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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第2章 地区大会、都大会の戦い

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若葉が芽吹く時

「え……?」



 ベンチに座っていた若葉は、言われた言葉に1回では理解が追いついていない様子だった。



「だから、後半お前の出番来るから準備しとけって言ってんだ。お前確かサイドバックやった事あるんだよな?」



「は、はい!」



 竜斗から後半の出場に備え、アップをするようにと言われた言葉は聞き間違いではない。



 都大会で0ー0の接戦、前回のベスト16を超える場所へ行けるかどうか大事な試合での出番。


 若葉の体は震えてくるが緊張でも雨の寒さでもない。



 ──試合に出られる事からの武者震いだ。




「やっばぁ〜、これ雨強くなってきてるよな〜?」



「強い……」



 前半と比べて勢いが強まりつつある事に、楽斗も影二も雨粒を受けて伝わる。



 フィールドの整備は一度行われているが、これでは再び芝生に水溜まりが出来るのは時間の問題だろう。


 それでも中止になる事は無く、試合の方は続行が決まっていた。



「試合後は風邪引かないようにしよう皆ー、ちなみに僕は風邪引いた事なんか無いから平気♪」



「なんとかは風邪引かないって言うからなぁ」



「ちょっとキリー! 今トゲを感じたからねー!?」



 自身も含めて雨に打たれる桜見イレブンに、与一は明るく励ましつつ生まれてから風邪を引いてないと胸を張る。



 そこに霧林にからかわれて彼へ詰め寄っていた。



 悪天候で前半ペースを掴めていない桜見だが、チームの雰囲気は与一の影響あってか明るい。



「前半は向こうの方がシュートを撃ったりと良い攻めをしてきた。こっちは近くで撃つのに拘り過ぎた前半だったから、後半は遠めでも構わずミドルでもロングでもガンガン撃ってくぞ」



