の生きる伝説、小さな巨人である神明寺弥一! 父を彷彿とさせる正確無比なキックで狙って来るでしょう!』



『与一君のキック見てきましたが、フォームといいお父さん譲りなんですよね。これは石立といえど怖いキックになると思いますよ』



「ヤミー、ちょっとー」



「……? 僕蹴れないよ……?」



「違う違うー、あのさぁ……」



 与一は影二を呼ぶと打ち合わせを始め、壁を作る石立選手の前でボソボソと耳打ち。



「(直接か……?)」



「(いや、パスで赤羽辺りに送るかもしれないぞ)」



 これを見た石立の選手達は与一が直接狙うと思ったが、人を呼んで話をする姿にパスもあるのかと考え始める。



「(パスなら向こうに任せて、俺達は神明寺のキックに合わせて飛ぼう)」



「(おう、それで行こうぜ)」



 壁の選手達の考えが纏まり、皆がボールの前に立つ与一と向き合う。



「(何時もならパスの方を行ってるけど、この雨だもんねー……)」



 降りしきる雨、サッカーをする者にとっては悪天候で、コントロールに自信がある者でも正確なキックを蹴るのは難しいだろう。



 雨に濡れる中、与一はゴールを見据えて笑みを浮かべた。



 相手GKの登山は防ぐ事に自信があるらしく、堂々と身構えている。



「(神明寺だろうが悪天候だろうが止めてやるよ、No.1GKの僕が!)」



 自分こそが全国1の守護神だと信じて疑わない登山は、何でも止めてやろうと張り切っている様子。



『距離は30m、位置は中央の左寄り。神明寺与一はどう蹴るのか!?』



『また雨が強くなってきましたね!』



 本格的な雨が降って、フィールドには水溜まりが出来始めていた、



 前に居る壁を見据えると、与一は水しぶきを起こしながらも左足のインフロントキックでボールを飛ばす。



 壁の選手達は与一のタイミングに合わせてジャンプするが、ボールはそれより遥か上を越えていく。


 ゴール左上に外れるかと思えば、曲がって右下へ落ちてきた。



 完全に外れるかと思われた球は、石立ゴール左上隅を正確に突く。



「がああ!!」



 登山は雄叫びと共にダイブすれば、両腕を伸ばしてボールを叩き落とす。



「(零した……!)」



 影二が登山の零した球に向かってダッシュ。



 転がった球を再びシュートに行こうとするが、先にキャッチしたのは登山。



『止めた登山ー! 闇坂が迫っていたピンチも自らボールを取って凌ぐ!』



『やはり雨の中でキャッチするのは滑って困難ですが、登山君が上手く抑えましたね。与一君も鋭く曲げる良いキックで弾いた所を詰めていれば、でしたね』



「よく守った博!」



「当たり前だ! 前半終了間際にビハインドなんか許すか!」



 米沢から労われると、登山は見たかとばかりに胸を張ってドヤ顔を浮かべていた。



「あ〜! 駄目だったかぁ〜!」



 距離はあったものの、雨で水に濡れた球ならキャッチ出来ないだろうと与一は考え、影二に上手くセカンドへ詰めてもらうよう頼んでいた。



 結果としては登山に軍配が上がって、与一のFKはゴールに至らず。



 試合はこのまま前半終了の笛を迎えると、ハーフタイムへ入る。


 雨は激しさが増すばかりだ。

与一「雨の試合も2戦目になって、僕達は結構降られやすいのかな〜?」


輝羅「それも2つとも大雨クラスで中止じゃないかってレベルの奴ねー」


神奈「これで次の話、中止とかになっちゃうんじゃあ……?」


輝羅「次回、石立の指令塔が再び戻って僕達のゴールに迫りまーす」


与一「という事は普通に試合やるの確定なんだねー」

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