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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第1章 中学サッカー部との出会いと練習試合

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現状で満足するサッカー部に小さな守護神が動く

 竜斗が案内してくれるおかげで与一と輝羅は、まだ不慣れな桜見中の校舎をスムーズに移動する事が出来た。



 移動している途中では野球部がグラウンドで懸命に声を出したり、柔道部がランニングで汗を流す姿が見える。


 他にも体育館の方からは女子部員の練習で張り切る声が聞こえたりと、皆が放課後の部活に励む。



「運動部、皆活気あるねー」



「まぁな。皆全国の頂点を目指そうとしてるから、当然そうなってくるさ」



 うちと違ってな、と心の中で竜斗はそう続けていた。



 与一も輝羅もその心は見えて、竜斗以外は不真面目なのかと思いながらも彼の後ろを付いて歩き続ける。




「あ、キャプテン授業お疲れー」



 桜見のサッカーグラウンドに到着すると、青と黒のストライプのユニフォームを着た茶髪の少年が右足でボールをリフティングしながら、竜斗へ声を掛けてきた。



「おう、皆揃ってるか?」



「ヤミーちゃんがまだ来てないぐらいかなぁ。ん?」



 リフティングのボールをトラップして足元に収めると、彼の視線が与一と輝羅に向く。



「ああ、2人は転校生でサッカー部に入る新入部員だ。こいつはうちの副キャプテンな」



「よろしくー、副キャプテンやってる鈴本楽斗(すずもと らくと)だ。ポジションはOMFで司令塔ね」



 竜斗からの紹介を受けて、明るいノリでピースサインを決めながら副キャプテンこと『鈴本楽斗』は双子へ挨拶。


 身長は170cm近くはありそうだ。



「おお〜、背番号10で司令塔って格好良いねー♪」



「うんうん、頼れそうで良い!」



「そうか? まー、背負うの誰もいないから俺が貰っちゃったって感じなんだけどなぁ」



 楽斗のユニフォーム、背番号10を見て与一が目を輝かせると輝羅も同意して頷く。


 格好良いと言われて楽斗は嬉しくなっていった。



「桜見サッカー部、楽しそうで良いじゃん♪」



「うちはサッカーを楽しむ事をモットーにしてるからな。そんで無理し過ぎずにやってくって感じで」



 輝羅に桜見サッカー部の方針を語っていると、竜斗は複雑そうな顔を浮かべる。



「(確かにオーバートレーニングとか良くねぇし。楽しむ事も大事……間違ってないけど、このままで良いのか……)」



 思い悩む竜斗の心、それが彼を見ていた与一には感じ取れた。



「竜斗、紹介するなら皆を集めて挨拶しなきゃ駄目じゃね?」



「 あ……そうだな。ヤミーはまぁ、そのうち来るだろうし先に済ませちまうか」



 副キャプテンから言われて竜斗がハッと気づけば他の部員達を集めに向かう。




 フィールドの中心に多くのサッカー部員達が集まり、与一と輝羅は彼らの前に立つ。



「皆、今日からうちのサッカー部に加わる新入部員の2人だ。じゃあ挨拶よろしくな」



 彼らと並ぶ竜斗が双子へ挨拶を促すと、揃って2人は前に出る。



「3年の神明寺与一です! ポジションはリベロ希望でー」



「同じく3年の神明寺輝羅です! ポジションはGK希望でー」



「「よろしくお願いしまーす♪」」



 それぞれ希望のポジションを言ってから、双子は揃って明るく挨拶して頭を下げた。



「(へぇ~、DFにGK……)」



「(小柄な双子だから、てっきり前線とか中盤かと思った)」



「(人は見かけに寄らないなぁー)」



 双子の外見を見て、ポジションは前の方と思っていたのが多数。



「とりあえず今日の所は見学な。入部手続きぐらいでユニフォームも配られてねぇから」



 竜斗は2人に見学するよう告げる。


 流石に今日、今すぐ練習参加という訳には行かないので、まずは部がどんなものか知る為に練習を見てもらう。



 上を目指さないマイペースな部活を見て、どう思われるか不安ではあるが。



「ヤミーまだ来てないのー? もう練習始まるぞ〜」



 楽斗がヤミーという人物を呼ぶ。


 すると彼の後ろから忍び寄る人物がいた。



「……来てるよ……とっくに……」



「のわぁぁ!?」



 楽斗より若干身長の低い、陰気な雰囲気を纏う黒髪の少年が後ろから話しかけ、楽斗を盛大に驚かせる。



「ビックリしたぁぁ! ヤミー、いるならいるって言ってくれよ〜!」



「……気づいてるかと思ったから……」



 どうやら彼が噂のヤミーという人物で間違いないらしい。



「や、噂のヤミー君? よろしくー♪」



「忍者みたいに気配を消して凄いなー!」



 与一が明るく笑って挨拶して、輝羅の方は音も無く忍び寄る彼が忍者のようで凄いと目を輝かせていた。



「……一応、闇坂影二(やみさか えいじ)って名前が僕にはあるんで……」



 ヤミーと呼ばれてる事に双子は揃ってすぐ理解する。


 彼の名前、『闇坂影二』から名付けられた事に。




 無事に全員が揃ったので桜見サッカー部の練習が開始された。



「こっちー」



「オッケ、ナイスパース」



 パス練習をする部員達はボールを確実に繋いでいく。


 コントロールは良いがスピードはイマイチ出ていない。


 それぞれ声を掛け合ってパスを褒め合う。



「っしゃ、突破〜!」



「ちぇー、やられたかぁ」



