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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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全国大会決勝 桜見VS神上海6

『神上海、後半早々にCKのチャンス! これを蹴るのは先程スーパープレーを見せたばかりの沖田!』



 沖田のジャンピングボレーを輝羅が弾き出したので、桜見は神上海の左CKを迎える。


 ゴール前には近藤を筆頭とした、高さに強い選手達が集結。



「(此処はシンプルイズベスト、技術の高い相手に小細工は逆効果だ)」



 沖田に迷いは一切無く、近藤に狙いを定めていた。


 読まれても構わないという感じで。



『左足で沖田が蹴った!』



 左右の足、両方とも高い精度を誇る沖田のキック。



 左足でゴール前へ近づいて行くかと思えば、ギュンッと直後に曲がって外へ逃げるような球。



 輝羅に飛び出させないまま、近藤が大橋に競り勝って額でボールを捉えた。


 下には叩きつけず、ゴール右上を狙った正確なヘディングが桜見ゴールへ向かう。



「(っと! 良いヘディング!)」



 輝羅は反応してからの動き出しが早く、近藤のヘディングに芝生を蹴って跳ぶと沖田のボレーの時と同じ、両手を伸ばせば今度はしっかりとキャッチに成功。



『沖田から近藤高い! 神明寺輝羅、これを取りました!』



『精度の高いキックでしたね沖田君──』



 此処で一旦ゲームが落ち着く、かと思えば輝羅は右足のパントキックで大きく蹴り出していた。



 前半の源二がやったカウンターをそのままやり返す。



『おっと、すぐ出した輝羅! 左の室岡が走る!』



『近藤君が上がってますから神上海の守り薄いですよ!』



「(もうスピードには慣れた! 通すか!)」



 室岡に伊東が迫り、カウンターによる独走を許さない。



 これに室岡はピタッと止まったかと思えば、そこに若葉が追い越して室岡からボールが出される。



 伊東を引きつけておいてから、若葉で突破を狙った2年同士の連係プレーだ。


 左サイドから中央へドリブルで若葉は切り込む。



『抜け出した倉本ー! ゴール前には赤羽が上がっている!』



「若葉!」



 竜斗は右手を上げてパスを要求、それを若葉も見ていて近くには土方が迫る姿。



 パスを出すかと思えば若葉は前を向いて、右足の思いきったシュート。



 コースを狙ったボールだが源二の驚異的な反応を見せると、正面で難なく受け止める。


 相手は天才GK、まだまだ今のシュートでは軽かったらしい。



「創一にボール集めろ!」



 源二は全体へ指示を出してからボールを放り投げる。



 土方にボールが渡ると、彼は沖田にロングパスを送ってきた。



「(ホント反応良いなぁ!)」



 与一がパスを読んでカットに向かうが、沖田は与一とほぼ同じタイミングでパスへ走り出す。



 結果、沖田がボールを取って与一は彼の後ろに立つ格好となる。



『再び神明寺と沖田の激突! 今度はどうなる!?』



 沖田は下がり気味の位置にいた斎藤に気づくと、そこへパスを送った。



「(ワンツーなら分かってるよー!)」



 心を読み取った事で沖田と斎藤のワンツー狙いなのは把握済み。


 与一はインターセプトを狙う。



 斎藤からパスを出すと同時に沖田は動き、与一も向かう。



 与一は相手よりも前でパスをカットしようとしたが、それよりも早く沖田は動いており、与一の伸ばした右足より先にボールを取っていた。



「っ!」



 パスを取り損ねた与一は芝生を強く、空振りした右足で踏み込んだ後に反転して相手へ迫る。



 咄嗟の反応に加えて合気道で鍛えた体幹のおかげで、この動きを可能とさせたのだろう。



「(止まってもらうよー!)」



 前を向いてドリブルに行く沖田へ、与一は下から突き上げるように肩同士をぶつけようとしていた。



「っと、危ないね!」



「!?」



 驚く事に沖田は足を止めたかと思えば、地面を蹴って後ろへ跳ぶ。


 足元のボールを自ら放棄して与一のショルダーチャージを躱してみせたのだ。



 自分のタックルが躱されるとは思わず、与一は驚きながらも右足を強く芝生に踏み込ませ、なんとか勢い余っての転倒は免れる。



 ダンッ



「おおお!?」



 次の瞬間、スタンドは驚きの声を上げていた。



 放置のボールを自ら取りに行こうと動き出した時、地面を蹴って跳躍すると前にいた与一を沖田が飛び越えたのだ。



 ジャンプからの前方宙返りと、サッカーというよりも体操選手を思わせるような華麗なる空中技を見せて、沖田はボールの前に着地。



 小柄な与一相手とはいえ、人間を飛び越えての宙返りには皆が釘付けとなるだろう。



『これは沖田、なんというジャンプを見せてくれるんだ!?』



『とんでもない身体能力ですね……!』



 観客を魅了しながら沖田によるドリブルは再び前進。


 宮村をワンフェイントで躱し、桜見のゴールまで迫って来た。



「(もう調子に乗らせないから!)」



 今度こそ止めてやろうと、しつこく与一は沖田を後ろから追いかける。


