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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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109/113

全国大会決勝 桜見VS神上海5

「ふぅ〜、水〜」



 与一はロッカールームに戻ると水分補給の為、水筒を手にしていた。



「与一兄さん、今日は水じゃないの」



「え、違う飲み物なんだ? 何かな〜」



 神奈から何時ものミネラルウォーターではない事を伝えられ、与一は水筒の中身を飲む。



「……甘くて美味しい〜♡これ蜂蜜だね〜」



 口に含むと蜂蜜の優しい甘さに気づき、与一にとっては嬉しいサプライズだ。



「そうなの? あ、これ美味しいなぁ〜♡」



 気になって輝羅も用意された水筒を飲むと、同じく蜂蜜の甘みが伝わる。



「飲みやすく良いな」



「ヤバ、美味いわぁ〜♪」



「これ試合の疲れに染みるだろ〜」



 続けて竜斗、楽斗、霧林にも好評で各自神奈の用意したドリンクを美味しく飲む。



「神奈さん、どうしたのこれ?」



「お父さんの知り合いでレストランのシェフやってる人がいてね、その人からお父さんを通じて今皆が飲んでる特製蜂蜜レモンドリンクのレシピを教えてもらって作ったの。……お母さんに手伝ってもらったけど」



 若葉からの問いに最後、全部を自分で作った訳ではなく母の輝咲に手伝ってもらった事を正直に明かしていた。



 全部を自分でやったとは見栄を張る事なく、手伝ってもらったと正直に言う辺りが真面目な神奈らしい。



「疲れた時は甘い物って言うけど、本当そうだねー♪」



 前半かなり動いていた与一は神奈と輝咲が作った特製ドリンクで疲れを癒していく。



「……甘い物は至高……」



 密かに影二も味わい、相当気に入った様子だ。



「前半は結局1点を取れなかった。後半──おそらくあの天才仕事人が出て来るだろうな」



 竜斗の言葉に、ドリンクの美味しさから皆が現実へ引き戻されていく。


 天才仕事人と聞けば皆がポニーテールの金髪美少年が思い浮かぶ。



 今大会の得点王をほぼ手中に収める沖田創一。


 彼を止められるかどうかで大きく勝敗が左右されるはずだ。



「与一、攻撃は俺達に任せて沖田を止める事に集中してくれ」



「ま〜、初見だし実際当たったらどんな感じなのか分かってないからねー。まずは守備に専念しとくよー」



 与一は竜斗から守備を任されて頷き、後半は沖田を止める事に集中する。



「沖田さんが後半に出て来た時は特に土方さんからのスルーパスに要注意です。そのパターンで多くの得点が生まれてきてますから」



「あ、そうそう! 彼って飛び出すタイミング凄いんだよね。何度もDFの裏に飛び出しては決めてたし」



 神奈が素早くタブレットを操作して沖田の得点を見せれば、思い出したように楽斗は画像を指差していた。



「じゃあ俺らもパスコースを消しに動かないと──」



「土方さんに限らず、他も蹴ってくるかもしれませから──」



 後方からのスルーパス、与一だけでなくパスの出す相手も警戒する必要があって、向こうの必勝パターンを潰す為に皆が話し合う。



 ☆



『神上海、メンバー交代がありました。FWの松原君に代わりまして背番号11、沖田君が入ります』



『やはり出て来ましたね天才仕事人。今大会最強のFWが今年の公式戦で無失点を続ける桜見の守備を破れるのか、これ楽しみですよね』



 水色のユニフォーム、背番号11の背中が見えた時にスタンドからは歓声が沸き起こる。



「沖田ー! お前なら桜見の無失点記録終わらせられるぞー!」



「沖田君がんばれー!」



 沖田への得点の期待が大きく、女性の声援も多く聞こえられていた。



「──凄いなぁ、決勝の試合の雰囲気は」



 大舞台の決勝戦で後半から登場すると、会場を改めて見回す。


 今までのどの会場よりも大きく、多くの観客達が入っている光景に沖田は緊張する事なく楽しんでいる。



「──やっぱり後半出て来たねー」



 背後から声がして振り返れば、そこには与一の姿があった。



「君、此処まで沢山の凄い人止めてたでしよ?」



「ん? まあそうだねー」



 突然の沖田からの問い掛けに与一は答える。




「僕の事も止められる?」



 自分を止められるかどうか、それは沖田による静かな挑戦状だ。



 相手は天才仕事人と呼ばれる選手だが、そんな事は与一にとって関係無い。



「止めるよ、絶対に点はやらない」