「ゴールが見えたら撃て! な攻撃スタイルだね」



 後半のキックオフ前、竜斗から後半は遠めのシュートを多用していく事が伝えられる。


 ボックス内でのシュートに拘り過ぎたせいか、前半の桜見のシュートは堅山よりも少なかった。



 遠めでもシュートしようと作戦が決まり、雨の後半戦が始まる。




「あっ!」



 左サイドでボールを受けた室岡。


 中央の楽斗へ折り返そうと左足で蹴るが、途中の水溜まりで球の勢いが無くなればボールは止まってしまう。



 これを堅山は迷わず勢い良く蹴り出してクリア。



 勢いの増す雨に下へ転がる球が蹴れず、パスは浮かせて繋げる方法が求められた。



「落ち着いてー! もっかい行こうー!」



 相手のクリアしたボールを取った与一。


 皆を励ましながらも再びパスで前へと繋げて、もう一度攻撃を立て直していく。



 それが繰り返され、後半戦も桜見は堅山の守備と雨に苦戦。



 このまま仮にスコアが動かず後半が終われば、PK戦での決着が待っている。


 輝羅からは「PK戦になっても良いから気楽にやって♪」と言われてるが、かなりチームの消耗が大きくなる恐れがあった。



 出来る事なら先の試合も考え、後半での決着が望ましい。




 その時、ベンチの方が動き出す。



「マネージャー!」



「!」



 切っ掛けは竜斗からベンチにいる神奈に声を掛けた事だった。


 その言葉を受けて神奈の視線は、アップをしている若葉へ向けられる。



「倉本先輩、出番です」



「!」



 神奈から交代だと言われた若菜はアップの動きを止めて、ジャージを抜けばユニフォーム姿となる。


 背番号は7だ。




「雨のフィールド想像以上にきっついから気をつけろよ?」



「はい、後は任せてください!」



 左サイドバックで3年の先輩、新田と交代で若葉は雨のフィールドへ足を踏み入れる。



「(小学校以来の──久々の公式戦だ……!)」



 昨年1年だった若葉は公式戦に出ていない。


 これが初めてとなる中学での試合、いきなり最悪の悪天候によるサッカーだが彼には関係無かった。



 それよりも試合に出られる嬉しさの方が上回っているのだから。




 若葉が新たに入って桜見の攻撃から試合は再開。


 楽斗が中盤でボールを持ち、パスのターゲットを探す。



「(若葉、いきなり大胆な事をするね!)」



 左サイドから室岡を追い抜くとFWの位置まで若葉は上がる。


 いきなり果敢に攻め上がる後輩の姿を見た楽斗は、若葉に向かって右足のパスを浮き球で出した。



 堅山DFも黙って見ているはずがなく、若葉に向かって1人が迫り来る。



「(雨のトラップで慌ててる所を取ってやる!)」



 変わって入ったばかりで今日のゲームにまだ慣れていない、雨で濡れたボールの扱いに苦戦している所をDFは狙っていた。



 そして彼が左足で球を受けた時──。



「!?」



 若葉はボールを左足で受けるのではなく、そのまま蹴って目の前に迫るDFの頭上を球が越していった。



 DFの左から若葉が抜けば落ちてくる球を受け止め、蹴り上げながら進む。



「(リフティングドリブル!?)」



 ゴール前で後輩のプレーを見ていた竜斗や周囲の相手DFは驚く。


 若葉が水に濡れた芝生にボールを落とさず、リフティングで進む姿に。



「止めろ早く!!」



 堅山GKの大声が木霊すると、若葉に向かって新たにDF1人が突っ込んで行く。



 その前に若葉は左足でゴール前にパスを低い浮き球で出して、飛び込んだのは竜斗だ。



 素早い反応で相手DFより一歩抜き出ると、身を投げ出すダイビングヘッドがボールを捉える。


 GKの右脇の下を抜けばゴールネットに球は入っていた。



「やったー! 竜斗に若葉、超ナイスー!!」



「俺より若葉だろ今のは! あのプレー何なんだよ!?」



 待望の1点が入って若葉の周囲に歓喜の輪が広がり、若葉は抱きつかれたり頭をクシャクシャに撫でられたりと、手荒い祝福を受ける。



「いや、あの……! 下が雨で濡れてるなら地面に着けられないなと思って、それでやったら……出来ちゃいました」



「……それ天才じゃないの……?」



 まぐれで出来たと謙遜する若葉に影二は小声で天才だと呟く。




『(リフティングの練習やったりしてたから、その成果が出たのかもねー♪)』



『(雨の中でのリフティングは昔、Jリーグで伝説になったそうだよー?)』



『(そうなの? じゃあ今のは伝説に近い感じかなー?)』



『(あまり相手DFが寄せてなかったから、プレッシャーが少なかった分もあるだろうけどね)』



 テレパシーで与一と輝羅は昔、今のような伝説のプレーがあった事を話していた。



 若葉はリフティングが得意で普段から結構やっている。


 その練習が実を結んでのスーパープレーに繋がったのだろう。



「(さぁて、後輩がやってくれたんだから先輩としては負けられないでしょー!)」



「(当然、この1点を絶対に守って中学デビューの後輩を祝うよー!)」



 前線が取ってくれた1点を守りきってベスト8に行く。



 与一、輝羅の2人は悪天候の中でも完封勝利を狙っていた。




「左は囮ー! もう真ん中寄っちゃっていいからー!」



 堅山は注意を引かせる為に両サイドを走らせ、桜見を惑わせに行くが与一にあっさり見破られ、デコイが無力と化してしまう。



 本命の中央突破に備えて、サイドの選手を寄せていた桜見が相手の猛攻を凌いでいく。



 もうロングしかない、相手GKのファンブル(GKが一度キャッチしようとしたボールを落とす)を狙えば行けるはずだ。



「(その望みは無いよ!)」



 遠めから勢い良くロングシュートを狙うも、輝羅はファンブルする事なく正面で完璧なキャッチを見せる。



 相手のロング狙いなど、心を覗いた事で既にお見通しだった。



 試合は桜見が最後まで1点を守りきって準々決勝進出となる。




「今日のヒーローはワカバだねー♪あのリフティングドリブルはヤバいってー!」



「僕よりゴールを決めた赤羽先輩や神明寺先輩達の方が……!」



「良いから今日はヒーローなっときなさいー、とりあえずシャワー浴びてラーメン食べたい〜」



 今日の殊勲となる若葉に双子が集まり、共に笑い合っていた。



 桜見1ー0堅山



 竜斗



 マン・オブ・ザ・マッチ


 倉本若葉

与一「準々決勝ベスト8〜♪」


輝羅「まだ優勝は先だけど、昨年は超えたみたいだねー?」


神奈「新たな力も加わって調子は上々だけど、油断は禁物」


輝羅「次回はライバルの見守る前で準々決勝!」


与一「このまま都大会優勝と行こうー♪」

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