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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第4章 中学最強が決まる全国大会

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全国大会決勝 桜見VS神上海2

「(いきなりかよ!)」



 DFが開始から攻め込み、シュートにまで行くのは正直想定はしていなかった。



 だが、それでも源二は迫って来る与一のロングシュートに素早くサイドステップで正面へ来てから、両手で受け止める。



『これはGK井上の正面! しかし桜見、神上海を相手に不意打ちの1本目を放ってきました!』



『守備の要で知られてますが、今回は攻撃的にいくぞという与一君からのメッセージが込められてるんですかね』



「(流石にあれじゃ入らないか、まぁでもペース握るには先制攻撃だからねー)」



 今の程度じゃ無理だったと理解してから、与一は背を向けてDFへ戻る。



「(戻るまで待つ訳ねぇだろ!)」



 与一が戻って万全の状態にさせる程お人好しではない。



 既に源二は右足のパントキックで右サイドへ低く速い球を送っていた。



『井上から右の永倉へ! 松原と斎藤走り出している!』



『逆サイドの武田君も来てますね、与一君不在の隙を狙って来ましたよ!』



「右行って右ー! フリーなってるから!」



 輝羅がゴール前から慌てた様子でコーチングを行い、永倉は焦ってるなと冷静に見てから、上がって来た中盤の山南へパスを送る。



「(なんて、そう来るの分かってたし♪)」



 中央へ折り返した瞬間、輝羅の顔がニヤッと笑う。



 GKの位置からは見えていた。


 影の薄い彼が神上海の選手が上がって来た所へ、忍び寄って行くのが。



『折り返しを闇坂カット! 良い読みでカウンターを潰してみせた!』



『これはナイスカットですね闇坂君。良い位置に居ました』



 影二の守備からボールを落ち着かせ、一旦GKまでボールを戻す。



 その瞬間、斎藤がチャンスと見て迷わず疾走してきたのだ。



「(おっと、貪欲に狙って来てるねー)」



 輝羅は斎藤からのプレッシャーが迫る前に右サイドの霧林へパス。


 強く蹴られたボールはヒュンッと選手達の間を通過していく。



『輝羅から霧林へ! 桜見サイドから仕掛けるか!?』



『桜見は両サイドからの攻めが長所ですからね。テクニックの霧林君とスピードの室岡君、まさに桜見の翼を担ってます』



 その霧林を簡単には通さんと、武田が左からぶつかっていった。


 ガツンと互いの肩同士が激突して、霧林はバランスを崩しそうになる。



「(2年が頑張ったりして、3年も皆活躍して、俺だけ負けてる場合じゃないだろ!)」



「わっ!?」



 もう1度ショルダーチャージを仕掛けに行った相手の突進に、霧林はピタッと自分に急ブレーキをかけてから後ろへ飛び退く。



 勢い余ってしまい、武田は転倒。


 その隙に霧林が中央へ折り返すと、すぐに楽斗が右の空いてるスペースにダイレクトで蹴った。



 霧林はパスを出した直後に走り、ワンツーとなって右サイドを突破する。



『神上海のゴール前へ迫る霧林!』



 ただ、相手は全国王者で簡単に隙は作らない。


 ゴール前では守備の要、近藤が竜斗をマークしていて楽斗にも土方が付いている。



「!」



 霧林は何かに気づいた後、得意の右足で中央へ折り返す。


 楽斗に来たのかと思ったがコースは違う。



 そこに上がって来たのは与一だった。



「! 6番中央!」



 源二が与一の存在に気づき、声を上げるも既にパスが通った後。


 すかさず寄せて来る山南に与一は華麗なステップ、巧みなボール捌きで躱す。



『神明寺与一が何時の間にか上がって来ていた! 1人躱して迫る!』



