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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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大胆な誘いと挑戦状

「──石立中学の準決勝は彼らの底力を発揮して、土壇場も強いと証明されました」



 部員達が勢揃いした状態で、準決勝もう一つの試合を見終わる。



 桜見の部室にて、何時ものように外の猛暑凌ぎに部室のエアコンで涼みながら、タブレットを持つ神奈から石立中学の試合を見せてもらう。



「同点に追いついて柳石とまた戦うのかと思ったけど、そこは関東王者が意地を見せてきたみたいだな」



 扇子で扇ぐ霧林は都大会の決勝が頭を過ぎっていた。


 しかし同点に追いつかれてからの石立、王者の底力が番狂わせを阻止。



 攻撃力の高さは間違いなく今大会No.1と言えるだろう。



「サイドの村木兄弟に中央の社、戸村……柳石の守備やGKの小島さん強かったのに5点も取られたんですね……」



 桜見が柳石と戦った時は手強い守護神として立ち塞がった小島が、守備陣が5失点を喫して室岡にとっては驚く事だった。



「というか守備も弱い訳じゃないよね? 2失点だけど米沢達の守備陣が結構跳ね返してたし」



「登山も滅茶苦茶止めて何より迫力が凄かったな。古神の奴だから2点取れたんだろうけど」



 竜斗、楽斗の2人は星夜に2点取られたとはいえ、守備陣も相当レベルが高いと見ている。


 星夜のような神童じゃない自分達が、ゴールを割る事は簡単ではないと。



「つまり……結局は攻守両方が高いレベルで厄介……」



 スポーツドリンクを飲む影二は相変わらず低いテンション。



 彼にしか出せない暗い空気を今日も纏わせていた。




「何でもいいよー」



 そこに呑気でマイペースな声が飛ぶ。



 暑さ凌ぎで紙パックのオレンジジュースを飲む与一の発言で、その隣には同じ物を飲んでる輝羅の姿もあった。



「その前に「どうせ全国出られるし、別に決勝負けてもいいやー」なんて考えてるのは居るのかなー?」



 部員達の姿を見回すと、輝羅は問い掛ける。



「先に言っておくけどさ、そういう考えじゃ絶対勝てないよ。今回だけじゃなく先の試合も」



 それまで笑っていた顔は真顔へ変わり、彼が石立を相手に本気で勝利を狙っている事が伝わっていた。



「どうせならスッキリ全部勝って中学王者なれた方がさ、最高の気分じゃないー?」



 一瞬ピリッとした部室内の空気を緩和させるように、与一は明るく発言。



「まぁ……そりゃ全部勝つ方が良いだろ。負けるよりも」



 輝羅から真剣に言われたせいか、扇子を扇ぐ手を思わず霧林は止めてしまうと、隣の室岡もコクコク頷いていた。



「王者相手だからって……負けて大丈夫でも……ボコボコにやられたくはない……!」



 小声だが意外と負けず嫌いなようで、影二も勝ちたいという気持ちを伝える。



「というか石立って関東大会、優勝しまくってるよね? 流石に此処で1回負けさせたいかなぁ」



 石立の関東大会の戦績を調べていたらしく、楽斗の目には石立が何度も連覇している証明として、ずらりと優勝校の所に同じ学校名が並んでいた。



 関東大会において無敗と、中学サッカー界に石立中学の名を轟かせている。



「このまま桜見が石立の噛ませ犬にされる、てのはお断りだ。勿論勝ちに行くに決まってる」



 全国出場は既に決めているが負けても大丈夫とは考えない。



 桜見のキャプテンとして、竜斗は決勝戦で石立を倒すと心に決めていた。



「じゃあ絆をもっと高める為に焼肉行こっかー♪」



 全体的に打倒石立の気持ちが高まったのを感じると、その流れで与一は皆でご飯に行く事を提案。



「与一兄さん、自分がそれ食べたいだけでしょ」



「結構すぐに試合やるし、影響して残るもんは食わねぇ方が良いぞ」



「え〜」



 神奈に本音を見抜かれた上、竜斗から試合に影響する物は控えるようにと注意されて、与一は肩を落としてしまう。



「まぁ、お母さんの美味しい料理食べて元気出そ?」



 そう言って与一を慰める輝羅も、密かに焼肉を皆で食べたいと思っていた。


 ちなみに神明寺家で待っている食事は輝咲特製のカレーだ。



 ☆



