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サイコフットボール 〜天才サッカー少年の双子は本当のテレパシーが出来て心が読めるサイキッカーだった!〜  作者: イーグル
第1章 中学サッカー部との出会いと練習試合

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影に隠れし伏兵

「竜斗ー! お前格好良すぎだろうが!」



「ヒーローだよまさに……!」



 ゴールを決めた竜斗へ楽斗を筆頭に手荒い祝福をしていた。



「喜び過ぎだって! まだ試合終わってないからな!?」



「めっちゃ雄叫び上げた人が言っても、説得力無いよー?」



「っ……勢いでやっちまっただけだ!」



 テンション上がって得点した時、吠えた事を与一に指摘されれば竜斗は顔を赤くさせる。


 終盤の1点を決めた事でアドレナリンが出たのかもしれない。




「やられたぁ、まさか先制点を向こうにやっちまうとは……!」



 悔しさからか大木田は右手で頭を掻く中、先程の失点を振り返った。


 攻撃的に行ったが故にDFの枚数が少なくなり、守備が間に合わず。



 それが失点へと繋がってしまう。



「本番じゃなくて良かったぁ、桜見こんな強くなってるなんて」



「阿呆」



「いだっ!?」



 これが公式戦じゃなくて安堵の松田に、大木田から右手のチョップが軽く松田の脳天にヒット。



「これが本番じゃなくて良かった、じゃあ本番では止められる。その時点で負けてんだよ。そんな考えじゃ勝てねぇぞ誰にも」



 大木田から真顔で言われ、松田は何も言えずに黙り込んでしまう。



「取り返しに行くぞ、点を──意地でもな」



 練習試合だろうが負けられない。


 大木田の目が勝利を欲してか、ギラついていた。




『(与一、あっちの空気が変わったみたいだよ)』



『(点を入れられた事で、覚醒させちゃったかな?)』



 与一も輝羅も王坂の雰囲気が変わった事を感じ取る。


 特にキャプテンの大木田が本気の目となって、心を勝利への意欲で燃え滾らせていく。



「向こうマジで来るよー! 立ち上がり特に集中ー!」



 キックオフで再開する前に、輝羅はバンバンと強く手を叩いて気を抜くなとチームへ伝えた。



 試合が再開すると予想通り桜見ゴールを目指して、多くの王坂選手達が敵陣へ雪崩込む。



「DFこれ完封したら格好良いから! 良い所見せて勝っちゃおうー♪」



 与一が明るくチームを鼓舞していき、その声に押されてか守備陣が奮闘を見せていく。


 左サイドから田中がクロスボールを高く放り込んでくると、桜見DF大橋がヘディングで弾き返す。



 セカンドとなって転がる球へ王坂は懸命に追って、それを取ったのは大木田。


 彼自身も攻撃に出て、より攻撃に厚みを作っていた。



「(こいつはロング狙えるから撃たせない!)」



 竜斗も前線から守備で下がり、大木田の前に立つ。


 彼が強烈な右足を持っているのは知っていて、ロングシュートを警戒。



「(フン! 来たか赤羽!)」



 両キャプテン同士の攻防。


 シュートを放とうと大柄な体で左右へ動く大木田に、竜斗は彼のフェイントで惑わされず抜かせない。



「(抜かせるかよ! 勝って上に行くんだ!)」



 また負けるのは嫌だ、絶対勝つんだと竜斗は勝利への執念を見せるが、執念に関しては彼の方も負けてはいなかった。



「(全国制覇を目指す為に、此処で躓く訳には行かねぇ!!)」



「 っ!?」



 右足で強引に狙おうと振り上げたのを竜斗が見て、体でブロックしようと体勢に入る。



 だが、それは大木田の罠。


 シュートと見せかけて右足で軽く左に転がして、そこから突破。


 竜斗をキックフェイントで突破する事に成功した。



 その直後。



「いただき! ってねー♪」



「!?」



 与一が狙い澄ましたように、竜斗を躱した直後の大木田から瞬きをする間もなくボールを奪い取る。



「(見えなかった! こいつ、赤羽に隠れて俺の隙を狙ってたのか!)」



 自分や竜斗どころか一般の中学生と比べても小柄な与一だが、その小ささが活きた。


 竜斗の後ろに隠れる事で、自らの体を隠して相手の目から逃れる。



 大柄な味方をブラインドとして利用した与一に、大木田は彼に対して底知れぬ巧さを感じた。



 与一はボールを大きく蹴り出して自軍ゴールから遠ざけるも、すぐに王坂の選手がボールを取る。



「もう時間が無いぞ!」



 ベンチから王坂の監督が叫ぶ。


 練習試合だが本番さながらの必死さが感じられた。



「(向こうがスルーパス決めたのに、僕が決めないなんてあり得ないだろ!)」



 同じ指令塔として密かに楽斗への対抗心を持つ松田は、ボールを持てば寄せて来る桜見の選手2人の間を抜け出す。



 指令塔の目がターゲットを探すとゴール前のレオードが振り切ったのか、フリーの状態だ。


 松田は迷う事なくエースにパスを送る。



