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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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関東大会決勝戦 桜見VS石立

「まさかとは思うが──この中で「大事なのは全国だから、此処は負けても良い」と考える腑抜けた愚か者は居ないだろうな?」



 石立のロッカールームで監督を努める松川は厳しい目つきで、静かに部員達へ問い掛けていた。



「そんな奴は全国に行っても絶対勝てん。どんな試合だろうが負けていい試合など存在しない! やるからには勝て! でなければアスリートの資格など無い!」



「「はい!!」」



 厳しい叱咤激励に石立の部員達は声を揃えて返事する。



 いずれも引き締まった顔をしており、貪欲に勝利を求めて今日も戦う。



 そして何時も通りに勝つ。


 これが関東大会で不敗神話を築き上げた石立中学のサッカーだ。



 選手達は戦いの準備を整えてフィールドへ歩く。




「久々にユニフォームを着る感じがするな」



「大げさだってぇ、そんな離れてないでしょ?」



 桜見のロッカールームで竜斗は久々に背番号9、桜見のユニフォームに袖を通してキャプテンマークを右腕に着ける。



「やっぱ桜見のキャプテンは竜斗がやんないとねー」



「いや、お前も出来てただろ」



 竜斗が不在の間、キャプテンマークを身に着けていた輝羅は肩の荷が下りたと、右肩を回していた。



「……というかキャプテンでも、何時も通り振る舞ってたし……」



「結果、何時もの輝羅で何も変わってないってな」



「だってさー、僕が竜斗みたいに「お前らもっと頑張れ! 行けオラー!」的なのやったら変じゃん?」



 代理キャプテンをしていた時の輝羅を思い出す影二、霧林の前に輝羅は竜斗の真似のつもりか、声を極力寄せて言いそうな台詞を言う。



「何かディスってねぇか?」



「モノマネ下手って事で納得しといてよー、それより行こう♪」



 与一は自分の真似に納得してなさそうな竜斗を宥めると、試合が行われるフィールドへ向かうように急かす。



 共に何時も通り陽気な神明寺兄弟だが、内心では煮え滾る思いがある事に誰も気づいてはいなかった。




『関東大会決勝戦、現在9連覇と不敗神話を築き上げ、前人未到の10連覇に王手をかけた石立中学。この決勝まで地区大会からずっと無失点を続ける新鋭、桜見中学の試合が行われます!』



『10連覇、無失点記録と色々注目するポイントの多い決勝戦となりますね。石立はキャプテンの社君、エースの戸村君、村木兄弟と全国で1、2を争う攻撃陣が揃って、それを神明寺与一君、輝羅君の兄弟が止めきれるのか、この辺りの勝負も気になります』



 空が雨雲に包まれて午前中にも関わらず薄暗いフィールド。



 お世辞にも天候に恵まれたとは言えない決勝戦の地に、桜見と石立の選手達が縦の一列に並んで入場し、歓声に迎えられた。



 両チームのキャプテンの前で審判がコイントスが投げられると、結果は石立の先攻でキックオフ。



「よろしく」



「ああ」



 竜斗と海斗は握手を交わし、それぞれの円陣へと歩く。



「決勝、神明寺兄弟を倒して桜見の無失点記録を止めての10連覇だ」



 石立の円陣に加わった海斗の静かな言葉に皆が頷くと、10連覇へ向けて皆の気持ちが一致している事を再確認。



「石立ぇ!!」



「「最強!!」」



 海斗の掛け声に皆が声を合わせ、闘志を高めた後に皆がポジションへ向かう。



「今日で中学サッカー、1個の神話を終わらせる。出来なきゃ何時までも打ち崩せないままだ」



 桜見の円陣も竜斗が皆へ声を掛けていき、石立を絶対倒す事を誓っていた。



「桜見ファイ!!」



「「オー!!」」



 桜見も何時も通りの儀式を終えると皆が散って位置に着き、試合開始の時を待つ。



 黒と青のストライプユニフォームの桜見、GKは白。



 紫と白のストライプユニフォームの石立、GKは緑。



 桜見中学 フォーメーション 4ー5ー1


        赤羽

         9

   室岡   鈴本   霧林

    8     10     11

      宮村  闇坂

       5    14


  新田 神明寺(与) 大橋 西村

   2    6    3   4


       神明寺(輝)

         1



 石立中学 フォーメーション 5ー4ー1


        戸村

         9

 村木(新二)   社    村木(新一)

