第6話 超常事件対策機関
「神崎さん!緊急です!」
扉から出て来た黒い服を着た男は焦ったような顔をしてそう言ってきた。
「最後の一人が見つかったんだな」
「!?......そうです。しかし」
その男の気まずそうな顔を察して、神崎は席を立って僕の方を向いた。
「ほらな。やっぱり君は悪くなかった。俺の勘はよく当たるんだ。琴音!」
「はいはいー!」
扉からひょこっと顔を出したのはさっきの女性―――琴音さんだった。
「こいつをあとは任せた。俺は犯人に会ってくる」
「おっけー!よし湊!着いてきて」
そう言う琴音さんに腕を引っ張られて、返事をする間も無く連れて行かれた。
「お疲れ様。湊!はいこれ」
「ありがとうございます」
琴音さんから自販機から買ったジュースの缶を受け取ってベンチに座る。起きたばかりか体がとても重く感じる。
「すいません。琴音さん。ここってなんなんですか?」
周りを見渡すと宙に浮かんでいる大きな結晶や見慣れない黒い制服を着ているたくさんの人がいた。
「"さん"なんかつけなくていいよ。年齢も近いわけだし。気軽に琴音って呼んでよ」
「あっ分かりました。それでここは?」
「ここはね〜政府の機関の一つの"超常事件対策機関"SEAだよ。知ってる?」
超常事件対策機関......少し前に聞いたことがある気がする。
「聞いたことはあるけどあまり知らないです」
「だよね〜。せっかくだし教えてあげる。まずね......」
それから琴音からこの組織について教えてもらった。
まずここは、超常事件対策機関の本部らしい。
主に取り調べや事件の報告、会議などをする場所のようだ。そして主な仕事は警察などが対処できないような凶悪な事件や適応者関係の事件などを解決する組織だそうだ。さらに驚くべきことに......
「あと異世界についての...」
「異世界!?異世界なんてあるんですか!」
僕にの声が思わず大きくなると、琴音は「シーッ」と口元に人差し指を立てた。周囲の黒い制服の人たちがちらりとこちらを見る。
「声が大きいってば。まぁ、そういうリアクションになるよね〜。でも事実だよ」
「じ、じゃあ、異世界って本当に……?」
「本当だよ。たまにテレビとかで報道されない?
化け物が討伐されたーみたいなやつ」
「あるけど、それは魔質で変異した動物なんじゃ......」
「そうだよね。一般人にはそう言ってるけど実際は異世界のゲートから出てくる"魔獣"のことなんだよ。情報統制されてるから知らないよね」
異世界のゲート?魔獣?知らない単語がたくさん出てくるな。てか今情報統制って......
「あの?この話って僕に言ってもいいんですか?一応僕も一般人ですよ?」
僕がそう言うと彼女は顔を青ざめて頭を抱えながら前のめりになってしまった。やっぱり言っちゃいけないやつだったか。
彼女は頭を抱えたまま、しばらく「やばいやばいやばい……」と小声で繰り返していたが、やがて観念したように顔を上げた。
「......もうやってしまった事は仕方ないか。この話は絶対内緒にしてね。絶対だよ!!」
「わ、分かりました。それでこれから僕はどうなるんですか?」
僕は彼女にずっと気になっていた質問を投げかけてみる。さっきの事情聴取で多分無罪になったけど、これからについては教えてもらっていない。
「これからはね、しばらくこの組織で安静にした後、解放されるよ。だから今日はゆっくりしててね。あ、せっかくだしついてきて、禁止されてる場所にはいけないけど、色々と紹介したあげる」
「はい!お願いします」
そこからこの施設内の様々な場所を夜まで周り、紹介された来客用の部屋へと泊まることになった。
そのときにあのときの少女について聞いてみたら、「まだ目が覚めてない」と言われた。結構重症だったらしいが大丈夫だろうか。