 次の原田が迫って来た直後、与一は左足を振り抜いていた。



 接近する相手の左肩口を掠めつつ、シュートが神上海ゴール左へ飛ぶ。


 原田の体がキーパー側からボールが隠れ、急に現れたような形だ。



「ふっ!」



 バシィンッ



 だが、源二は鋭い反応と機敏な動きで与一のシュートに向かう。


 最初と同じくボールを正面でキャッチし、彼は直後に球を持ったまま走る。



『与一の2本目となるシュートを井上キャッチ、おっと!? すぐに蹴り出したぁ!』



 息をつく暇など全く与える気が無いようで、源二はエリア内ギリギリまで走って勢いを付けた状態から、右足のパントキックで大きく蹴り出した。



 再び与一の不在を狙ったカウンターで、前線にいる松原の頭上へ飛んで行く。



「大橋! 行って!ヤミー、フォロー!」



 輝羅は源二がボールを蹴り出した直後に指示を出すと、松原の方へ大橋が向かう。



 空中戦で互角の競り合いから零れ球となり、影二が転がるボールを取ってキープ。



『神上海のカウンターチャンスを桜見、上手く潰しました!』



『しかし今回、与一君が随分と前に出て来てますね。何時もよりも攻撃的に思えます』




「ねぇ、与一君前半から結構動いてるけど……暑さもあるのに、もうちょっと抑えないとバテそうだよ?」



「……前半だからこそ、兄さんやってるんだと思います」



 今日も猛暑日となって、ベンチには巨大扇風機が設置されている。


 その風で涼みながら遊子は与一のスタミナを心配していた。



 神奈の方は与一の狙いを分かっている。



 それは前日の夜まで振り返っていく──。



 ☆



「明日は前半、攻めてくよー」



 部屋へ戻る途中の廊下にて神明寺兄妹3人が歩いていた時、与一が口を開く。



「与一兄さん、相手は全国No.1キーパーだよ? 不用意に攻めたら兄さんいない間にカウンター受ける危険が……」



「いやー、点を取るとしたら多分前半しか狙えないと思うんだよねー」



「ああ、沖田ね」



 神奈からすればリスクの大きい作戦だと感じたが、輝羅は与一に意図に気づく。


 今まで通りの神上海なら前半に沖田は出ないはずだと。



「後半出て来たら沖田の相手で手一杯になるかもしれないし、前半だったら怖いのはGKだけだしさー♪」



 天才仕事人が出る前に前半で勝負を付けて、後は沖田が出て来る後半で守備に専念。


 それが与一の考える必勝パターンだ。



「良いんじゃない? その分は僕が守るから気にせず与一は仕掛ければ良いよー」



 与一の肩に手を置いた輝羅は後ろの事なら任せろと、片割れの作戦に乗る。


 そこに大丈夫なのか、という迷いなどは無い。



 神奈は双子の兄が決めた作戦に口は出さず、彼らが自信を持って決めたなら任せようと。



 ☆



「(前半で攻撃が決まれば……1点でも取れれば与一兄さんの負担は軽くなる。誰でも良いから取ってほしい……!)」



 再びゴールを目指して走る背番号6の兄を見て、神奈は前半の内に桜見が得点する事を心の中で祈る。




「(妹から願われたら兄として応えなきゃ駄目でしょ!)」



 神奈の願いは与一から見れば見えていた。



 可愛い妹がゴールを望むなら取るしかないと、足を止めない。


 普段は守備の要として主に守ってきた与一が、優勝を阻む最後の壁へ挑み続ける。

与一「そりゃあね、妹が望むなら可愛いぬいぐるみを10でも100でもプレゼントしたいよー!」


神奈「兄さん、流石に100はいらないから……多過ぎるし」


輝羅「それ以前に中学生そこまで買えないってー」


与一「じゃあ裁縫を覚えて縫いまくるとかー」


影二「(というか、ぬいぐるみ10個なら欲しいんだ神奈さん……)」


輝羅「さぁさぁ、攻めまくる与一だけど立ち塞がる天才GKは想像以上で……!?な感じで次回に行きまーす♪」


与一「神奈の為にもぶち破るよー!」

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