 抜かれたとはいえ宮村が僅かな足止めとなってくれて、2人の距離は近づく。



「(シュート!)」



 沖田が右足を振り上げると共に、与一は沖田の左側から滑り込んで左足をボールの前へ出す。



 シュートが来ると読んだ、与一のスライディングによるブロックだ。



 トンッ



「(え……!?)」



 自分の左足にボールが触れる事なく、逃げるように浮き上がる。


 寸前で沖田は右足で軽く蹴って、フワリと浮かるチップキックに変えていた。



 またしても与一の追撃を躱し、沖田が自ら蹴った球へ迫ると影二もボールに向かう。



「(これ以上は無理か!)」



 単独突破は此処までと判断してから沖田が影二より早くボールに到達し、右足でシュートを狙っていた。



「せぇっ!!」



 桜見ゴールの右隅を正確に捉えるシュート、それを輝羅は横っ跳びから左掌に当てて外へ弾く。



『沖田の中央突破からシュート! 神明寺輝羅がまたしてもファインセーブ!』



『いや、沖田君とんでもない個人技を見せつけて来ましたね……あの小柄な体からは想像出来ませんよ』




 桜見は一気に劣勢となってしまい、沖田を中心とした神上海の猛攻を浴びる。



 沖田の神業に近いテクニックの前に与一は翻弄され、彼を封じる事が出来ない。


 天才仕事人が与一を不調へと追い込んでいた。



『輝羅がキャッチ! 後半に入って好セーブ連発だ!』



 神上海のシュート数が2桁を行く中、奮闘していたのは桜見ゴールマウスを守る輝羅。



 彼がいなければ既に何点か失っていたかもしれない。



「(ああ! くっそぅ!)」



 GKである輝羅に頼って凌ぐ現状が情けなくて悔しいと感じ、沖田を止められていない自分へ与一は苛立ってしまう。




「与一……大丈夫かな」



 スタンドから息子達の様子を見ていた輝咲は、与一が追い込まれている姿に心配する。


 側で見ている優人や双子の娘達も気持ちは同じ。



「(あの子にとっては初めての同じ世代で圧倒的な強者かぁ……柳石戦と違って何度も試合で抜かれるのも無かったと思うし)」



 かつては弥一も目の前に次元の違うライバルが現れ、彼と対等に争えるまで必死に何度も足掻き続けてきた。


 それが今度は息子である与一に回ってきたのかもしれない。



「(でも、僕の時とは違う。彼には相棒が居るからね)」



 与一の場合は1人ではない。


 常に側で共に戦い続ける相棒の存在に恵まれている。



 弥一は息子達の試合を静かに見守り続けていた。




「(彼は此処まで、かな)」



 タッチラインをボールが越えてプレーが途切れると、沖田は与一を見る。


 最初の時よりキレが感じられなくて、あまり手応えが無い。



 体力が限界の上に心も折れてそうだった。



 これに沖田は面白くないと感じ、関心は何度もシュートを止め続ける輝羅へ向く。




「ハァ……ハァ……」



 何度向かっても止められない、封じる事が出来ない、初めての経験に体力だけでなく精神的にも追い込まれてしまう。



 GKに頼りきり、DFのくせに何をしているんだと自分を心底情けないと与一は思っていた。



「与一!」



「っ!?」



 いきなり自分の両肩に手を置いてきて、与一が驚くと目の前には輝羅の姿がある。



「ずっと呼びかけているのに答えなかったし、そこまでショックを受けたの?」



「……」



 サイキッカーである双子ならではのテレパシー、それを使って輝羅はずっと呼びかけていたが与一からの応答は一切無かった。



 なので、わざわざ直接話しかけて来たのだろう。



「与一、DFの役目を言ってごらん?」



「……自軍のゴールを守って失点を防ぐ、そこから攻撃に繋げる……」



 今更なんだとばかりに与一はDFの役目について言う。



「今の与一、どっちもやってないよ。ただ沖田に勝とうとしてるだけでしょ」



「!」



 輝羅の言葉は与一にとって図星だった。


 絶対に沖田を止める、今度こそ自分が勝つと何時の間にか目的が微妙にズレが生じてしまったのだ。



 それが与一のプレーを狂わせ、調子を崩す事となる。



「今こうしてゴールは許していない、僕頼りでも良いじゃん? まだ無失点で来てるんだからさ」



 与一の考えは分かっていた。


 輝羅に頼り過ぎるのが情けなくて嫌なのだと、DFはGKの負担を軽くするものだから頼らず自分で止める。



 今日は特にその考えが強く出ていた。



「いいか与一、止められないんだったら──「止めない」」



「……え?」



 一瞬、輝羅が何を言ってるのか与一は理解が追いつかず。



 それが桜見の反撃に繋がるとは、この時思っていなかった……。

神奈「また与一兄さんは不在みたい」


輝羅「神奈と兄妹仲良く2人でのあとがき続行だねー♪」


竜斗「いや、俺らいるし」


楽斗「というか与一のあんな姿初めてだし、大丈夫かなぁ?」


神奈「私も見た事無い……そこまでに追い込む沖田さんが強過ぎると思う」


輝羅「だからって勝たせないけどねー。次回は僕達の反撃が始まる!最後には、おや?沖田の様子が……みたいな事が起こるよー。」

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