 1対1で向かい合い、フェイントで翻弄してDFを突破する事に成功。


 DF側は軽く頭を掻き、突破した方はガッツポーズで喜んだ。



「……」



 与一、輝羅は桜見の練習風景を黙って見続ける。



「(ガッカリしてるだろうなぁ……全国制覇を目指すっつってくれたのに、入ったサッカー部がこういう感じってのは)」



 双子の見物する姿を竜斗はゴール前から見ていた。


 さっき全国制覇を目指すと言ったが、メンバー達のサッカーはそれと異なる。



 皆が東京ベスト16で満足して、のんびりまったり遊びに近いサッカーばかりをするようになった。


 そこからは向上心が感じられなくて、これでは勝てないと感じてしまう。



 竜斗は自分の抱え込む想いをボールへぶつけるように、宙を舞う球に向かって跳躍してから額で捉えて叩きつけるヘディングでゴールを決める。



「良いヘディングじゃん竜斗、また上手くなってねぇ?」



「毎日練習してりゃ普通だろ」



 彼のヘディングでのゴールを称えてから、楽斗は竜斗とハイタッチを交わす。


 ただ竜斗の心がスッキリ晴れる事はない。


 



『(緩くマイペースにやって、良い雰囲気ではあるけど)』



『(うん、とても心が苦しんでるよね)』



 練習を見ていて与一と輝羅は声を出す事なく会話を続ける。


 共に彼らには抱えている物が見えた。



『(与一、僕ちょっと行くね)」』



『(いってらっしゃいー)」』



 与一と輝羅は無言で互いを見つめ合うと、やがて共に頷いた。


 そして輝羅が動き出す。




「っせぇ!」



「わっ!?」



 竜斗の力ある右足のシュートにGKは驚いて動けなかった。



「竜斗ー、シュートが結構弾丸っぽくなってねぇ? 目指すは炎か稲妻シュートってやつかー?」



「いいから構えろって、2本目行くからよ」



「ちょ、ペース速いな!」



 再び蹴ろうとしてる竜斗の姿はGKを慌てさせていた。



「ねぇー、ちょっと良いかなー?」



「ん?」



 竜斗は声を掛けられて振り返ると、そこには見学していたはずの輝羅が目の前に立つ。



「シュート、僕受けて良い? グローブちゃんと持ってきてるからさー」



 輝羅の手には愛用のキーパーグローブがある。


 シュートを受ける準備は出来ていると、アピールして見せているように。



「──青木、交代してくれ。少しくらいなら良いぜ」



 チームの正GKと交代で、輝羅は学ランの上着を脱ぎ捨てた。



「 っと」



 上着は与一が受け止めて預かり、輝羅はカッターシャツの袖を捲れば両手にグローブを身に着けていく。



「(やっぱ小せぇな)」



 さっきのGK青木が170以上あったのに対し、輝羅はそれより20cmぐらいは低いと思われる。


 青木が守っていた時よりゴールマウスが何時もより大きく見えてしまう。



「いいよー、何時でも」



 笑みを崩さないまま、輝羅はゴールマウスの前で身構えていた。




「っせぇ!」



 竜斗は何時も通り右足で狙うと、ボールはゴール右下へ低めの弾道で飛んでいく。


 転校生に華を持たせる気がない本気の球が襲う──。



 バシィンッ



「!?」



 輝羅はシュートが飛んだ方向へ軽く飛んで、正面で簡単にキャッチしてみせる。



 取りやすいコースへ放り込んだつもりは無い、なのに小さなGKは竜斗のシュートを簡単に抑えてみせたのだ。



「──次、まだ行けるー?」



「──大丈夫だ、行くぜ!」



 もっと厳しく、強く行く事を意識して再び竜斗は右足で強く蹴る。


 今度はゴール左上に行く速いシュート。



 FWとして決めたい気持ちが強くなって、それがキックにも現れた。



 バシィンッ



 しかし輝羅がまたも正面で受け止める。



 先程と同じ、軽く飛んでのキャッチだった。



「なっ……!?」



 加減はしていない。


 むしろ決めるつもりで本気で蹴ったはずだ。



 竜斗は改めてゴールを見ると、輝羅の守るゴールマウスに何処を狙えば入るのか、分からなくなってしまう。



 ゴールを守る小さな守護神の目は竜斗を真っ直ぐ捉えている。


 その目はまるで全てを見通してるような、そんな目に不思議と見えた。



「(何なんだよ、このGKは……!?)」



 そこまで動いていた訳でもないのに、相対してる竜斗の右頬からは汗が伝って滴り落ちる。


 彼のサッカー人生の中で、こんなGKと向き合った事は無い。



 結局この後、竜斗は輝羅に対して1本も決められなかった。




「竜斗が1本も決められなかったって、マジで?」



「……あり得ない……」



 周囲の部員達は何時の間にか竜斗と輝羅のシュート練習に注目。


 チームのエースである竜斗が決められなかった事に周囲はざわつく。



『(輝羅、皆驚いてるみたいだよ)』



『(らしいね、とりあえず最初のステップはこんなもんかな?)』



 心の中で与一、輝羅の双子が会話。



 まずは存在感を見せて、自分達に強い関心を向けさせる。


 それは彼らの立てた作戦だ。



 向上心が無くて現状で満足するサッカー部に双子は人知れず静かに企み、動く。

与一「輝羅、派手に動いたねー」


輝羅「まぁ主人公ですから? ちゃんと目立っておかないと駄目でしょー」


与一「いや、僕も主人公だからー!」


輝羅「という訳で次回はサッカー部との本格練習! 上を目指す気の無い彼らはどうなるのか? お楽しみに♪」

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