  17      10      11

        笹田

         8


  若杉 川村 米沢 松崎 羽川

   2  3   6   5   4


        登山

         1



「(来るなら来いよ──いくらでも)」



 桜見ゴール前に立つ輝羅。


 センターサークルの海斗、戸村の姿が見えて何時も以上に止めてやろうと張り切っている。



「(完封勝利で10連覇阻止ってね!)」



 与一も輝羅と気持ちは一緒で、1回の攻撃も決めさせる気は無い。



 彼らの試合は心の中で既に始まっていた。



 ピィ────



『始まりました関東大会決勝戦、桜見と石立の試合! 初優勝か10連覇か!?』



「キリー、来るよー!」



「!」



 ゆっくりとした立ち上がりを石立が見せると、輝羅から右サイドに居る霧林へ指示が飛ぶ。



 海斗がボールを受けるかと思えば神明寺兄弟に背を向けたまま、左足のダイレクトパスで石立の左サイドへ出した。



『社から左の村木兄弟の弟、新二へ渡る! そこに霧林が素早く寄せていた!』



『詰めが良いですね霧林君、社君のパスを読んだかのような動きです』



「(通すかよ2年!)」



「っ!」



 相手が関東王者の一員とはいえ新二は年下の中学生。



 3年の霧林としては負けられず、厳しく右肩をぶつけて肩同士が激突。



 新二のキープしていたボールが足元から離れると、転がった球を影二が取る。



『開始から桜見が石立を相手にボールを取った!』



「!?」



 すると影二の間に驚くべき光景が広がっていた。



 ボールを取った直後、石立の選手達が素早く桜見の攻撃陣にそれぞれ付いて、フリーにさせない。



 影二のパスを出すルートが次々と塞がれてしまい、ボールを持ち続けるしかなかった。



「ヤミー後ろ送って!」



 そこへ与一からの声が届き、影二は左足の踵を使ってバックパス。



 走り込んでいたのは、その与一本人だ。



 トラップで止める事なく右足で強く蹴り出すと、ボールが選手達の間を抜けて左サイドの室岡の前へ向かう。



「っと!」



 与一のパスに室岡が走り、マークする村木兄弟の兄、新一も走ると彼は気づく。



「(パスが強くて長過ぎる、ミスキックだな)」



 室岡や新一よりも前方にボールは飛んで来て、このままラインを割ると判断すれば新一は走る足を緩めた。



 始まったばかりで体力を使う必要は無いと。



 だが、ボールはバウンドした時、何故か真上へ跳ねて前に進まない。



「なっ!?」



 慌ててスピードを上げて走る新一だが室岡は緩める事なく追いかけ続け、その差が出て室岡が先を行く。



「(相変わらず凄いパスを出すよ与一先輩は!)」



 此処まで共に試合や練習を重ね、あんなミスキックはしないと分かっていた。


 なので躊躇う事なく最後まで走り、このパスに追いついて左サイドをドリブルで進む。



『届いた室岡! なんというパスだ神明寺与一!?』



『親子揃って驚かせてくれますね!』



「ちぃっ!!」



 このまま室岡が独走するかと思えば米沢が向かって来て、左肩のショルダーチャージで激しく激突。



「わぁぁ!?」



 パワーと体格差で室岡の体が浮き上がり、ボールと共にタッチラインの外まで吹き飛ばされてしまう。



 ファールにはならず、肩同士をぶつけての正当なチャージと主審がジャッジを下し、桜見ボールのスローインとなった。



「うぅ……」



『おっと? 米沢とぶつかった室岡が右肩を抑えたまま立ち上がれません!』




「おいコウ! 大丈夫かおい!?」



「これ、交代させた方が良いよ!」



 ベンチから海東や若葉が飛び出すと、すぐに試合続行が出来ない状態と気づき、交代させた方が良いとベンチに伝える。



「メンバーチェンジ! 若葉君行って! で、良いんだよね!?」



 珍しく遊子が監督らしく言い、皆へ合ってるか確認すれば全員が頷いた。



 立ち上がりから桜見の左サイドが負傷で交代と、今日の天候のように暗雲が立ち込める。

与一「滅茶苦茶嫌な立ち上がりになっちゃった……コウ君大丈夫かなぁ? 悪い医者に診られて権力争いの道具にされたりとか」


輝羅「実は大きな病気にかかって緊急手術とか……!」


神奈「悪い妄想が広がり過ぎ、大会のちゃんとしたドクターに診てもらってるから」


輝羅「すぐ回復して戻る事を望みつつ、次回も桜見と石立の試合! 向こうの攻撃陣が来るよー!」


与一「絶対悪い虫には負けないからー!」

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