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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第2章 地区大会、都大会の戦い

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要注意のエース

 地区大会1回戦の深山田中学を下し、桜見は2回戦へと進出。



 その勢いのまま2回戦で対戦する相手と対峙する。


 対戦相手は『森里(もりさと)中学』となり、1回戦を3ー1で勝ち上がっている攻撃的なチーム。



 1回戦の時より力のある相手、2回戦の試合が始まる──。



「7囲めー!」



 今日も後ろから輝羅が指示を出して、相手の7番を2人で囲むとボールを奪う。



「楽斗、ヤミー! ナイスコンビー!」



 守備で活躍する2人へ与一は間髪入れず、称賛の声を伝えていた。



 右サイドの霧林が上がり、楽斗は右の空いてるスペースにスルーパス。


 精度の高い球は走る霧林の前に来てパスを受けると、ゴール前へ高いクロスを上げた。



 落下地点に待ち構える竜斗。


 タイミングに合わせて飛び、相手DFの頭より高い位置から得意のヘディングを叩きつける。



 ゴールネットを揺らし、この日も竜斗は得点を重ねていく。




「──桜見はキャプテンのストライカーが鍵か」



「10番の指令塔によるアシストが多いな」



「結構サイドを積極的に使って、右が若干多めだ」



 その桜見を試合会場で、観客に交じって観察している集団。


 着ているジャージには『富永中』という文字が入っていた。



「とりあえず要注意なのは、そんな所か?」



「ああ、後はやたら後ろのGKとかが声をよく出してるぐらいだな」



「多分あの小さいのはコーチング能力を買われてのスタメン抜擢だろ。相手チームがたいしたこと無いおかげで、出番が無いから実力は知らんが」



 彼らは桜見の要注意選手を直に見て、戦力を分析していた。



 その桜見は更に追加点を入れており、勝利を揺るぎない物とさせる。




 桜見7ー0森里



 竜斗4


 楽斗2


 室岡1



 マン・オブ・ザ・マッチ


 赤羽竜斗




「試合後にお前、焼き鳥って変わってないかぁ?」



 試合後、選手達は持参の弁当で早めの昼食を食べる。


 その中で竜斗は弁当として焼き鳥を持参。



 親の手作りキャラ弁を食べる楽斗は、珍しい物を見る目で彼を眺めていた。



「アスリートにとって体を動かした後の焼き鳥は良いだろ、美味いし」



 そう言いながら焼き鳥へ豪快にかぶりつき、竜斗は1本をあっという間に平らげる。



「運動後のハムと卵のサンドイッチは美味しいね〜♡」



「そりゃ作ったのママだから美味しいって〜♪」



 与一、輝羅、神奈の持参した弁当は共通してサンドイッチ。


 母の輝咲による手作りで、運動後のアスリートの体を考えて作られた物。



 双子は揃って美味しく味わっていた。



「兄さん達、次の相手は試合の間に部員の皆と見てきたから」



 神奈は自分のサンドイッチを早々に食べ終え、手を合わせる。



「え、そうなの? って事は神奈、僕の活躍見てなかったじゃんそれ〜」



 妹がさっきの試合を見てなかったと知って、与一は肩を落としながらもオレンジジュースのパックをストローで飲む。



「兄さん達なら、あれぐらい勝てると思ってたし」



 そう言いながら神奈はハンカチで手を拭いた後、タブレットを操作する。



「次の都大会進出の懸かった試合、相手は富永(とみなが)中学。1回戦を8ー0で下して今日は10ー0と2試合どっちも大差で勝ってる」



「へぇー、うちと同じ大量得点と2戦連続無失点って訳ねー」



 神奈から対戦相手の戦績を聞いて、輝羅はこの2戦よりも骨のありそうな相手だと感じた。



「背番号10のエース、菊池義隆(きくち よしたか)っていう俊足のFWが得点をキャプテン以上に荒稼ぎしてたから」



 神奈がタブレットを操作すると、そこには青い髪をした小柄な選手がDFの裏へ素早く抜け出す動きが映る。



 相手GKとの1対1を確実に決めて得点、彼こそ小柄ながら富永中のエースを担う菊池という選手だ。



「スピードだけじゃなく、ミドルとかも得意みたい」