 同じ小柄な相手へ与一は強気な笑みを見せて言いきる。


 止められるかどうかじゃない、止めると。



「……それは楽しみだね」



 穏やかな笑みを崩さないまま、そう言うと沖田は歩き出した。




「女の子出てきたー」



「きれいー」



「彼はお兄ちゃん達と同じ男の子だからね?」



 スタンドから沖田の姿を見た時、姫奈と姫香は彼が中性的な容姿をしているせいか、女子だと勘違いしていた。


 それを側で面倒を見る輝咲が訂正。



「(沖田創一、神上海のスーパーサブかぁ……)」



 弥一も同じように沖田の姿を眺めている。



「(どうも同じ匂いがする……まさか日本でこういう子がいるとはね)」



 サングラスの奥で彼の目はしっかり見ていて、沖田の事は深く知らないが中学生としては相当並外れていると感じた。




 ピィ────



 後半、神上海のキックオフで試合が始まるとボールをDFまで下げて、竜斗が追っていく。



『赤羽、積極的にプレス!』



『神上海、慌てずパスを上手く回してますね』



「(簡単に出させない為にも、こういう寄せが大事になってくるだろ!)」



 前半より気温が上がり、走るのに体力をより使うようになるにも関わらず、竜斗はリスク覚悟で寄せ続けた。



 ベンチでは、すぐに出られるようにと海東がアップを進める。



「サイド行けるぞー!」



 後ろから源二がサイドから行けと指示を出し、土方から右の永倉にパスが出るとドリブルで右サイドから進む。



 永倉は速いタイミングで右足のパスを中央へ出した。


 そこには下がっていた沖田が居て、ボールをトラップ。


 彼の後ろには与一がマークで付いている。



「(いるね後ろ)」



 沖田は真後ろに与一が居ると、振り向かずとも気配で気づいた。


 左足でトラップした時、右踵を使って沖田がバックパスをするような形で後ろへ転がす。



 開いていた与一の股の間をボールが通過し、沖田は素早いターンから前を向いて自身も与一を追い抜こうとしていた。



 だが、与一は股の間を狙ったボールに反応。


 転がっていく球に対し、右足のインサイドで左へ球を弾いて突破を阻止する。



『沖田の華麗な技が炸裂かと思えば神明寺与一が抜かせない!』



「挨拶代わり程度じゃ抜かせてもらえないか」



「次の挨拶待っとくよー」



 与一、沖田の両者が笑みを浮かべたまま会話を交わす。



『さぁ、神上海スローイン……おっと近藤がボールを持った。ロングスローか?』



 近藤が上がって来ると、ボールを持てば助走の為に離れていく。



 そして視線は沖田の方へ向けて、思いっきり両手で放り投げた。



「(もーらいっと!)」



 近藤の心を読んだ与一は沖田に来る事を最初から分かっており、投げられた球をクリアしようと跳躍して左足を上げる。



「っ!?」



 ただ、沖田のボールに対する反応も負けていない。


 与一と同じタイミングで走り、近藤からのロングスローにジャンプすると与一よりも早く左足がボールに触れた。



 フワッと自身の頭上を球が越えていき、沖田は着地すれば反転して落ちて来るボールに向かい、右足で地を蹴って跳ぶ。



 そこに与一もジャンプして右足を伸ばすが、沖田の左足が先にボールを捉えてシュートを放つ。



『沖田蹴ったぁー!』



 左足のジャンピングボレーが桜見ゴール前の正面から来て、矢のような勢いで加速するとゴール左上を捉えていた。



「くぅっ!」



 これに輝羅は素早い反応からボールに向かってダイブ。


 両腕を伸ばし、両手で沖田のシュートを外へ弾き出す。



『神明寺輝羅、これを止めた!! 沖田が開始早々から素晴らしいシュートを見せましたがゴールならず!』



『沖田君いきなり魅せましたね! 与一君を躱してシュートまで行って、今のは輝羅君よく止めましたよ!』



「やるなぁ、あそこから再び僕を止めに来るなんて、やっぱり気が抜けないや」



「っ……!」



 沖田が楽しげに笑う一方、与一に笑みは無かった。



 開始から沖田にシュートを許し、彼に悔しさが芽生えてくる。

神奈「与一兄さん、また此処に登場するどころじゃなくなっちゃったみたい」


輝羅「手のかかる弟だねー。ま、おかげで神奈と2人だから良いけど♪」


弥一「手が足りないならお父さん手伝おうかー?」


輝羅「父さん出なくていいからー! 次回も続く桜見と神上海の試合、そして与一と沖田の勝負では与一が振り回されて思い悩んでしまう……!?」


弥一「でも、そこに輝羅が声を掛けてくるんだよねー」


神奈「お父さん、結局手伝っちゃった……」

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