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第9話 勧誘と決断

客室から出てエレベーターを使い地上に出る。今まで僕たちがいたのは地下の空間であり、今から行くのはこの機関の1番上の部屋のようだ。


「そういえばこの組織のトップってどんな人なんですか?」

「どんな人か。実は私も少ししか見たことないんだよね。強いていうなら優しそうな人かな」


優しそうな人か......

勝手な偏見だけど、この組織のトップだから厳つくて怖そうな人かと思ったけど違うようだな。


と思っているとエレベーターの音が鳴り扉がゆっくりと開いた。そしてそこには真っ直ぐの道に大きな木の扉があった。その扉の前には白いローブを着ている2人組。顔は見えないけど体格的に男性と女性だろう。


「ついてきて湊達。」


琴音に言われてついていくと、扉の前で女性の方から声をかけられて歩くのをやめた。


「来たようだね。」

女性の声は落ち着いていたが、不思議な圧を感じさせる響きだった。

顔は深くフードに隠れて見えない。それでも、その瞳だけは闇の奥からこちらを正確に見据えているような錯覚が走る。


「中でお待ちだ。入れ」


そう告げられると、男性の方が静かに扉の取っ手へ手をかけた。

分厚い木の扉が重々しく開かれた。



「すげぇぇ!」

扉の先には壁がガラス張りになっている空間が広がっていた。そしてその部屋の奥には1人の長髪の女性が座って外の景色を見ていた。


「え、琴音!トップって女性だったの?」

「そうだよ。びっくりだよね〜」


琴音と小さな声で話していると、裾が引っ張られるのを感じた。

「どうした?ネア」

「......あの人、不思議な気配してる。気をつけた方がいい」


ネアがそう言ったのを聞いて、彼女の姿を見てみるも特に僕には何も感じなかった。これも天使の力なのだろうか。

そのまま彼女の方に近づいていくと、琴音が一歩前に出た。


「連れて参りました。」

「あぁ。とりあえず座りなさい」

「座るって...椅子なんてどこにも......」


と思った時、彼女が指を鳴らすと僕達の後ろに椅子が出てきた。


「し、失礼します」


こういうときの礼儀とかってなんだっけ。隣を見てみると琴音が落ち着いた顔で座っていた。やっぱりしっかりしてるな。

ネアの方は落ち着かない様子で周りをきょろきょろ見ていた。


「まぁそう緊張するな。今は私とあなた達しかいない。気楽にしていてくれ。まずは自己紹介だな」


目の前の彼女がくるりと椅子を回すと、彼女の顔が見えた。

その姿は、黒髪で艶やかに揺れる長い髪を背に流し、額から頬へかけてすっと通った線が美しい女性だった。

瞳は深い紫――夜空の奥に隠された星のように、どこか人ならざる輝きを宿している。


「私は天志田あましだ 音世おとせ。この超常事件対策機関の最高司令官だ。よろしく。湊、ネア」


『!?』


僕の名前はともかく、何故ネアの名前も知っている。知っているのは僕と琴音しかいないはずだ。


「な、なぜ――」

「なぜ、その子の名前を知っているか。だな」


音世さんの声が僕の声に被さる。まるで次に僕が何を喋るのかが分かっているかのように。


「私は全てを知ってる。君のことも。もちろんネアのことも。」


音世さんの声が少し低くなり、周りの雰囲気が重くなる。そして彼女の目は全てを見透かしているようにも感じられる。


「ぷ。あははは!」


と思ったら音世さんがさっきの雰囲気を壊すように、突然笑い始めた。


「そ、そんな怖がらないでくれ。今の発言は冗談だ。本当は聞き耳を立ててただけだ。私にそんな力はない」

「聞き耳って......」


全然何を考えてるのかが分からない。もしかしたらこの雰囲気がネアの言っていたことなのかな。


「そんなことは置いといて、本題に入ろうか。琴音も暇ではないだろうしな」


「いえいえ。私は大丈夫ですよ」


表情は落ち着いているが声は裏返っている。てかよく見たら足も小刻みに震えている。もしかしてずっと緊張していたのか。


「それでその本題というのは?」

「そうだな。それじゃあ早速入ろうか。まずこの組織は、普通の人が立ち向かえない――いや、立ち向かうことさえできない超常的な事件に対応するために存在している」


音世さんはゆっくりと語り始めた。彼女の声は重みがあり、部屋の空気を引き締めた。


「そして湊、君は今まで普通の生活を送っていた。しかし君の家族が亡くなったあの災害――あれは自然災害ではない。計画され、仕組まれた人為的なものだった可能性が高い」


僕の胸の中がざわつく。

あの時の光景、恐怖、そして失った家族の顔が一気に蘇った。


「人工の災害……そんなことが、本当にあるのか?」


思わず声に出してしまう。

音世は頷いた。


「確証はないが、私はそうだと思っている。ま、この話を知っているのは一部だけだがな」


あの災害が人工だと......

なら俺の家族は友達は殺されたのか。


「ならなんでそんな情報を僕に言う?」

「それは君を信用しているからだ。それに君にはこの組織に入って欲しいと思っている。」


「え、僕が......」


確かに、あの災害の真相は気になる。でも俺には......


「私も賛成です!」

「琴音!?」

「ほら琴音もそう言っているじゃないか。適応者ではない点は問題ない。実際、適応者じゃない人も組織にはいるからな。どうだ?」


適応者でもなくていいのか。その点に関しての心配は多少は減ったか。災害......あれが人工のものだったなら、もしかしてあれも。それが知れるなら僕は――


「......分かりました。僕もこの組織に入ります!」

「そう言ってくれると思った!なら――」

「私も入りたいです」


隣を見るとネアが顔を上げて音世さんにそう言った。


「もちろんだ。2人ともこれからよろしくな」

「はい!」

「そうといったら琴音。あとは任せるぞ。配属は君と一緒だ」


配属先か。琴音と一緒ならもしかしたらあの人もかな


「分かりました!!行くよ2人とも!」


そして僕達は部屋から出て、地下に戻る。組織に入るためには色々な手続きがあるらしいが琴音が一通りやってくれるようだ。なので僕とネアは客室へと戻り休むことになった。


「本当によかったの?今ならまだ」

「......うん。湊が入るなら私も入る」

「そ、そっか。それじゃあ寝ようか」

「うん」


こうして、僕とネアは超常事件対策機関SEAに入ることになった。


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