 関東大会の決勝は幸か不幸か、太陽が雨雲に包まれて日は出ておらず、気温は8月の平均を下回っている。



 サッカーをやる者からすれば猛暑じゃないのは良いが、雨が降り出してしまうのはプレーに色々と影響を受けて、歓迎出来ないだろう。



 スタンドには雨対策として傘を持ったり、レインコートやウェアを着る人が多く見られた。



「今日降りそうかなぁ〜?」



 雨雲の下でアップを始める桜見イレブン、与一は何時泣き出しても不思議ではない空を見上げる。



「どうなんでしょう、今にも降ってくる雰囲気ありますけど……」



「若葉は雨降った方が調子良いんじゃない? ほら、都大会の時とかさぁ」



「雨に強くて大好きって訳じゃないですよ」



 ストレッチをしながら若葉も空を見つめ、それに付き合う楽斗は彼の初めてのデビュー戦を思い出す。


 都大会の堅山戦、あの時も雨が降った試合で悪天候な環境だったが若葉は輝きを放っていた。




「雨が降った時の事も考えないと……」



 神奈はタブレットの画面と見つめ合い、考える仕草を見せる。



「雨に降られないよう、気をつけた方が良いよ神奈ちゃん」



「あ、社さん……」



 突然近づいてきた人に気づいて神奈が視線を向けると、そこには相手のキャプテンである海斗が立っていた。



「これから試合なのに相手のベンチに居るのは不味いんじゃあ……?」



「少しぐらい平気さ」



 桜見の選手じゃないのに大丈夫かとなったが、海斗は構わず神奈との話を続ける。



「流石は神明寺といった所かな、決勝まで無失点とはね。マネージャーの君が優秀という点も大きいと思ってるけど」



「私は別に関係無いですよ。兄さん達の力ってだけでもなく、桜見全体の地力による結果ですから」



 神明寺の血を受け継ぐ天才達と神奈のおかげ、そう海斗は考えているが神奈の考えは違う。



 桜見の地力が増した結果、この決勝に立っているのだと。



「……良いね、神奈ちゃん。俺は益々君に惚れた」



 冷静だが意志の強そうな目で見上げられた海斗は、優しく神奈に向かって微笑んだ。



「石立が桜見に──俺が神明寺の双子からゴールを奪って勝ったら、1回デートしないか?」



「え……?」



 海斗に突然そう言われた神奈は戸惑いの表情を見せる。



「いきなりこんな事言われたら、そりゃビックリするよな。けど神奈ちゃん……俺は本気だよ」



 柔らかな笑みを浮かべたまま海斗は神奈に告げた。



 冗談ではなく本気の誘いだと。




「何を話してるのかな〜?」



 そこへ神奈と海斗の間を割って入るように、与一が現れて輝羅も駆け寄って来る。



「妹と何話してたの?」



 与一が何時も通りの笑みを見せる一方、輝羅は厳しい表情を浮かべていた。



 どちらも共通して目が殺気を帯びている。



「いいや、宣言しただけさ。お兄さん達のゴールを奪って勝つってね」



 双子の兄が現れても海斗の調子は変わらず、笑みを崩さない。


 そのまま彼はゴールを決めると本人達にも宣言していた。



「ちょっと海斗、何やってんの? 戻らないと!」



 双子に続いて石立からもマネージャーの美怜が現れて、海斗を呼びに来る。



「ああ、じゃあまた試合でね。お兄さん達」



 そう言って海斗は美怜と共にロッカールームへ引き上げて行った。



「(……あんなの言われた事ないけど、デートって……)」



 神奈の中で海斗からのデートの誘いが印象に残り、動揺してしまう。



 その心が与一と輝羅にも見えているとは気づかないまま。



『(本当にあいつ、色々と良い度胸してるよね?)』



『(どうやら僕達と喧嘩して、とことんやり合うのを望んでいるらしいねぇ……どうなるのか知らずに)』



 双子は揃って色々と着火していた。



『(石立中学ブッ潰す!)』



 与一、輝羅のテレパシーで完全に打倒、石立の気持ちが一致する。

与一「あんな一目惚れで、すぐデートに誘うような男には託せないよねぇ〜?」


輝羅「彼の思い通りになったら、この世の終わりと思って本気で戦わないと駄目だよ」


竜斗「あそこは何を真剣に語り合ってんだ?」


神奈「お兄ちゃん会議、だそうです」


竜斗「何かよく分かんねぇけど、お前ら仕事しろってー!」


輝羅「あ、次回は桜見と石立の関東大会、決勝が始まりますからー」


与一「皆さん、桜見の応援よろしくー!」

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