 この時、彼の目は捉えられていなかった。


 影に潜む存在を。



「(取れた……!)」



 影二からすればパスが近くに来たから、足を伸ばしただけ。


 しかし結果として、それがスルーパスを潰すインターセプトに繋がってくれた。



 松田のスルーパスを止めて間もなく、影二はボールを右足で遠くへ蹴ってクリア。



 そこで試合終了の笛が主審によって鳴らされる。


 最終スコア1ー0、桜見の勝利だ。



「ヤミーナイスー! 俺ら王坂を倒しちゃったよ!」



「会心の……勝利……!?」



 最後のピンチを救った影二へ楽斗は嬉しさのあまり、彼へと抱きつく。



「与一! 輝羅!」



 竜斗はハイタッチして勝利を喜ぶ双子へと駆け寄っていた。



「キャプテン、ナイスゴール♪」



「エースらしくて格好良かったよー?」



 笑顔でゴールを祝福する与一と、茶化すように笑う輝羅。


 同じ双子でも全く同じという訳ではなく、こういう違いがあるらしい。




「やられた……! あそこに14番がいたなんて聞いてない……!!」



 松田は影二の姿を見失い、そこでレオードがフリーだと思い込んでしまった。


 実際は影二がずっと側にいたのに敵へパスを出してしまったようなもので、松田にとっては悔いの残る敗戦となってしまう。



「マジかよ、こうなるなんて〜!」



 反撃の1点が遠く、奪えなかった事に真野も頭を抱える。



「こんな守り堅いなんて去年は無かったはずなのに……どうなってんだ桜見」



 明らかに去年とは違う今の姿に何か秘密の特訓でもしていたのかと、勝利に喜ぶ桜見をレオードは違いを確かめるように見ていた。



「とりあえず、後で監督から「たるんでる!」とか言って怒られる事は確定かもな」



 監督から怒られる事を思えば避けられないなと、大木田は苦笑するしかない。


 今出来る事は桜見の強さを認め、そこから前に進むぐらいだろう。




「勝っちゃった。去年凄く差を付けられて負けたはずなのに、もしかして桜見とんでもなく強い!?」



 今回勝利した事で自分の学校が物凄く強いのではと、遊子は格上の相手に勝利したチームを見て興奮気味となっていた。



「(あくまで勝ったのは練習試合、本番だと──また違うかもしれないから)」



 皆が勝利に喜ぶ中、1人冷静に神奈はそう考えてタブレット端末を手に持つ。


 兄2人が勝って喜んでるのに対して浮かれはしない。




「去年よりやるようになったじゃないか赤羽!」



「お、おう……」



 負けても試合前と変わらぬ態度で接して来る大木田に、竜斗の方は戸惑った表情を浮かべる。



「しかしそっちの小さい2人、桜見は優秀な1年生が入ったんだな!」



「あいつらは俺達と同じ3年だぞ?」



「何!?1年かと思ったら、同級生か!」



 大木田から見れば小柄な双子は1年の後輩かと思った。


 実際は3年で驚く大木田に竜斗は忙しい奴だなと、彼のリアクションを見て新たな印象を持つ。



「まぁどっちしても本戦は勝つ! お前にも、あの双子にもだ!」



 熱く彼が宣言した後にベンチへと引き上げ、他の選手と共に反省会を行う。




「なぁ竜斗、これ今年目指せるんじゃないか?」



「ん? 何をだよ」



 楽斗は竜斗に肩を組んでくると、目指す物をハッキリ言った。



「何言ってんだ、全国制覇に決まってんだろ!」



「!?」



 自分の目指す所と同じ、それを聞いた竜斗の目は見開かれる。



「緩くやって楽しみつつ、やっぱさ……やるなら一番強いのを目指したいじゃん?」



「全国制覇って、マジか……?」



「冗談で言わないっての」



 陽気に笑う楽斗を見て、竜斗の方も自然と笑みが出て来た。



「それなら俺もキャプテンとして、そのつもりで活動していいな?」



「 むしろやんなきゃ駄目だろ、キャプテンならさ!」



 笑い合う竜斗と楽斗。2人が今年最後の中学生活で全国制覇を目指す。




「やっとサッカー部として、本格始動って所かなー?」



「それっぽいよねー、キャプテンと副キャプテンの2人を見ればさー」



 竜斗達の姿を与一も輝羅も揃って見ていた。


 2人の活躍で練習試合に勝利した事で、キャプテンと部員達で気持ちのズレが生じていたサッカー部は再び同じ方向を向き始める。



 新生桜見サッカー部が今、新たなスタートを迎えた。



 桜見1ー0王坂



 竜斗



 マン・オブ・ザ・マッチ


 神明寺与一

与一「桜見で初勝利ー♪」


輝羅「公式戦じゃなく練習試合だけど、でも負けるより勝つ方が気持ち良いからねー!」


与一「次回からは新章で、僕らの中学の日常が始まるねー」


輝羅「いや、その前にキャラ紹介が一度入るからー。僕達の事が書かれたり、本編にはない一文も見れちゃうかも? 恥ずかしい事とか載ってないかな……」


与一「大丈夫でしょー? 多分……」

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