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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第3章 熱き関東大会の戦い

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鉄壁の崩壊

「さぁさぁ、1点取ったから此処じっくり行こうかー♪」



 相手のミスで幸先良く桜見が先制点を奪い、与一は周囲の仲間達へ声を掛けて士気を上げる。



「悪い! 太陽が目に入っちまった……!」



「済んだ事を言っても失点は戻らない。それより同点ゴールに追いつく事が大事だろ」



「時間はたっぷりあるし、慌てて攻める事も無いよな」



 失点した島岡の面々は話し合い、慌てて攻撃にシフトを変える必要は無いと、じっくりチャンスを待って攻めに出る事が決まった。



 点差が僅か1点で前半始まったばかりで、まだまだ焦るには早すぎる時間帯。


 再びキックオフで試合が再開すると彼らはゆっくり中盤でボールを回す。



『島岡は予期せぬ開始からの失点に慌てずパスを繋ぐ』



『そうですね、まずは落ち着く事。これが建て直すのに大事だと思います』



「(何か隨分とゆっくりに見えてんな。これ取れそうだぞ!)」



 竜斗から見て島岡のパスが隨分と遅く感じ、取れると判断してから桜見のキャプテンが行動に移す。



『キャプテンの赤羽、パスを読んで詰めていた! ボールを零させて追いかける!』



『今の良い寄せしてますね。相手がトラップした瞬間ですから、そこへ目の前から急に来られると対応は難しいでしょう』



「っせぇ!」



「ぐっ!?」



 ボールを取る時にDFと競り合いになり、これを竜斗は持ち前の力強さで制すると前へ進む。



「(大木田相手の方がきつかったっての!)」



 東京を代表する強豪DFと夏に練習した経験が活きたか、このまま竜斗は止まらず中央突破を狙う。



 左足のシュートに行く時、島岡DFが立ち塞がる。


 それでも竜斗はシュートと見せかけたキックフェイントで切り返し、相手を巧く躱すと利き足の右を振り抜いた。



「うおおっ!」



 先程の失敗を取り返そうと、GKが雄叫びと共に必死で飛びつく。



 だが、ボールは無情にも伸ばした左手を抜けてゴール右にシュートが突き刺さり、大きくネットを揺らした。



『キャプテンの赤羽が決めた! 早くも桜見が2ー0と突き放す!』



『ゴール前で赤羽君が良い切り返しをしましたね。守備といいレベルが高いですよ』



「竜斗ー! 絶好調じゃんかー!?」



「相手が何か遅く見えちまったんだよ! そんでゴールまで行けた!」



 ゴールを決めた竜斗に楽斗が飛びつき、他の桜見イレブンも続いて集まっていく。




「あんな動き速かったか……!?」



「最新の柳石戦を見たはずなのに、あれから強くなったのかよ……!」



 まさかの2失点、茨城の予選でも立て続けに点を取られた事が無いのもあって、島岡イレブンの間に動揺が生まれ始める。



「(はい、崩れたっと〜)」



 彼らの心を感じ取った与一と輝羅は揃ってニヤッと笑う。



「皆ー! 今が攻め時だよー! カウンター気にせずガンガン前出ちゃってー♪」



 島岡の心が乱れている内に、立て直される前に与一は味方の前線へ向かって攻めろと声を出す。




『桜見、闇坂がボールを奪って鈴本に繋ぐ!』



 なんとか点を取り返そうと前に出る島岡だが、死角から忍び寄る影二が気づかれる事なくボールを奪う。


 そこから指令塔の楽斗にパスを出して、左を走る室岡へ送る。



『左の室岡から高いボールが上がった! 赤羽が頭で落とす!』



 室岡の左足からクロスが上がり、相手DFとの空中戦に競り勝った竜斗はポストプレーで空いてる右に落とす。



 その位置に霧林が走り込んできて右足でシュートを放つと、これがゴール右隅に飛んで大きくネットを揺らしてみせた。



『桜見3点目ー! 前半で早くも3ー0と勢いが止まりません!』



『波に乗って来ましたね桜見、前半から3点は相当大きいですよ』




「(神明寺に注意してれば大丈夫じゃなかったのか!?)」



「(他の奴がこんな強かったとは聞いてないぞ!)」



 明らかに計算外となってしまい、島岡イレブンの間で動揺は大きくなるばかり。



 自慢の守備が乱れては一気に崩れて3失点と、立て直しが困難な状況に追い込まれてしまう。



 すると桜見は3点リードになった時、サイドの室岡と霧林を下げて若葉、咲山を投入。



 此処で攻撃的な選手を休ませて温存する作戦へ入る。