 続いて映し出されたのは、菊池が遠い位置から右足でシュートを決める場面。


 スピードだけでなく遠い所から狙えるシュート力も兼ね備えているらしい。



「特定のパサーとかは特にいなくて守備はエース以外で守るスタイル。私の見てきた富永中だけど、どうかな?」



「攻撃と守備の役割がハッキリしてるよねー」



 神奈の言葉と共に富永中の映像を見て、与一はやるべき事をしっかり決めて動くチームといった印象を持つ。



「得点を主にエースへ任せ、後が守備で走り回る。典型的なワンマンチームだねこれ」



 攻撃を主に菊池へ任せている分、守備で他が動いて働く。


 輝羅の方はワンマンチームだなと思っていた。



「1人に頼ってばかりだから、駄目って事かな?」



「ううん、ビッグクラブでも優れたエースが頼られ、引っ張られて勝つのもあったし。駄目って訳でもないと思うかなぁ」



 1人に頼り過ぎてるから、あまり良くないんじゃないかと思ってる神奈に輝羅はそうでもないと首を横に振る。



「こうやって思いっきり守備に迷わず皆が回ってるから、次は1点が簡単には入らなそうかもねー」



 あまり強い相手と当たってないとはいえ、桜見はこの2戦で合計17得点。


 そこまでゴールを重ねた竜斗達も、次は簡単に得点出来ないかもしれないと与一はオレンジジュースを飲み干す。




「あ〜、今日もよく仕事して腹減った〜。なぁ、近くにラーメン屋とか無かったっけ?」



 3人が話してる側から中学生の集団がゾロゾロと歩いて来る。



「さっきお前、弁当食ってただろ義隆」



「育ち盛りの上に動き回った身で弁当一個じゃ足りないって。お、あるじゃん近く!」



 つい先程まで話していた時、出て来た名前。


 与一と輝羅、それに神奈も気づいて彼らの方を見た。



 富永中のジャージを着て動画でも見た顔は見間違うはずがない。



 ボサボサの黒髪で周囲より背が低めの少年、義隆と呼ばれた彼はスマホでラーメン屋を検索していた。



 富永中のエース、『菊池義隆』。


 地区大会で得点を荒稼ぎして、竜斗を上回るゴールを決めている。


 彼は3人の視線に気づくと双子の着ているジャージのロゴに注目。



「んん? 桜見……って何か聞いた覚えねぇ?」



「ほら、俺達が次に当たる相手だよ。去年の都大会ベスト16の所」



「ああー、あそこか」



 チームメイトの1人が菊池へ情報を教える。


 与一と輝羅はこの時、心の中で会話をしていた。



『(僕達の事、分かってなさそうだよ)』



『(多分少年漫画の展開っぽく、僕達の事を馬鹿にして見下したりとかして来そうじゃないー?)』



 桜見について知らなそうな菊池に与一は自分達を見下して来そうと、輝羅に話す。



「お前らも桜見だよな? 試合に出て来るのか知らないけど、出たらよろしくなー。さ、ラーメンラーメン〜」



 その菊池は普通に挨拶して、スマホ片手に仲間達と歩き去って行く。




「全然普通に挨拶しただけじゃんー?」



「ううん、やっぱ現実は漫画みたいな見下す感じはあまり無いかなぁ〜」



「与一兄さん、何の漫画見て影響受けてんの」



「ファイヤーイレブンって昔からある奴で気づいたらハマっちゃってさぁ。今の展開似てたから、つい思っちゃったんだよねー」



 漫画のように絡まれる展開になりそうとなった与一だが、実際は普通に挨拶されただけ。



「彼が嫌な奴なのかは置いといて、とりあえず……」



「うん……」



 与一と輝羅は真顔で互いの顔を見ていた。



「「ラーメン食べたくなってきた」」



 先程、菊池がラーメンを連呼していたのを聞いたせいか、サンドイッチを食べたばかりにも関わらず双子は揃って食べたくなる。



「兄さん達、地区大会突破してから食べてね」



「「え〜」」



 今すぐは駄目だと妹から言われ、与一と輝羅は結局この日のラーメンはお預けとなった。



 地区大会突破、その為には富永を倒さなければならない。



 次の試合で桜見は地区大会で一番の強豪校と対峙する。

与一「結局ラーメンお預けだった〜」


輝羅「しょうがない、切り替えて予選を突破したら食べようー」


与一「その時はチャーハンもねー!」


輝羅「次回は地区大会突破を懸けて、富永中との試合!ラーメン食べに行った彼には負けられないよー!」

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