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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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112/113

全国大会決勝 桜見VS神上海8

「彼、限られた時間しかプレー出来ないみたいだねー」



「ああ、沖田君か。確かに後半出場でフル出場してるみたいに息が上がってるように見える……スタミナがハーフしか持たないせいか」



 スタンドから3兄妹が双子の兄を応援する中、弥一と輝咲の夫婦2人はフィールドの沖田に注目していた。



「後半に足の速い選手とか出場して、疲労のDFをかき回すっていうのはよくあるけど、まさに彼は後半の切り札。自分の体力がその役目になるしかなかったって訳かぁ」



 プロとして弥一は様々な選手達を見ており、沖田のように試合の半分程しかスタミナが持たない選手も知っている。



 後半だけ出場して仕事をする天才だが、沖田はそうするしか活躍の場が無かったのかもしれない。



 その沖田は体力が限界に近づいてきて、追い込まれていた。




「相当……辛そうだね。無理はしない方が良いよ?」



 与一は目の前で息を切らす沖田を見て、声を掛ける。



「はぁ……はぁ……君こそ前半から出続けて、あんな走ってたじゃないか……そのセリフ、そのままお返しするよ……」



「冗談……僕はまだまだ行けるよ……」



「僕だって行けるよ、全然……」



 互いにベンチへ下がる気など無く、後半このまま戦い続ける意思を与一も沖田も曲げようとはしない。



 限界間近の2人による意地の張り合いだ。




「(創一の奴がこれだけ攻めたってのに点が取れない……こんな事は初めてだな)」



 後半の終盤、普段なら既にゴールが決まっている時間帯だがスコアは0ー0。


 源二は沖田の凄さを昔から知っていて、彼の弱点がスタミナ不足というのも分かっていた。



 天才と言われているが、フルタイム出場してる所は1度も見た事が無い。



 たった1つの弱点、30分程しか戦えなくて今回は与一が執拗に沖田へ仕掛けていたせいか、普段よりもスタミナの消耗が早くなったのだろう。



「こっからは沖田以外で戦うぞ」



 プレーが止まったタイミングで源二はDF陣へ伝え、それは伝言として沖田以外の全体に行き渡る。




『土方、武田、中央から上がって来た山南へ折り返す! この時間帯になっても神上海の上手いパス回しは健在だ!』



 ワンタッチのボール回しで桜見のプレスを躱し、総合力で上回る神上海がゲームを支配していた。



 その中で沖田の動きは重く、足は止まったまま。


 代わって斎藤が山南からのパスを受けて左足でシュートを狙う。



 輝羅はサイドステップでボールへ迫り、正面でキャッチ。


 ダイブするまでもなく余裕すら見えていた。



『斎藤のシュートもキーパー正面! 輝羅が零さない!』



『ファンブルしないですから神上海に決定的なチャンスを与えませんね。井上君と輝羅君、中学No.1キーパーの争いも難しくなってきましたよ』




「ふ〜、これもしPK行ったら凄い事なりそうだね〜……」



 スタミナが切れた楽斗は1度ベンチに下がり、冷たいタオルを肩に掛けて休む。



「こんな大舞台でPKは……滅茶苦茶プレッシャーかかりそうで怖いですよ」



 もし、そんな場面になって自分へ回ってきたらと想像するだけで緊張してしまう。


 室岡としてはPKになる前に、桜見が得点して勝つ事を強く望む。



「そうなったら怖いとか言ってる場合じゃねぇよ」



「だよなぁ……」



 竜斗、霧林と攻撃陣はほぼベンチに下がる。



 キャプテンマークは輝羅に託し、今は彼がキャプテンとして皆を引っ張っていた。



 彼が踏ん張っているおかげで、スコアレスのまま来ていると言っても過言ではない。




 フィールドでは与一がボールを持ち、前を向いて遙か先の神上海のゴールを見据える。



「(攻撃寄りになってるから──)」



 疲れているとはいえ視野は健在で、攻めてきている今の相手の守備が手薄なのは見えていた。


 与一は左足で前線へ蹴り、速い速度のパスが選手達の間を通過していく。



 ボールは前を走る海東へ渡るとDFの裏へ飛び出す。



「(おっし! 一対一!)」



 ビッグチャンスを決めてやろうと前を見据え、突き進もうとするが近藤の足が海東の持つボールへ伸びてくる。



「どわっ!?」



 ボールを弾かれると共に足を取られた海東は転倒。



 それを若葉がフォローし、軽快な動きで足元へ球を収めてから海東に代わって前へ突き進む。



『抜け出した倉本ー! GKと一対一だ!』



「(来いよほら!)」



「!」



 若葉が抜け出してきた時、源二が前へ出て若葉との距離を詰める。


 今なら後ろのゴールはガラ空きだが、GKとの距離は近くてシュートコースが狭くなってしまう。



「(右!)」



 若葉から見て飛び出してきた源二の右側を狙い、右足を振り抜く。



 だが、この至近距離のシュートに源二は反応すると、体で受け止めてボールを弾き返す。



『弾いた井上! 超至近距離のシュートにも反応した!』



 跳ね返った球は神上海のDFまで向かい、原田がこれを取ろうとしていた。



「おわぁ!?」



 そこへ急に現れた影二がボールを取って、左足で蹴り上げた。


 球は空中で弧を描きながらゴールへ飛んでいき、無人のゴールへ吸い込まれていく。



 これでゴールかと思われたが、源二は後ろへ下がりながらのバックジャンプで飛びついていく。



 空中を舞うボールへ両手は伸ばされ、源二が影二のシュートを掴み取っていた。



『連続シュートを止めた井上ー! 闇坂の技ありループ炸裂かと思われましたがゴールを許さない全国No.1キーパー!』



『倉本君も闇坂君も良いシュートしましたよ。これは井上君を褒めるしかありませんね……!』



 桜見の前に立ち塞がる最後の壁。


 輝羅が止めるなら俺も止めてやろうと言わんばかりの好セーブ連発で、得点をさせない。




 そして神上海のベンチは此処で動く。


 後半から出ていた沖田だったが、1度下げるつもりのようだ。



「仕事……出来なかったね……!」



「……また出るよ。延長戦の何時になるか分かんないけど必ず、このまま試合が終わるのは名残惜し過ぎるからさ……!」



 与一、沖田の2人とも疲労の色を隠せておらず、後半の終了も残り僅か。


 沖田は延長戦になるだろうなと思ってベンチに下がる。



「(いいよ……来なよ……名残惜しいのは僕も同じだから……!)」



 与一も沖田と同じ、このまま終わりたくないと思っていた。



 時間はその間にも進み、やがて後半終了の笛は鳴り響く。

与一「はぁ〜、めっちゃ強い……!」


輝羅「だろうねー。天才仕事人の実力は僕も過小評価してたかもなぁ……強いよ彼」


神奈「再交代出来るから、沖田さんが再び出て来る可能性は充分あるよ」


輝羅「とにかく初の延長戦だねー。次回は延長戦の戦い!桜見が攻める中でチャンスが生まれ、その時に相手GK源二が……!?ていう感じの話です!」


与一「どっちにしても負けないからー!」

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