『おっと、桜見は此処でまた選手交代ですか』



『これはキャプテンの赤羽君と副キャプテンの鈴本君も下がりますね。前線で動いていた攻撃的な選手達を休ませる狙いですね』



 桜見はサイドだけではなく、中央の竜斗、楽斗に代えてワントップの位置に菊川。


 トップ下に磯谷と、それぞれ交代していた。



「あ〜、涼しい〜」



 ベンチに戻って来ると霧林は巨大扇風機の前に移動、涼しい風を正面から受ける。



「序盤のセットプレー取れた事がデカいよな。あれで2点、3点と行けたし」



「島岡の守備が結構バタバタしてましたからね。攻めろっていう後押しが無かったら慎重になって、向こう立て直してたかもしれないです」



 水分補給で体を休める竜斗と室岡。



 今思えば守備の堅いチームから続けて得点出来たのは、後ろの声による強い後押しがあったからだと振り返っていた。



「相手ビビってるよー! 引く必要なんか無いから攻めろ攻めろー!」



 ベンチメンバーから見えたのは、自軍ゴールマウスから味方へ攻めろと声を出し続ける小さな守護神の姿。



「さっきは与一の声だったよなぁ。今は輝羅と双子揃って暑い中めっちゃ声出すじゃん」



「2人は確か練習試合の時もフル出場でしたけど、疲れないのかな……?」



 よく声を出すなぁと、楽斗は冷たいタオルを頭にかけながら見て、別のタオルを手に取る室岡が双子の体力を心配する。



「いや、そこは上手くあいつらやってるみたいだぞ」



 竜斗の見ている先では、プレーが止まったタイミングで密かに水筒の水を飲んで水分補給に務める与一、輝羅の姿があった。



 2人は何時も声を出したりしてる訳ではなく、サボれる時はサボって隙あらば給水で体力の消耗を抑える。


 これは練習試合の時でもやっていた事だ。




『桜見優勢で島岡は苦しい展開に追い込まれている! せめて1点を返したい所ですが、神明寺与一インターセプト!』



『いやぁ、流石はお父さん譲りと言いますか。小柄といい読みの鋭さといい血は争えませんね』



 島岡が前に出て後ろから長いスルーパスを狙うが、これを与一は簡単に右足を出してカット。



「カウンター!」



 与一の声と共に桜見の選手達が相手ゴール前へ目指すと、与一は左サイドの若葉へパス。



 相手が迫るも若葉は右回りのターンで鮮やかな突破を見せて、左足でゴール前の菊川へ繋ぐ。



『倉本から菊川! DF頭で弾き返し、詰めていたぁ!』



 1度は島岡DFに跳ね返されるも、零れ球に詰め寄っていたのは代わって入った海東。



 そのまま思いきって左足を振り抜けば豪快にゴールネットを揺らしてみせた。



『決まった桜見4点目ー! 控え選手の海東が島岡を突き放した!』



『セカンドへの反応良かったですね。何より躊躇せず思いきりが良いプレーでシュートに迷いが無さそうでしたよ』



「良いぞー! 桜見の将来が明るいよ後輩組ー♪」



 いずれも交代で入った選手達は若葉を含めて2年ばかりと、与一は後輩の頑張りを明るく労う。



 チーム全体が王坂、東王との合同練習に試合と経験を重ねて力が付き、各自のレベルアップへと繋がっていた。



 それを知らない島岡イレブンは桜見に振り回され、肉体と精神の疲労が両方襲いかかって足を止める選手達が続出する。




『赤羽3点目ー! ハットトリック達成だ!』



 再交代のシステムを桜見は積極的に活用すると、スタミナを回復させた竜斗が立て続けにゴールを決めていく。



『(2点目が入った時点で決まってたねー♪)』



『(1失点から亀裂は入ってたかな? ま、情けは相手に失礼だし♪)』



 序盤から勝ちを確信していたテレパシーで会話する双子。



 手を抜く方が失礼と思い、本気でやった結果は会場がざわつく程のスコアがついていた。



 試合終了の笛が鳴ると桜見は勝利を喜び、島岡はがっくりと肩を落としたり地面に倒れたりと、フィールドでハッキリ明暗は分かれているのが見える。



 桜見はベスト8に勝ち進み、関東大会優勝へ前進していく。



 桜見10ー0島岡



 竜斗3


 楽斗2


 海東2


 霧林1


 室岡1


 オウンゴール



 マン・オブ・ザ・マッチ


 鈴本楽斗

与一「何気に海東って子が結構ゴールを決めてるよねー」


輝羅「これは若葉の他に新たなスーパーサブの予感かなー?」


若葉「彼は僕の友達で結構頼れますよ! メンタル弱めですけどね……」


与一「うーん、それはガラスのハートっぽいなぁ〜」


輝羅「次回は次の対戦相手も含めたライバルチームの試合の様子が流れるよー!」

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